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2018年2月 9日 (金)

槍穂の大展望から、鷲羽・黒岳2つの百名山と赤牛岳を縦走、読売新道は魅力満点もやっぱり長かった!(8月27-30日山行記録(4))

赤牛岳・読売新道山行のメインというべき3日目。とにかく風が気になる。視界は何とかなりそうだが、展望はなし。

29日(火)小雨のち曇
  水晶小屋5:30-水晶岳5:58-温泉沢ノ頭6:48-8:21赤牛岳8:32-
  クサリ場11:48-12:54奥黒部ヒュッテ13:50-15:52平ノ渡し17:20-
  17:30平ノ小屋(泊)

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      読売新道を下る、中央奥にはゴールの黒部湖(ダム)

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○8月29日(火)小雨のち曇

朝、明るくなってきても風の音はおさまらない。トイレに行ったついでに外に出て確認する。ちょうど同じコース(彼は今日平ノ小屋まで行くといっていた)へ行く杉並の単独男性(40代)もいたので、2人で話しながら状況確認。雨は降っていないし、風はあるものの歩けなくはなさそう。ガスで展望も皆無だが、これもルートを確認するくらいの視界はある。中止にするほどの悪条件ではない。よし、少なくとも行けるところまで行こう。

準備をして、軽くパンで朝食を取り、5時30分 雨具の上だけ着て水晶小屋を出発。出るとき小屋の人と話したが、「稜線は風を避けるところがないので、この風だと勧めはしません。」とのこと。改めて無理をしないようにと気を引き締める。ちなみにこの日読売新道へ向かうのは、杉並の単独男性の他、70代の単独男性(二百名山が195座目とか)、40代だろうかご夫婦ひと組、あともうひと組いるようだったが詳細不明、きまま仙人を加えて計7名。

歩きはじめはまずまず、水晶岳までは昨日往復しているので道もはっきり覚えている。順調に5時58分山頂着。ただし360度まったく展望なし。もちろん風もある。昨日も来ているし、山頂はほとんどスルー。

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   天気、特に風に不安を感じながら歩き始める、視界は非常に悪い

ここで先行していたご夫婦を追い越し、きまま仙人が先頭に。水晶のガレ場を慎重に下っていく。と、ぽつぽつ来たかなと思ったら、すぐにはっきりと小雨が降り始めた。まずい、、、濡れたズボンに風で体温を奪われるのは避けないといけないと思い、すぐに雨具の下も着こんだ。これは結果的に大正解。風を考えてここでストックも一本取り出して使用。

視界が悪く、近くしか見えないので、慎重にルートを見極め、マーク、小さなケルンを確認しながら進む。ルートだけだと少しわかりにくいところがあるが、マークやケルンは非常に心強かった。視界がいいと問題ないのだろうが、こういう状況だと道迷いは危険だ。

しばらくすると霧雨に。フードを外して歩く。ふき晒しのところは風が気になるが、飛ばされたりふらつくほどではない。今日は敢えてザックカバーは付けないで来ている。風の抵抗が大きくなるからだ。うしろから杉並の男性が来たので、迷わず道を譲る。むしろ先行者がいる方が心強い。地形や霧の関係でほとんど姿が見えていなかったが、この後二人はかなり近い距離で歩いていくことになる。たまに追いついたらひと声かけあいながら。ただ、後続の人たち(5名)とは、この後一度も会うことはなかった。

危険だと思うようなところはほとんどなかったが、緊張感はかなりあった。特にルートは慎重に慎重に確認しながら歩く。赤みがかったザレた感じの土やガレた岩場、ハイマツや高山植物、高いものはまったくない稜線歩きだ。晴れた日なら、すごく好展望のいいコースのように思えた。ちょっと残念。たまに花がきれいなところがあり和ませてくれるのが救いだ。ウメバチソウ、トウヤクリンドウ、オヤマノリンドウ、コゴメグサ、ヨツバシオガマ、ウサギギクなどなど。チングルマの花穂も。

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    霧雨でなければ、、、思ったより花も綺麗だった

小一時間ほど歩き、6時48分温泉沢ノ頭着。小ピークではあるが、このガスだと案内標識がないとわからないくらい。ここで単独男性に一度追いつく。温泉沢方面を覗いてみるが、ルートはガスでまったく確認できない。もちろん赤牛岳がどこかもまったく見えない。

