相国寺 承天閣美術館 生誕300年記念 伊藤若冲展
展示会場は、第一展示室と第二展示室に分かれている。第一展示室は、動植綵絵全30幅の複製品(コロタイプ印刷)と釈迦三尊像が主。
第二展示室は、鹿苑寺(金閣寺)大書院旧障壁画全50面に掛け軸の水墨画が10数点。
きまま仙人は、鹿苑寺大書院旧障壁画は一部だけしか見たことがなかったので、全部を実物で見るのがひとつの目的。スペースの関係もあり、配置はさすがに大書院どおりではなかったが、これはこれで見られて満足。
興味深かったのは、鳳凰図と若冲が手本とした元の林良の鳳凰図(鳳凰石竹図)を並べて展示していたこと。明らかに相国寺にあった林良の鳳凰図を若冲が模写したというものだ。
鳳凰の顔や首のあたりは、そっくりといっていいくらい。一方で肩から羽にかかるあたりは、形こそほぼ同じだが、若冲のは筋目書き。一本足で立っている感じだが、もう一方の片足の位置や形はまったく違う。孔雀のような尾についても巻き方が全く違う。月や竹も省略されている。林良の方が縦横比が小さいが、若冲の模写は掛け軸なのですごく縦長。あえて、意図的に違うように描いたところも多いと思われる。同じように描いているところ、違いがあるところを見比べるのが面白かった。
左:林良 右:若冲 の鳳凰図
厖児戯箒図などは、掛け軸だが、単純な水墨画ではなく、色付き。百犬図の習作かと思ってしまうような描き方。きもかわいい感じが、まさに若冲の犬。
あとTVなどでよく見る若冲像(久保田米僊筆)。ひょっとしたら実物は初めて見るのかも。初めて知ったけど、これって明治に入ってから描かれたんですね。
最後に動植綵絵の複製について、少しだけコメントしておこう。都美術館で実物を見ていなければ、それなりによかったのかもしれないが、正直言って実物との差は大きい。まず色の鮮やかさが全然違う。裏彩色の透けるような輝きが感じられない。驚くような細かい筆致も伝わってこない。結局、30幅並んでも、迫ってくる迫力のようなものが感じられなかった。
動植綵絵の複製は、ちょっと残念だったなぁ。まぁだからこそ、実物を見に行く意味があるんだろうけど。
点数こそ少なかったですが、若冲好きにはまずまず楽しめる展覧会でした。ちなみに、今回はまだ始まっていませんでしたが、明日10月4日から12月4日まで、京都市美術館で「生誕300年 若冲の京都 KYOTOの若冲」展が開かれますよ。
お好きな方は、ぜひ行かれたらどうでしょう。
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