闇の守り人 上橋菜穂子(感想)
精霊の守り人に続く、守り人シリーズ第2弾
シリーズ中、大人の読者が一番好きなのが、この「闇の守り人」らしく、たしかに非常によかった。「精霊の守り人」で提示されていた、ジグロの心の闇、ジグロに対するバルサの心の闇をファンタジーらしく、小気味よく晴らしてくれた作品になっている。
ファンタジーというのは、設定が自由にできるので、ある意味何でもあり。ずるいといえばずるいが、上橋作品は違和感を感じないリアリティを持っているのが、大人でも楽しめる点だと思う。ファンタジーの設定を受け入れられるかどうかで、評価が分かれると思うが、きまま仙人はOKだ。どちらが好きかと問われれば、現実社会の物語を選ぶとは思うが、大人も十分楽しめる小説になっている。
今回はチャグムもタンダもトロガイも出てこない。ストーリーの中心にバルサがどっしりと座っているので、バルサに集中して安心して読める。
悪役のユグロらが、タイミングよく? 地中の山の神の国を攻めようと陰謀を企てるのは、いささか都合よすぎる気はするが、闇の守り人(ヒョウル)たちの正体や剣の舞の設定などは、きまま仙人は非常にいいと思った。
シリーズものの良さは、巻を重ねていく毎に、登場人物の背景や世界観が深まっていき、愛着も出てくるし、ストーリーに奥行きのようなものが出てくると思う。基本的にはまったく独立した物語でありながら、うまくつながっている。おそらく上橋さんは、「精霊の守り人」を書いているときから、2巻の大きな設定はイメージされていたのだろう。
すぐに3巻以降を読むつもりはないが、年に1,2冊、このシリーズを追いかけていきたい。
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