最高の天気と展望、懐かしさと想定外の表銀座縦走(8月6-9日山行記録(3))
大天荘まで戻り、斜面をトラバースするような感じで下って、大天井ヒュッテに向かう。ここはもっと楽なコースだった記憶があるのだが、、、意外に急な下りもある。記憶は案外当てにならないものだ。それでも40分ほどで、8時57分、大天井ヒュッテ到着。
大天井からのトラバース、槍を見ながら気分も上々
山頂で30分近く休憩していたので、ここは通過。ちなみに大天井ヒュッテの前から牛首山(展望台)へのルートがある。ただ、ここはエネルギーを残しておきたかったのでパス。
きまま仙人が大天井ヒュッテに着いた時に、ちょうど出発しようとしていた若いカップルがいた。あとでわかったことだが、彼らも今日はヒュッテ大槍まで。
このあたりから、時間的にも暑くなってきた。日焼け止めは既に汗で流れてしまっている。顔や首筋が焼けているのがわかる。速乾タオルを濡らして首に巻く。今回はキャップにしたが、つばの広いハットにした方が良かったかな。
ここからヒュッテ西岳まではコースタイムで2時間半。地図で見るよりも小さなアップダウンがボディブローのように効いてくる。途中で男の子とお父さんの親子連れを追い越す。彼らは大天井岳をショートカットして、きまま仙人を追い越していったようだ。
西岳が見えてきた
途中暑くて、日陰のところで小休止。のぼせてきた感じがして、やや眠気がする。天気がいいのはうれしいが、これほど暑いと熱中症要注意だ。こまめに水分を取るのと同時に、塩飴をなめるようにする。間違いなく、温暖化の影響は山の気温にも表れていると思う。
9時26分、右手側(西側)に分け入る小道があり、「貧乏沢入口」と書かれた木の標識が置かれてあった。北鎌をやる人は、ここから貧乏沢に降りるんだ。ちょっと感慨深い。覗いてみるが、よく見えない。
貧乏沢の入口、北鎌への入口だ
9時33分、びっくり平と書かれた標識のある開けた展望台に出る。振り返ると大天井から常念に続く稜線が一望できる。風が少しあって涼しくて心地いい。この展望に"びっくり"ということ?
びっくり平、すごくいい展望台
ギザギザの北鎌尾根が目の前、いつかは歩いてみたい
ここからは結構長い印象だった。ただ歩いていくコースが見えているので、距離感はつかめる。
次は西岳を目指して
左、頭を出しているのが横通岳、右は常念岳
越えてきた大天井岳を振り返る
東側を巻くことも多い
対角線上に見えるのがこれから登る東鎌尾根
こんな痩せ尾根も、慎重に通過
暑さで参りながら11時10分、ヒュッテ西岳到着。やっと今日の行程の2/3だ。あとはコースタイムで約3時間。小槍が隠れてしまった三角の槍が、大きく眼前に迫る。北鎌尾根が一望できる。前回ヒュッテ西岳では小雨。この素晴らしい景色を見ることができなかった。今日の好天に感謝! 本当に素晴らしい眺めだ。少しザックを下ろして、まずはキウイ。いや~甘すっぱくて本当に美味しかった。あとパンでエネルギーを補給しようとしたが、口の中がパサついて喉を通らない。いやむしろ吐き気がしてしまう。水で流し込む。
そんな時、例の親子連れが遅れて到着。「アイスあります」の看板を見て、食べようかと小屋の方に。きまま仙人もこの誘惑に勝てず。親子連れの後を追って一緒にアイス購入。えっハーゲンダーツ! 500円という値段は覚悟していたから驚かないが、出てきたのはカチンコチンに冷えたハーゲンダーツ(バニラ)だった。山でハーゲンダーツが食べられるとは。。。もちろん最高に美味しかったです。
何と北アルプスでハーゲンダーツ
ここで話をしていて、この親子連れと、もう一人単独の年配の女性、(あと大天井ヒュッテで会ったカップル)は全員ヒュッテ大槍泊の予定。一気に仲間意識が強くなり、あと3時間頑張りましょうと声を掛け合う。単独女性、きまま仙人(11時36分発)、親子連れの順に出発。
本当なら西岳のピーク(前回小雨だったためピーク未登頂)に行きたかったが、そんな余裕はまったくなかった。
場所的にはヒュッテ西岳で宿泊するのが、距離的には一番楽だろう。(ちなみに前回はヒュッテ西岳泊だった) が、この小屋は小さいこともあり、今日のような日は混むのが必至。そのせいもあり、きまま仙人はヒュッテ大槍を予約していた。(ネットで比較的簡単に予約可能)
ちなみに最終日横尾あたりで話をした別の若いカップルは、翌日ヒュッテ西岳に未予約で到着するも、一杯なので次の小屋まで行ってほしいと言われたらしい。ヒュッテ大槍を目指すも、水俣乗越からの登り返しは無理と判断して、そのまま槍沢ロッヂに下ったらしい。時刻まで聞かなかったが、次に行ってほしいというにはかなり遠い。
