南アルプス最南端、苔むす静かな森を越えていくロングコース、池口岳(9月21日山行記録(2))
ザラ薙平のテント場からは稜線に沿って比較的なだらかながらも小さな起伏を越えていく。まだまだ余裕はあったものの、帰りのことを考えるとタフだ。このあたりから登山道は野趣あふれるところが増えてくる。倒木があったり、草が生い茂っていたり。人が少ない山にもかかわらず、これだけ整備してくれていること自体がありがたい。体力的にもそうだが、こういう点も経験者向けコースだと感じた。
ゴゼンタチバナの実 緩やかだが長い
このあたりだっただろうか? 大きなザックで休憩中の単独行の男性とすれ違う。今日初めて山中で会う人だ。(ザックを見て)縦走ですか?と声をかける。今朝茶臼小屋を出てきたらしい。参考に縦走路の情報などを聞く。1時間ほど前に1人、すれ違ったとのこと。1時間?出発はおそらく30分ほどの差なので、その人はきまま仙人よりもかなり速いようだ。しばし人と話ができてほっとする。
山頂はよくわからないが近づいてきているのはわかる。ガンガン登り高度を上げていき、ピーク(2,156m?)をひとつ越え、最後の急登に入る。えっ? 急下降が。トラロープも付けられている。ホールドはしっかりあるが、少し濡れているのでスリリング。ストックが邪魔だ。わずか数メートルではあるが、慎重に下る。
かなりの急騰で一気に高度を上げる
今度は岩の登りにトラロープのついているところが。通常であればなんでもないようなところだが、精神的に堪える。
最後に急な個所が少し続く
この山、池口岳がタフなのは、この最後の急登がきついところもある。最後の3~400mの登りは、結構長かった。余裕がなくなってきた10時26分、やっとジャンクション(光岳方面への分岐)着。コースタイムであと20分、標高差140mほどだ。一気にラストスパート。
この分岐を左に行くと光岳に続く
登りつめてなだらかになったあと、さらに笹の斜面を少し行くと、10時42分池口岳山頂到着。展望はないが、何とも言えない達成感はある。
山頂はもうすぐ
山頂には、大井川源流部原生自然環境保全地域の大きな看板と木に付けられた控えめな山頂標識(これがいい)。そして三角点がある。すれ違っていなかったので、先行者がいるかと思ったが、山頂はきまま仙人のみ。車は登山口に置きっぱなしだったから、南峰に向かったのか?それともさらに鶏冠山の方まで行ったのか?
ひっそりした池口岳山頂
さすがにザックを下ろして、岩の上に座り込んだ。パン、バナナでエネルギー補給。いつもなら朝ひとつポケットに入れて歩きながら採るゼリー食も2つ目をポケットに。少し南側を覗いてみたが、南峰はガスの中。あっさり(予定通り)引き返すことを決定。11時2分、帰路に着く。
ジャンクションまで戻ったところで、少しだけ加加森山、光岳方面を覗いてみる。一瞬木々の間から加加森山らしき山が見えるが、すぐにガスで何も見えず。さらに下ったあたりで、少し南アルプス側が開けたところがあった。少しガスが晴れてきたようで、奥茶臼山あたりは確認できた。ただ、主稜線の聖岳や加加森山はやっぱりガスの中。
木々の間から加加森山?
奥茶臼山(左)から小河内岳あたりまでは確認できる
南アルプス方面
さすがに帰りは何人(組)かの登山者とすれ違ったが、それでも静かな山歩きだった。ほとんどの人がきまま仙人と同じ往復コース。数名は大きなザックを持っていたので、テント泊か縦走の人だろう。特に50分~1時間くらいくだったあたりで何組かすれ違った人たちは、ほとんどの人があとどれくらいかを聞いてきた。それもあと30分くらいですか?と。嘘もつけないので、ちょっと回答に困った。
往復コースなので、コースの状況がわかっているので、心の準備ができているのはいい。トラロープ箇所も難なく通過。赤テープを探すために立ち止まるようなこともほとんどない。印象としてザラ薙までが遠かった。天気は確実によくなってきていて、ザラ薙からは池口岳の山頂も確認できたし、鶏冠山からの稜線などはよく見えた。もう少しだ。
池口岳(左)と鶏冠山(右)
左から池口岳、鶏冠山、中ノ尾根山と続く稜線
南側はかなり急
12時33分下山から1時間半ほどで標識のある1,971mピークに到着。少しゴールが見えてきた感じ。ザックを下ろしてシリアルでエネルギー補給。甘いものが美味しい。
距離が長いが危険なところは限られているので、帰路なだらかなところは結構なペースで降りられた。利検沢の頭を越え、13時25分黒薙の頭まで戻る。期待していた通り、池口岳の双耳峰の両ピークがくっきりと見えていた。山頂でこういう状況でなかったのは、少々惜しい気もするが、ここからはっきり見られただけでも御の字。昨日今日で初めて展望に満足。しばし見とれる。
熊伏山?
黒薙をあとにすると、もう開けた展望が期待できるところはない。池口岳の雄姿に別れを告げて、再び下山。ここからはもう危険なところもない。安心して一気に下った。といっても小さな起伏がボディブローのように効いてくる。足が疲れてきている実感はひしひしと感じていた。でもこの日の後半はけっこう快調。多少息はあがっても、苦しくて足が出ないようなことはまったくなく、どちらかというとガシガシ登った。ちょっとだけ自信が戻ったかな。涼しくなったせいか、体重が少し減ったせいか、はたまたやっとトレーニングができてきたのか?
緩やかな下りは快適
途中、登りの時に見つけられなかった1,561mピークを探しながら下るが、やはり見つけられなかった。今はもうなくなってしまったのだろうか? いったいどこ?
面切平を一気に下り、14時48分無事登山口に戻った。ふぅ~ほっとひと息。先行者の車はまだ停まったっまだったから、きっと南峰の方に向かったのだろう。
着替えた後、せっかくなので車で避難小屋を見に行く。小じんまりとしたプレハブ小屋だが、中はなかなか奇麗だった。車内で寝るのではなく、この小屋で寝てもよかったかも。
意外にきれいだった避難小屋
帰りに遠山温泉郷 かぐらの湯(620円)で汗を流す。ここもなかなかいい温泉でした。ここで翌日どうするか思案。今日がけっこうタフだったから、明日どこかに登るとしたら、少し軽めのコースがいい。今回失敗だったのは、あまり他のエリアの地図やガイドブックを持ってきていなかったこと。結局、渋滞もするだろうし、今回はこのまま深夜運転して帰ることに。
途中八ヶ岳PAで少し寝て帰ったのですが、それでも事故渋滞にはまって大変でした。混んでいただろう北アルプスは避けたけど、やっぱり車移動が失敗でした。
でもなかなか行きづらい2座を登れたことで、充実感のあるシルバーウィーク山行になりました。
おしまい
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