WOMAN IN GOLD
出発到着が遅れるは、激しく揺れるは、一昨日の飛行機は酷かった。ホテルに着いたのは日付が変わってから。日本時間にすると、2時半くらいだ。おまけに昨日は仕事の問題が発覚し、大わらわ。今回は大変な出張になりそうだ。
でも、夜行便ではなかったので映画を見られたのは収穫。全く知らない映画だったが、「WOMAN IN GOLD」というのを見た。絵画好きのきまま仙人には、なかなか面白かった。
この映画は、クリムトの名作「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I」(「黄金のアデーレ」)の所有権(他の絵も含め計5点の絵画)をめぐって、実際にあった裁判の話。何かのTV番組で、この裁判について紹介していたことがあって、少しだけ覚えていたので、見てみることにした。裁判自体は2006年に終わっている。ちなみに日本での公開は今年の11月とのこと。
TV番組では、さらっと裁判のことを紹介していただけだったので、この絵が海を渡らず(今は米国にある)、オーストリアにあった方がよかったのではないかとの印象を持ったが、映画を見ると正当な権利は、やはり姪のマリア・アルトマンにあると思う。
ただそんなことよりも、この絵の渡ってきた歴史、ナチスによるユダヤ人迫害、マリアらの米国への逃亡、ナチスによるユダヤ人財産の没収、そして戦後オーストリア政府へ、、、という悲しい歴史が印象深かった。
国(オーストリア)が返還を拒否し、裁判にまでなったのはモデルのアデーレの遺書を根拠としたものでした。アデーレは遺書の中で(主人に)自分の死後これらの作品をオーストリアの美術館に寄贈してほしいと記していたとのことです。ただ所有者はあくまで夫であり、のちの夫の遺書では財産はマリアを含む3人の姪甥に譲るとあったのです。
映画としては、マリアの家族愛、祖国愛。あるいは政府に対して戦う凛とした姿勢がいい感じ。ともに戦う弁護士も、当初経験不足で頼りないが、自分のルーツがオーストラリアにあることを知ってから徐々に変わっていき、成長していく姿も好感が持てる。
またオーストラリアでの裁判?では難しかったものが、アメリカでオーストラリア政府を相手取って裁判を起こすことができたというのも面白い。
この絵は、最終的にマリアに返還され、その後2006年6月、当時としては史上最高値の1億3500万ドルで、エスティ・ローダー社社長(当時)のロナルド・ローダーに売却され、同年7月からニューヨークのノイエ・ガレリエに展示されているとのことです。
当初、マリアはアデーレの遺言の希望に基づき、オーストリア政府に購入してもらいたかったようですが、オーストリア政府にそれだけの費用が出せなかったといわれています。とんでもない金額なので、きまま仙人には何とも言えませんが、この点はやっぱりお金か、、、と少々複雑な気がします。特にウィーンの人にとって見れば、、、
モデルのアデーレや元々の所有者だった夫のブロッホバウアー氏の遺志は今となってはわかりませんが、この絵はユダヤ人の権利回復の象徴にもなり、裁判により新たな歴史的価値が加わったことは確かなようです。
きまま仙人もちょっと調べてみましたが、ここのサイトが詳しいです。
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