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2019年8月17日 (土)

暑寒別岳 箸別コース8合目でのヒグマとの遭遇について

思ったよりも冷静に対処でき、無事通過できたことで、事後しばらくは思ったよりもきまま仙人自身が興奮していたかもしれない。実際山仲間にはLINEで(武勇伝のように)報告してしまっている。が、後で落ち着いて整理すると、いろいろ反省点もあるし、ラッキーであったとしか言えない部分もある。備忘録として、また北海道の山に登る登山者への参考として、事実と自身の考えを記しておきたい。

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日にちは2019年8月2日(金)。これ以上ないくらいの快晴の暑寒別岳。以前、雨竜沼から南暑寒岳までは登ったことがあり、今回は暑寒荘コースか箸別コースかにしようと思っていた。結局7合目からのお花畑期待で、箸別コースを選択。登山口で車中泊し、5時24分出発。この時点で駐車場には、きまま仙人の車のみ。登山口に今年7月2合目~3合目間で熊の目撃情報がある旨の掲示があった。もちろん熊鈴は付け、時々口笛を吹くなど音を出しながら登った。

順調に登り森林限界を越えた8時6分登山道に大きなクマの糞がある。一度にしたものかどうかはわからないが、すごく量が多い。しかも今日のものかどうかはわからないが、まだ新しそうだ。ここで大きく口笛を吹いて、こちらの存在を伝えるようにして先へ進む。

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8時10分、8合目の標柱着。写真を撮って進もうとしたところでクマ発見。この時点でクマとは20mくらいの距離か? 登山道からは3m程度下側にいる。下の写真を見てもらいたい、この時点ではまだ気づいていなかったが、赤丸の中がクマだ。気が付いたのは半分くらい行ったあたりだったか?

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今考えても案外冷静だったと思う。糞のところで口笛も吹いていたし、向こう(クマ)がこちら(きまま仙人)に気づいていなかったとは思いにくいが、こちらを見る風もなく、何やら頭を下に突っ込んで穴でも掘っているような感じだった。ゆっくりと後退しながら状況を確認する。まず、2mはあるだろう巨漢。周辺には他のクマは見当たらない。

まずラッキーだったと思うのは、比較的見通しのきく森林限界より上での遭遇だったこと。ある程度距離のある段階で、きまま仙人が気づけたこと。クマが1頭だけだったこと。糞を見つけて、多少なりとも事前の心づもりができていたこと。もし出会いがしらだったりしたら、どうなっていたことやら。

もう少し距離を取りたかったが、段差があって下ることでクマが見えなくなる。クマが見えるギリギリのところでしばらく待つ。が、奴は多少場所は変わっても、ほぼ同じあたりでひたすら穴を掘っている? ここまで順調に登ってきて、時間的にはまだ余裕があったので、とにかく待つことに。

たぶん10分もたっていないと思うが、そのうちにこちらも少しじれてくる。。。

まずやってみたことは、大きな声を出してクマにこちらの存在をちゃんと伝えてみた。「早くのいてよ~」とか呼び掛けてみた。口笛も吹いてみた。熊鈴を鳴らしてもみた。するとクマがこちらを向いてにらみ合う形に。(にらみ合ってからは大声は出さないようにした。) 明らかにこちらを見つつも、こちらには来ない。きまま仙人も動かない。一度視線を切ってみても変化なし。しばらくすると、こちらを無視しているかのようにまた穴を掘るような動きに戻る。襲ってくることはもちろん、近づいてきたりすることもしなかったので、少し安心した。

3度ほどこういうやり取りを行った。距離は30m以上はあったと思う。緊張感はすごくあったが、不思議と襲ってくるような恐怖はなかった。後で考えると、これは根拠のない感覚でしかないので、結果オーライでしかないような気がする。
今考えると、少し距離(30m以上)があったこともあり、この時点でクマは音や人の気配には気づいただろうが、きまま仙人の位置を正確には確認できていなかったのかもしれない。とにかく攻撃的なクマではなくて、一般的な人との接触を好まないクマのようには感じた。

しかしクマはなかなか移動してはくれず、こちらは手もなくただ待つしかなかった。

待つこと40分を越え、クマは少しこちらに近づいたものの、登山道からは20mくらいは下に離れたところに移動。低木から背中を出しているような形に。今なら通れるんじゃないか?そんな感覚になっていった。今思うとめちゃくちゃ危険な感覚だったと思う。もう少し待つ。クマは動かない。。。じれてくる。。。

意を決してゆっくり登山道を進んでみる。クマもちらちらこちらを伺う。もう少し進む。クマを越えたあたり(登山道上で一番クマに近いあたり)で、再び睨みあう形に。すると後ろ足2本立ちになり、じっとこちらを見ている。威嚇しているのかと。。。立ち上がった瞬間はめちゃくちゃ怖かった。。。視線を外さずゆっくり一歩ずつ前に進む。少しづつ距離が開き、ちらっと前を確認(視線を切った)して見直すと、クマの方は既にこちらを向いていなかった。ふぅ~ この時9時7分。

走らないようにゆっくり、時々振り返りながら先へ。もうクマの姿は見えなかった。

後日、本屋さんでヒグマ関連の本を立ち読みしていると、後ろ足で立ち上がるのは、遠くまで確認するためで、威嚇ではないらしい。たしかに今思うと攻撃的な姿ではなく、前足はだらっとしていたし、表情。目に怖さはなかった。(さすがにこの時の写真を撮る余裕は全くなかった。) 結果的に襲ってこなかったので事なきを得たが、もし襲ってきたらひとたまりもなかっただろう。何であんなリスクを負って通ろうとしたのか? 自分でもわからない。一番の反省点だ。山頂であった地元の登山者はクマスプレーを装備していた。どのくらい効果があるかはわからないが、次回北海道に来るときは、ぜひ装備しておきたいと思う。

今回良かった点も挙げておきたい、
1.(正しい行動だったかどうかはさておき、)落ち着いて比較的冷静に行動できたこと
2.昔大雪の高原温泉で受けたレクチャーや本、TVなどで得た知識が結果的に役立った
3.(特にクマに背中を見せて)走って逃げたりしなかったこと
4.適度な距離を保って観察できたこと
5.時間をかけてクマにこちらを意識させたこと
6.威嚇、挑発などをしなかったこと

結果論だが、攻撃的なクマではなかったという点がラッキーだった。見たところクマも人間が怖かったのではないかと思われる風もある。

いずれにしても、今思い返した方が怖いと思う。

  

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