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2018年1月23日 (火)

急登の尾ノ内沢道から両神山へ、悪路・急下降の天武将尾根、天理岳北尾根周回(9月24日山行記録(3))

今朝は雪が残っていて本当に寒い。

さて、9月24日の両神山山行の山行記録の最終回です。いよいよ両神山山頂を後に天武将尾根へ。
速報はこちら、Part1Part2はこちら

尾ノ内渓谷駐車場6:08-山ノ神6:40-油滝7:50-地獄穴8:17-龍神神社奥社(八丁尾根稜線)9:35-東岳10:14-前東岳10:30-10:45両神山11:03-前東岳(天武将尾根分岐)11:20-1306mピーク12:30-黍岩13:13-天理岳13:41-鉄塔15:20-林道15:31-15:34尾ノ内渓谷駐車場

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         天理岳からわずかに北側の展望が望めた

 

まずは来た道を前東岳まで戻る。確認してあった分岐を少し入ると、天武将尾根(あまぶしょうおね)の入口にロープを張って注意書きが書かれてあった。「この先天理岳方面遭難事故多発 登山道未整備のため通行は自己責任で! 標識無し、地図が読めないと大変危険!」たしかに安易に入っていいコースではないのだろう。気持ちが昂る。でも元々登山って、どんなコースでも基本は自己責任でしょう!

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   天武将尾根に入る前東岳    注意喚起の表示がある

11時20分、いよいよ天武将(あまぶしょう)尾根に入った。いきなり滑りやすい土のやや急な斜面を下っていく。足元が滑って歩きにくい。ここで迷わずストックを1本だした。しだいに土から少しざれたような感じに。

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    すべる急斜面には手を焼いた

斜度はさらに急になる。両側は切れ落ちていて、落ちると命はなさそうだ。変な滑り方をして止まらなかったらと思うと少し恐怖心が湧く。木々をつかみながら、足とストックで踏ん張りながら慎重に下る。このあたり、少しルートがわかりにくい。間違って変なところに行くというより、誤ると木々の枝に行く手を阻まれる。いやそこまでいかなくてもザックに付けてあるもう一本のストックが枝に引っかかって歩きにくい。

たまに薄っすら周囲の景色が見えるが、ガスで周囲は見えない。ただ、登山道が確認できないようなことはない。

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   景色から位置を把握するのは困難

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     進む尾根が少し確認できるところもある

展望がないので、位置関係がつかみにくい。両神山側が覗けるところがあっても、依然稜線はガスの中。地図表示可能なGPSといっても、きまま仙人のはGarmin epixなので、全体ルートのどこかというのは画面が小さくて把握しづらい。いや、ほとんどできない。急下降ゆえ標高は確実に下がってはいくが、ところどころ登り返しもある。

この時点で引き返そうかという弱気な思いが頭によぎるが、戻っても(安全ではあっても)そう楽なルートではないことと、この状況はこの状況でなかなか楽しい?ので、もう少し行ってみる。ただルートをトレースするということでは、GPSのガイダンスはかなり信頼できると、安心感を持てていたことは大きい。

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   GPSのナビゲーションは有効だった

ルートは尾根を進めば基本的には合っているようだ。それでもGPSで時々確認して進む。少しなだらかな部分で赤テープのマークがあった。どこまで信用していいのか見極めなければいけないが、まったくマークがないわけではなさそうだ。痩せ尾根や急下降は続くが、はじめのところほど危険を感じる部分はしばらくなかった。

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      木々が張り出していて、ルートが不明瞭

多少の変化はあるが、急下降の断続的な繰り返しは、ボディブローのように効いてくる。すべって何度か尻餅をついてしまう。1度は1mくらいそのままスライディング。ザックやズボン、手袋はかなり汚れてきた。またズボンやストックに枝などが引っかかる。たまに顔にも枝があたるが、避けたり払ったりできない場合も。。。

1時間少し歩いたあたりに小ピークがあった。GPSで確認するとどうやらここが1306mピークのようだ。正直、まだここかぁ~。一本立てて、羊羹でエネルギー補給。昭文社地図を出してこれからのルートを再確認。

正直景色も単調だし、写真を撮る余裕も意欲もなくなってきた。ふと前方を見ると壁のような斜面。GPSも実際の地形も迂回するようにはなっていない。いったいどこを登るんだ? こういうところで、マークや明確な踏み後のようなものが無いのは、少し判断に迷う。地形をよく見て、登れそうで先に続いていそうなルートを見極める。こういうのが2,3度あったが、登るとちゃんとルートが続いているのがわかる。

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    やせ尾根を下っていく、林間で展望はない

13時13分、黍岩と思われる岩のピークを通過。緊張感をずっと持ち続けているので、正直疲れはかなり溜まってきたと思う。徐々に急坂で踏ん張りが効かなくなってきている。想定よりも時間がかかっているかな、とも思ったが、焦らないように進んだ。

木々の間、前方に明らかに尾根の中では区別できるピークが見えてきた。あれが天理岳だろう。まだ少しありそうだ。一旦下って登り返す。この登りが意外に急でタフだった。足がつりそうになる。ヤバイ。汗びっしょりになって、13時41分天理岳山頂到着。小さな祠(南の祠)がひとつ。GPSもここでルートを北に変えている。まだまだ(下りの)中間地点とはいえ、道を間違えることもなくここまでこれて、ほっとひと息。あとは北尾根だけだ。