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      温泉沢ノ頭、周囲は真っ白

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         視界のない中、ガレた細い稜線を行く

視界がないこともあり、ここからは気分的に長かった。小さな起伏が続くが、標高は距離の目安にはならない。稜線の広い部分では、とにかくルートがわかりづらい。マークとケルンを探すために立ち止まることもたびたび。稜線の東側にルートが付けられた部分は、風が避けられて快適。すでに雨はあがっていて、歩いていることも有りまったく寒くはなかった。Epix(GPS)にも山頂はなかなか出てこない。山頂が見えないのはなかなかタフだ。

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     ルートがわかりにくいところが多いが、ケルンが目印に

それでもルートを外していないという安心感はあったし、コースタイムから考えると、山頂はまだまだ先のはず。不安になることはなかった。霧でも景色や地形の変化はあるし、花もところどころある。緊張感はむしろ快感だったかも。

着実に進んで、8時21分 赤牛岳山頂到着。既に到着していた単独男性とお互い写真を撮り合って、ここまでの無事と登頂を喜ぶ。ここまで来れば、風で撤退ということもまずないだろう。その点は少し安堵。もちろん展望は皆無。単独男性に先行してもらい、きまま仙人はパンとチョコレートでエネルギー補給。今日は長丁場なので、無理をしてでもエネルギーを取っておかないと。水分も取っていよいよ読売新道だ。コースタイムでここから5時間は長い。改めて気合を入れる。

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           ガスの中、赤牛岳山頂に無事登頂

岩のごろごろあるザレ場(ガレ・ザレ場?)をゆっくり下っていく。ショルダーハーネスの調子が悪いとかで単独男性が止まっていた。しばらくは声を掛け合いながら歩く。気のせいか高度を下げるにつれ、徐々に視界がよくなっていく。先行する単独男性が下が見えるよと大きな声をかけてくれる。見るとたしかに眼下の谷が霧の中にうっすらだがはっきり見えていた。前方にはこれから歩いていく稜線もかなり先まで見えてきた。よしっ、快方に向かっている。

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         少しずつ稜線が見えるようになってきた

少し下ったテラス状のところで、単独男性は雨具を脱いでいた。きまま仙人も上は雨具を脱ぐ。下は迷ったが、そのまま雨具を着たままでいく。見上げると、赤牛岳がほぼ見えている。ただ山頂部は薄っすら見えたり隠れたり。もう少し頂上で粘るんだったかな。眼下には今日初めて(明日の)ゴールとなる黒部ダムが見えた。ちょっと感動。だがまだまだ遠い。

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         一瞬赤牛岳の山頂も姿を見せてくれた

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       今日初めて黒部湖が見えた、まだまだ先だが感動!

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        よく見ると、薄っすら黒部ダムも確認できる

ここからしばらくは痩せ尾根を行く。補助ロープが張られた崩落箇所も。危険個所というほどではないが、下が濡れている分慎重に下る。

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     ロープの張られた崩落個所、慎重に進む

下るにつれてだんだんと快適な登山になっていった。風も気になるほどではなくなり、これから歩くコースを眺めながら進む。針ノ木岳の頂上にはまだ雲がかかっていたが、蓮華岳はきれいに見えるようになった。振り返ると赤牛岳もはっきり頂上が見えている。気持ちのいいコースだが、このコース思っていたよりも小さなアップダウンが多い。

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      左が針ノ木岳(ガスで少し隠れている、右は蓮華岳

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     黒部湖を見下ろしながら小さな起伏を越えていく

しばらく行くと7/8の標識があった。この標識が1/8になったその次(0/8?)が今日のゴールの奥黒部ヒュッテだ。ネットで確認していたので、いよいよ読売新道なんだという実感が湧く。きまま仙人は下りの方が(ケガが)怖いので、慎重に下る。単独男性とはこのあたりから少しづつ距離が空いていった。彼は今日中に平ノ小屋まで行くので、14時30分の渡し船に乗らないといけないから、時間の余裕も少ないのだ。

しばらくはすごく気持ちのいい稜線歩き。展望はもちろん、ハイマツと岩の景観も素晴らしい。変化のある緩やかな尾根を行く。前には黒部湖にそれを取り囲む山々。

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       ハイマツと岩の景観が素晴らしい稜線歩き

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    烏帽子岳(左)とニセ烏帽子、右奥は唐沢岳

振り返ると降りてきた赤牛岳とそこから北西に尾根が伸びる。その右奥には薬師岳から続く稜線が。残念ながら薬師上部はまだガスに覆われていた。視界が出ると、ルートもはっきりわかるのがいい。登山道を見極めていくという緊張感はなくなった。