ヒュッテ西岳から水俣乗越までは、かなりの急下降だ。もったいない。特に垂直の長い梯子があり、高度感もある。きまま仙人は一旦ストックをザックに収納。ここまでまずまず快調に来ているとはいえ、足がふらつき始めている感じがある。特に下りは怖い。慎重にゆっくり下っていった。景色や花を見る余裕がなくなっていく。暑さもあり、苦しいと感じるようになる。まだまだこれから暑くなる時間帯なのに。。。救いは、時間的に少し余裕がでてきたことだろうか。
水俣乗越への急下降、ほぼ垂直の長い梯子
大キレット(中央)がこんな感じに
12時28分、水俣乗越通過。いよいよ東鎌尾根に入る。前回(23年前)はガスがかかっていたので、東鎌尾根での展望はほとんどなかった。初級者の女性がいたこともあり、時間はかかったはずだが、登りが辛かったとか、怖かったという記憶はない。だから楽しみにしていたのに、、、既に暑さで余裕なし。
東鎌尾根の登り返し
槍を見上げながら高度を上げる
暑さにこの梯子はきつい
今回の山行の誤算その2は2日目のこの暑さ。明らかに軽い熱中症の兆候。暑くて頭がぼーっとしてくるような感じ。パンなどは喉を通らず、エネルギーはゼリー食や羊羹、フルーツなどでないと受け付けない。
水俣乗越から登り始めて10分ほどで、いい日影があったので、少し休憩。目を閉じて少し眠ったようにして身体を冷やした。10分ほど休んだだろうか。そのうち足がつり始める。これは暑さというより、トレーニング不足。梯子や岩場は敢えて腕力を使って登った。バテバテだったが、登りのペースそのものはいいペース。途中ヒュッテ西岳で会った若いカップルと何度か抜いたり抜かれたりしたが、彼ら(特に奥さんの方)も同じようにバテバテの状態だった。
途中追い越した年配のグループもかなりバテバテのようだった。みんな同じなんだ。少し気が楽になる。見上げると槍はどんどん大きくなって迫力を増していく。が、ヒュッテ大槍はまったく見えない。位置的に東鎌尾根の下部からは見えにくいようだ。時々立ち止まってはシャッターを切る。撮影というより、むしろ休憩?
近づいているのに中々着かない
14時を過ぎたあたりで、日陰を見つけて、逃げ込むように再度休憩を取る。ガス欠感もあるので、パンを水で流し込んだ上に、明日用のゼリー食を使うことに。重量的にはかなり減ってきているはずだ。あと少し頑張れ。自分に言い聞かせる。
14時26分、やっとヒュッテ大槍到着。ほっ。
ようやくヒュッテ大槍到着、ほっ!
小屋前からの常念岳、手前尾根の赤屋根がヒュッテ西岳
休憩していた時間を考えると、タイム的にはまずまずの時間で登ったことになる。
まずは受付を済ませて、シャツを着替え、小屋前のベンチ(の影のところ)でコーヒータイム。このヒュッテ大槍のおすすめサービスのひとつが(インスタント)コーヒーバー。500円払うと、翌朝小屋を出るまで一泊の間、インスタントコーヒーや紅茶、ココアもあったかな?が何杯でも飲み放題。自分でお湯を沸かしたり、カップを拭いたりを考えると、めちゃくちゃ割安。数えていないが、きまま仙人はおそらく10杯は飲んだだろう。砂糖もあるので、甘めにしてエネルギーも補給。
部屋の中よりも外の方が涼しかったので、人が増えるまでは、日陰のベンチに寝転がって休憩。いや生き返りました。 しばらくして親子連れや、若いカップルも順次到着。辛かったですね、暑かったですねとねぎらい合う。
この小屋、食堂にTVがあり、リオオリンピックをやっていた。萩野の金、瀬戸の銅のW表彰台のニュースに湧く。
ヒュッテ大槍は初めてでしたが、なかなかいい小屋ですね。夕食に大皿でパスタが出てきたのはびっくり。夕食後は外に出て夕陽や夕焼けを見ようとするも、場所的には西側は難しい。それに雲が上がってきて、大天井や常念岳の一部が見えたり隠れたり。それでも空の色の変化や、山肌の色の移り変わりは見ていて楽しい。
東側、大天井岳から常念、蝶への山並み
後光のように雲がかかり荘厳な感じ
前穂北尾根が格好いい、右は北穂
大喰岳、中岳の空は茜色、真ん中の月が見えますか?
あと、食後のコーヒーを付き合ってくれた岐阜から来ていた女性、楽しい時間をありがとうです。
明日も天気予報はいい感じ。いよいよ槍の穂先に立ちます。疲れた身体を休めるべく、早めに布団の中へ、余裕のある広さに大満足 z z z
つづく
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