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     天理岳山頂、木に手書きの標識と崩れた祠がある

ザックを下ろして座って休憩。シャツの上を脱いで汗を絞る。両神山方面はまだガスがかかっていたが、頭の上ややや北側には青空も。北側の山並み、二子山あたりだろうか、がわずかに望めた。食欲が少し落ちてきていたが、パンをひとつ無理やり口に入れる。

北側の尾根(中ノ沢左岸尾根?)への取り付きはGPSがないと少しわかりにくい。山頂からではなく、少し戻った(下った)ところに分岐がある。特に分岐を示すものがあるわけではない。少し行くとここにも祠(北の祠)があり、さらに行くと赤い布のマークがあった。ん、間違いない。安心して進む。

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    北の祠、ここから北側の尾根を下る

この北側尾根のルート。はっきりと道になっていない個所が多い。ルートにしても偽ルートというか、正しくない部分にも獣道は多数ある。道、踏み跡らしきもので判断すると間違うかもしれない。ただ、赤いテープのマークは、下山までほぼしっかり付けられていた。GPSでルート確認すると、えっこっち?というような急下降でも正しい方向をよく探すと、赤いテープが必ずあった。

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    赤いテープは信用できる、探しながら下る

ルートを間違える不安はほぼなくなったが、相変わらず滑りやすい斜面は続く。落ち葉が積もった斜面で、グリップがきかない。足がふらついてきて、踏ん張りがきかなくなっているせいもありそうだ。下るにつれて、徐々に暑さも気になってきた。読売新道の下りよりも辛いかも。読売新道同様、誰ともすれ違わない、静かな、同時に孤独な山行だ。

標高だけを目安に下っていく。本当に足に力が入らなくなってきた。木から木に移るように降りていく。急坂では木をつかまないと、止まれないのだ。元気だったらもう少し軽快に降りるのだが、この状態でスピードを出すのはケガが怖い。標高が下がっていくにつれ暑くなってきた。時折木漏れ日も射す。下りとはいえ、汗びっしょり。

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       数か所トラロープが張られたところがある

展望がきかない稜線を黙々と下る。この季節花もほとんどない。ただ木の枝が引っかかるようなところはほとんどなくなった。たまに痩せ尾根をいくが、そう危険な個所はない。ただ木の根や岩などに躓かないように注意。

1時間ほど下ったところで、小ピーク手前のコルで小休止。エネルギーを補給しないとと思ってザックの中を探すと、バナナが残っていた! 忘れていたが、バナナを持ってきていたんだった。ささやかなうれしいバナナの発見。これには本当に元気が出た。
樹林帯は、日が陰ると薄暗くなるところがある。時間は既に15時少し前。GPSの標高は800mを切ってきているので、もう1時間はかからないと思うが、あまり遅くなる前には下山したい。最後の元気を振り絞る。

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    獣道も多く、広いところでは支尾根に迷いやすい

さらに下っていくと、植林された人工的な森になる。斜度もゆるやかになり、木々に頼る必要はなくなった。遠く下から車の音も聞こえてきた。もうすぐだ。このあたりで、精神的にはやっと余裕がでてきた。ほどなく左手前方に林道が見えた。ただGPSも赤いテープも直進を示しているので、林道には向かわずそのまま真っすぐ降りていく。

前方に明るいところが見えてきたら、そこが鉄塔だ。左手にルートを変えると、階段状の整備された道になる。15時31分、舗装された林道に出た。ふぅ~長かった。すぐに左手にスタートの駐車場が見える。15時34分、尾ノ内渓谷の駐車場に無事帰還。何より無事下山で来て本当によかった。

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     鉄塔までくればひと安心、正面は二子山

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   鉄塔を過ぎると階段状に     登山口、標識は何もない

水場で顔を洗い、頭を突っ込んで水をかける。いや、さっぱり。帰路、ダメ元で赤谷温泉 小鹿荘で日帰り入浴(600円)できるか聞いてみる。通常は15時までらしいのだが、今日は空いているからOKだと。薄っすらと茶系の色のついたいいお湯でした。汗を流して、露天風呂(屋根付き)での~んびり。日曜日だが、早く帰るよりとにかくゆっくりしたかった。

今回の山行、なかなかタフでしたが、いろいろ得るものが多かったなぁと思います。今の体力や、強み弱みも再確認できました。こういうルートを歩く自信も得ました。GPSもこれほど有効に使ったのは初めてです。ただ今回GPSという文明の力にかなり頼りましたが、仮に使えなかったとしても(不安感はより大きかったと思いますが、)同じルートは歩けたとは思います。

山や自然と対峙し、より深くかかわり、自力で歩いてきたという達成感は、整備されすぎたルート(それが悪いとかいうつもりはまったくありません)では味わえない楽しみだと改めて感じました。

足だけでなく、腕まで筋肉痛、いや一部は打撲痛も心地いい痛みだと感じられます。

今回調べていてわかったのですが、尾ノ内沢道よりもワンランクハイレベルな西岳新道というのもあるようです。このルートは尾ノ内渓谷から尾根伝いに西岳に出るというコースで、上部にはオーバーハング気味の登りがあり、一般装備では下れない?コースだという記述も。もう少し調べて、ひょっとしたら来年トライするかも?(もちろん登りで)です。

おしまい。

 

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