人の少ない静かな苔の森、南ア最南部のロングコース大無間山(2019年9月14日山行記録(2))
小無間山からは、バリエーションルートではなく正規の登山道となる。バリエーションルート区間を無事通過したことで少し安心。だがまだ山頂までは、コースタイムで2時間10分。近くはない。
今までの急登からはうって変わってなだらかな尾根歩きになる。幅も結構広く、テープの目印が少なくなって、うっかりするとルートを外しやすくなる。
小無間山からはなだらか
少し行くと南側が崩れた崩落地があり、初めて大無間山がその姿を現した。青い空に堂々とした緑の山塊がいい感じだ。
あとで確認するとここが唐松谷ノ頭。こういうポイントがもう少しあればいいのに。
まだコースタイムで2時間ほどあるのだが、ゴールが見えたことで、少し元気が。写真を撮って先を急ぐ。迫力ある崩落地をのぞき込むと、何と少し下にはお花がいっぱい。遠目で確認できなかったが、白い菊系のはなと、赤紫のジャコウソウかエンドウ系の花だろうか?
崩落地はそれほど危険ではなく、一ヶ所慎重に通れば、あとは少し北側を巻いている。
迫力の崩落地をのぞき込む
崩落地の上ヘリを通る、スリリング 直下に小さなお花畑
展望がいいのはここだけで、再び森の中を進む。通行が困難というわけではないが、倒木などがあり、跨いだり、迂回したり。それでも緩やかな分、快調に進む。と、マークが見つからなくなった。先は下っていくような感じ。変だなと思ってGPSを確認したらルートを外していた。少し戻ってトラロープにぶら下がった案内を見ると、2,109m 中無間山だった。コースは中無間山で左に折れるのだが、直進してしまったようだ。小無間山~大無間山間は、こういう道を外してしまいやすいところが多い。
中無間山にはトラロープに標識 山頂付近にも苔の素晴らしい森
気を取り直して先へ進む。それほど急ではないが、最後の200ほどの登りだ。ここまできても山頂が見えないのが残念。と、西から北にかけて開けたビューポイントに出た。(2か所あって、山頂に近い方が枝が邪魔になりにくい) 綺麗な双耳峰は池口岳だろう。池口岳をこのようにちゃんと確認するのは初めてかもしれない。
左奥のきれいな双耳峰が池口岳
見慣れない角度なので、はっきりはわからないが、近いところが光岳だろうか? さらに北側は上河内岳、その左奥は山の形から聖岳だろう。その右が赤石岳、荒川岳? さらに右側は帰ってからの宿題だ。よくわからない。笊ヶ岳とかかな?
大無間山はハードな割に展望などの楽しみは少ない。が、この展望は貴重でうれしい。実際こういう角度から南アルプス南部を見るのは初めてだ。
左のピークが光岳、右はイザルガ岳
中央手前が上河内岳、奥は左から兎岳、聖岳、赤石岳、悪沢岳
南アルプス南部の主峰が勢揃い
北側木々の間には笊ヶ岳、いつか登らねば、、、
最後の急坂を登りつめて、10時35分 2,329m大無間山山頂到着。当然?誰もいない。山頂は結構広く、立派な標識も三角点もある。ただここも展望はない。
2,329m大無間山山頂、さすがに立派な標識
さすがに腰を下ろして小休止。バナナにおにぎりでエネルギー補給。もちろん疲労はあったが、ここまではまずまず順調。明神橋から5時間25分で登りきれた。もう少しゆっくりしたかったが、明るいうちに下山したかったので、11時ちょうど下山開始。5時間かかったとして16時なら御の字だ。少し、気持ちに余裕ができた気がする。ちなみに下山時はストックを1本使用。
下山を始めて少し、初めの展望ポイントのところで、男性とすれ違う。(少し後にもう一人いて、2人組) トレランの装備だ。少し話をすると、きまま仙人と同じ明神橋からの往復のようだ。たしかに走らないまでも、できるだけ軽量化して、スピードを上げてロングコースを踏破するという選択はある。ただ山屋としては、なかなか勇気がいる。今回きまま仙人の出発時のザック重量が8.5キロほど。水、茶などだけでも3L、雨具はもちろん、ツエルト、食料多め。ストーブ、コッヘルこそ持ってきていないが、ビバークできる装備は持った。
