デュフィ展 絵筆が奏でる色彩のメロディー
ラウル・デュフィの作品をこれだけまとめて見るのは初めてだ。パステル系が印象的な色面とのびやかな線が特徴の心地いい絵を思い浮かべるが、初期の作品や陶器、テキスタイル(布地、生地、織物)、木版や水彩画といろいろなものをまとめて見ることができた。
以下の4章で構成されている。
第1章 1900-1910年代 造形的革新のただなかで
第2章 木版画とテキスタイル・デザイン
第3章 1920-1930年代 様式の確立から装飾壁画の制作へ
第4章 1940-1950年代 評価の確立と画業の集大成
1章の初期の頃は、まだまだオリジナリティがなく、いろんな試みをしている。印象派の色遣いはいうまでもなく、フォービズムやキュービズムなども。デュフィとしての特徴はまだほとんど見られず、言われなければ誰の作品かわからない。
2章では木版やテキスタイル。きまま仙人はよく知らなかったが、どちらもデュフィを語る上では外せない。特にテキスタイルは、音楽シリーズなどに多用されているパターンにもつながっていて興味深かった。陶器やタピスリー、椅子のシートなどを見ても、画家としてだけでなく、デザイナーあるいは工芸家としての側面も面白い。
ダンス
何点か印象に残ったものを紹介しよう。まずはきまま仙人がデュフィというとまず思い浮かべるのが音楽シリーズ。タイトル画像に載っている”ヴァイオリンのある静物:バッハへのオマージュ”、や”ドビュッシーへのオマージュ”。装飾的な大胆な色面にのびやか、しなやかな線で楽器やテキスタイルで用いられたアラムが描かれている。リズミカルで明るく、装飾的で部屋に飾りたい絵だ。デュフィらしくてきまま仙人も大好き。
ドビュッシーへのオマージュ
デュフィらしくてインパクトのあった大物というと、代表作の”電気の精”もいいが、きまま仙人としては”パリ”が気にいった。屏風のような4枚構成で、パリを一望しているような1枚の絵でありながら、それぞれ時刻が異なる。手前の大輪のバラがインパクト大でありながら、細部をひとつづつ眺めていくのも楽しい。
パリ
もうひとつ”アンフィトリテ(海の女神)”。デュフィが何枚も書いたモチーフだが、1枚の絵、画面としても訴えてくるものがあるし、海の恵みや人々の生活、船など、これも細部を見ても楽しい。
アンフィトリテ(海の女神)
マティスらフォービズムのようなところもあるが、また違う印象。むしろシャガール(の方が少しあと?)に似た感じも。
変わったところでは、陶器で作った庭園のミニチュア。部屋を飾る一種のプランターなのだろうか? こういう展覧会では珍しい?作品だと思う。
浴女、騎手、馬が装飾された庭
雨の日だったが、幸せな気分になれるいい展覧会だった。
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