「鈴木其一 江戸琳派の旗手」展面白かったです
3連休初日の8日、サントリー美術館に「鈴木其一 江戸琳派の旗手」展を見に行ってきた。
楽しみにしていた展覧会だが、風神雷神図襖、夏秋渓流図屏風を見たかったので、後期の展示替えを待っての訪問。
琳派のことを少しでもかじったことのある人にとって、鈴木其一という名前や、抱一の弟子で、ある意味一番の後継者ということは、よく知っている。(雨華庵を継いだのは酒井鶯蒲)
それでも、これだけまとまって其一の作品を見る機会は初めてだった。たらし込みや意匠の継承、装飾性などは、いかにも琳派というところを引き継いでいる。そのため、わかりやすく(安心して?)見ていけるが、その中で強烈なオリジナリティを出している感じがすごくいい。
江戸琳派らしい、写実性を取り入れた描写。ビビッド(vivid)といっていい色使い。琳派の枠を超えた試み。いや面白い。前期の作品や解説も読みたかったので、分厚い図録、衝動的に買っちゃいました。(たぶん一回読んだら邪魔になるんだけど、、、)
面白い作品がいろいろ有りましたけど、やっぱり目玉はこの3点でしょう。
まずは、上の夏秋渓流図屏風。何といっても強烈な青にくぎ付け。飲み込まれそうな、見ている人に流れ込んでくる水流。セミなど、細部に写実的なモチーフ。装飾性を追求した琳派の描写を完全に飛び越えている。ある意味、気持ち悪さすらある。
次にメトロポリタン美術館から来た上の朝顔図屏風。光琳の燕子花図屏風、抱一の八つ橋図屏風を意識しながら、燕子花ではなく、何と大胆な朝顔なんだ。大きさも迫力満点。これなどは、琳派の延長で、かつ発展形といえると思う。
これも装飾的でありながら、おしべめしべが書かれているなど、ひとひねりされているのも面白い。
最後に風神雷神図襖。屏風でなく襖にしているし、金地でもない。襖ゆえに平面であり、横幅が非常に広く、迫力がある。その中で、雲の勢いというか、リズムが其一らしさだと思う。
とはいえ、あとからの画家が、オリジナリティを出すために新しい試みをするのは当たり前ともいえる。それで宗達や光琳、抱一を越えているのかどうか、あるいは肩を並べる存在になりえているのかどうか?
それは、鑑賞者がそれぞれ判断すべきことかもしれない。ともあれ、これほど其一が主役になったことは初めてではないかと思うし、非常に興味深い展覧会だと思います。しばらくは図録でも楽しめそうです。
ちなみに知名度が低いせいか、ダリ展(きまま仙人はまだ見に行っていませんが、当日20分待ちでした。)などに比べるとゆっくり見れましたよ。
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