さらにしばらく行くと、もう一人単独男性とすれ違う。話好きの方のようで、5分以上立ち話。彼は田代から登ってきたとのこと。問題の崩落地は、山側をいくところで、張られたロープを使えない(手を離す)ところがあるようで、やっぱりスリリングなようだ。でも通れないことはないらしい。
さらにもう一人単独男性とすれ違う。この方は山渓で紹介されていた周回コースをテント泊で行くようだ。今日会ったのは、この4人のみ。田代からは1人にのみ。今後崩落が続けば、明神橋からのルートがメインになっていくのかもしれない。
その後順調に11時50分 中無間山、12時5分 唐松谷ノ頭。ただこのころ山頂部には少しガスがかかり、往路で望めた大無間山の雄姿は見られなかった。山の天気は変わりやすい。途中テープが見つからず何度かルートを外しながらも、方向を間違えていなければ、すぐにルートに戻れる。
根こそぎ倒れた木も、くぐるか越えるか
12時26分 小無間山通過。小無間山からの急下降はやはり慎重に下った。きまま仙人は下りの方が苦手だし、下りも急だと結構疲れる。けがをしないように、どうしても慎重になってくる。13時33分 外山沢ノ頭に着いたところで、トレラン装備の2人組が追い越していった。(さすがに走ってはいなかった。) きまま仙人はエネルギーを補給するために小休止。今回特別に持ってきたおはぎでおやつタイム。甘いもので少しだけ元気回復。
小無間山からの下りには赤石温泉の標識 急坂を慎重に下る
まだ1,000m近く降りる必要がある。先はまだまだ長い。外山沢ノ頭から北東尾根の下降点までは比較的歩きやすいのがうれしい。黙々とテープを追って下っていく。快調に14時19分 下降点に到着。目印となるロープもあるし、マーキングもしっかりされているのでわかりやすい。間違えて尾根をさらに下る心配はないだろう。
下降点、ロープも赤いテープもある
ここからは正直苦戦した。やっぱり、という感じだ。どうしても急で滑りやすいところは、歩きにくい。さすがに足にもきている。一歩一歩確実に下った。テープが見つからず探すところも。一気にペースが落ちたが、時間的には余裕はある。14時42分 鉄塔通過。さて、いよいよ最後の難所だ。
ルートがはっきりしない区間 苔はやはり美しい
ストックでバランスを取って、足場を確認しながらゆっくり降りる。登るときは気が付かなかったが、鉄塔の少し下側に旧鉄塔跡がある。さらに急斜面をジグザグに下っていくと、連続したロープが出てくる。下りはロープを使うよりもストックをうまく使った方が降りやすい。右手に沢の流れが見えてきた。明神谷の川の流れも見えてきた。道路も。ゴールは近い。
足場が安定しない崩れやすい急坂、ロープも多数
最後はやはりどこから降りるか少し迷った。登るときと同じだ。ワイヤーをたどって沢まで降り、ザレガレたところを這い上がった。まぁ大きく滑落するようなところではないが、気を使う難所であることは間違いない。緊張はしたが、問題なく通過。15時17分 無事明神橋に下山。ふぅ~、本当にほっとした。
明神橋
ステップのすぐ横の水の流れで顔を洗ってさっぱり。あとはゆっくり車まで戻った。車でダム側に少し行って白樺荘で汗を流す。(510円) すいていたし、安い割にいいお湯でした。
大無間山はタフな割に展望が少なく、面白み、楽しみの少ない山ではあります。ですが、静かにどっぷりと山に浸り、野趣あふれる苔むした森を登ることができます。またこれだけのロングコース、登り切ったことの達成感や充実感は半端ない山でした。でも人にはもう少しメジャーコースを勧めるかな。
手強いと思っていた二百名山をひとつクリアできました。
おしまい
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