鉄斎美術館
先週の日曜日(9日)、武田尾温泉の帰りに、ひとり清荒神(阪急)で下車して、鉄斎美術館に立ち寄ってきた。展示スペースは、ほとんど1部屋。こじんまりとした静かな美術館。内容は企画によって入れ替えているようで、この日は "書簡が語る名作秘話"というタイトルが付けられていた。
幸い見たかった富士の屏風絵を見ることができて、小雨の中立ち寄った甲斐があった。
鉄斎美術館は、清荒神清澄寺の中の聖光殿という白い建物にある。富岡鉄斎と清澄寺との関係は省略するが、鉄斎の作品や書簡1200点を保有し、企画によって入れ替えて展示しているようだ。ちなみにきまま仙人が入館したときは貸切状態。独り占めして静かに絵を見ることができた。
清荒神 本堂
鉄斎美術館である聖光殿
正直きまま仙人は、富岡鉄斎という文人をあまりよく知らない。以前、何かの雑誌の記事で紹介されているのを見て、前々から興味がった。清荒神にあるということで、小学生くらいの時に訪れたことがあるという場所の懐かしさと、掲載されていた富士山の絵の力強さが印象的だった。今回、こんなに近くに来て、しかも時間的余裕があることはめったにないので、小雨にもかかわらず立ち寄った。
ちなみに今回、飛行機での移動はきまま仙人だけ。関西組や名古屋組はそのまま帰宅。関東組も単身赴任者は自宅へ、横浜在住者は所要があったらしく朝一で一足先に宿を出ていた。で、さびしく、いやお気楽な一人旅となったわけ。もっとも鉄斎を見に行きたいという奴は、あの中にはいないかなぁ。。。
入館料は300円。展示もこじんまりとしていて、6曲1隻の屏風が2隻。掛け軸が、十数軸(20はなかったような)、その他書簡や額、絵帳があった。タイトルからして、書簡が多かったが、正直書簡はちょっとわかりにくい。
画風は実にさまざま。南画とか人文画というのだろうが、いろんな絵があって面白い。お目当ての富士山は屏風絵。1枚はふもとの浅間神社からの全体図。実際の富士よりもずっと急に立ち上がっていて、高さや急峻さが強調されている絵。上部は上から下に線を引くように塗られており、下部は木々なのだろう、大きな点を置くように塗られている。
もう一枚は山頂部のクローズアップ。御鉢部分が書かれている。こういう景色が見られる場所はないので、鉄斎の想像図だろう。登山者が4人書かれており、池大雅、高芙蓉、韓天寿、4人目が鉄斎らしい。そういわれてみると全体図の方にも浅間神社に登山者が書かれている。これもそうなのかも? この富士山頂図、力強い線で描かれたごつごつの岩の山頂になっていて、全体図のきれいな曲線と対照的で面白い。でも山頂に立った人間ならば、山頂にこういう印象を持つのもよくわかる。
掛け軸のほとんどには賛も書かれている。解説が無ければほとんど読めない。ただこの解説、じっくり読むと面白いのだが、かなり疲れるしわかりにくいものが多い。DVDを流している部屋があったので、先に座って映像を見ることに。こちらの方がずっとわかりやすかった。かなり長かった(30分くらいはあった?)が、結局ひと回り見てしまった。DVDを見てから再度展示室でその絵を見ると、より興味深く見ることができた。
展示されていたものだけで鉄斎がわかるというものでもないが、富士の屏風絵を見られただけでも十分満足しただった。
降っていなかったら、そのあと箕面でも散策したのにな。こちらは又の機会。
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