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       赤牛岳、ガスのかかっているところが山頂

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     山頂部は見えないが、西側に薬師岳が姿を見せた

6/8を過ぎたあたりで、前方のハイマツの脇にライチョウが。メスのようだ。そーっと近づいて写真を撮る。ライチョウに会えるなんてラッキーだ。展望のある景色のいい岩稜帯に終わりを告げ、樹林帯に入っていくとまもなく5/8だ。時折日射しも出るようになってきた。逆に暑くなってきた。滑りそうな木道や濡れた岩の細い道は歩きにくい。大きな段差や登り返しもあり、疲れが出てくる。バランスを崩してふらついてきているのがわかる。緊張、緊張、集中、集中。

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     ハイマツの脇に雷鳥        6/8の標識

小さなお花畑がいくつかある。ミヤマリンドウ、ゴゼンタチバナ、トモエシオガマ、オヤマノリンドウ、ウメバチソウ、モミジカラマツなどが楽しい。いっそう暑くなってきた。水分と塩分補給に気を付ける。10時25分、4/8のミニ湿地で大休止。4/8ということは約半分か。 ここでキウイをひとつ。ん、うまい。今回初日からずっと食欲が落ちていないのがいい。ここで雨具の下も脱いで、歩きやすくなった。足には疲れが出始めているが、メンタルはまだまだ元気だ。このあたりもよく見ると花がきれい。

ここで320mlの小さなペットボトルに麦茶を移して満杯に。気分も新たに出発。やはり雨具を脱ぐと歩きやすい。普通に緩やかな下り部分もあるのだが、木の下をくぐったり、大きな岩の段差を降りたり、滑りそうな木の根がいっぱいあったり、けっして楽な道ではない。やはりここは下りにしてよかったと改めて思う。この読売新道を登るのは簡単ではなさそうだ。ちなみにこの日すれ違った登山者はゼロ。出発の小屋前を除き、単独男性とご夫婦ひと組以外には、奥黒部ヒュッテまで誰にも会わなかった。

あとはひたすら下っていく。水を飲もうとサイドポケットに手を伸ばすと、、、無い!ペットボトルがない。320mlほとんど満杯だったのに。。。。当然探しに戻る気もないので先へ。今日水晶小屋を出るときは約2.6Lの水を持って出たし、赤牛岳まではそれほど水分を飲んでいないので、まぁ不足する心配はないだろう。でもちょっとショック。気が付かないなんて。

11時を回って、3/8通過。まずまず順調。時折黒部湖が木々の合間に見えるが、だんだん近づいてきているのがうれしい。森が深くなり、複雑な根っこの木々が面白い。意識して焦らないように、慎重に下る。

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      複雑な根っこ、小さな登りもあって歩きにくいところも

11時48分 2/8を過ぎて少しすると鎖場だ。たしかに鎖が必要な急な段差のある岩場の下降。三点支持で慎重に降りた。客観的に見ると、それほど危険な鎖場ではないが、疲れが出てきているこの終盤にある点がいやらしい。赤牛岳山頂からここまで3時間超。雨具の脱着やキウイ休憩はあるが、結構かかっているなぁ。やはり長い。でも全体的には時間的に余裕が出てきた。コースタイムであと2時間ほどのはず。気を抜かずがんばろう。

この読売新道、単調な下りかと思いきや、意外に小さな登り返しが多々ある。ボディブローのように効いてくる感じだ。景色も樹林帯に入ると変化に乏しい。ちょっと不安定な丸木の梯子や橋が少し怖い。ぬかるんだところや、滑りそうな濡れた岩もある。普段なら何でもないようなところだが歩きにくい。しだいに沢だろうか川だろうか、水の音が聞こえてくるようになった。確実にヒュッテが近づいているように思う。GPSで標高を確認しながら進む。

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        黒部川が見えてきた

12時18分、ついに1/8の標識通過。標高を見るとまだ300m弱下るはず。そこからは少々気持ちが焦って長く感じた。道脇の茂みがごそごそっと動いたかと思うと、大きなカエル。ヒキガエルだろうか? ちょっと美味しそうに見えたのが不思議。少しなだらかになってしばらく進むと、12時54分 奥黒部ヒュッテに着いた。考えてみると、珍しくこの長い下り坂、転倒・尻餅もなく下りきった。最後まで緊張感を保てたということか。

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     奥黒部ヒュッテ、商売っ気のない管理人のおじさん(その件は次回)

とにかくほっとひと息。

続く。。。

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