« オルセー美術館展 印象派の誕生 -描くことの自由- | トップページ | やーめた。 »

2014年7月16日 (水)

時計コレクション (番外57) 腕時計の世紀 (ワールド・ムック) 河村喜代子著

今日紹介するのは、河村喜代子さんという方(すみません、きまま仙人はまったく知らない人です。)がかかれた、ムック本だ。部分的には、少しかったるいが、過去の資料などもいろいろ掲載されていて、絵や写真を含めてなかなか参考になる本だった。

B38_udetokeinoseiki_2

この本は、『デザインがわかる』(ワールドフォトプレス刊)で連載されたシリーズを一冊にまとめると同時に、 腕時計のデザインを串刺しする「視認性を構築するデザイン」を収録したムック本とのこと。

構成は5章立てで、
1.リストウオッチ    ポケットを出た時計
2.ミリタリーウオッチ  戦場に出た腕時計
3.ダイバーズウオッチ  水に入った腕時計
4.エレキウオッチ    電気じかけの腕時計
5.視認性を構築する   ダイヤル・デザイン
参考図書
あとがき

5章が少し毛色が違うが、それぞれについて、当時の広告や写真を織り交ぜながら説明が加えられていく。内容的には、知っていることも多かったが、資料に基づいて書かれているのがいい。たとえば、懐中時計を腕に巻くリストバンドも写真や広告からいろいろなタイプ、特徴が説明されている。

B38_udetokeinoseiki_02B38_udetokeinoseiki_03

きまま仙人もNo.91で紹介したMoerisの懐中時計を腕にしてみたいと思ったが、ネットで探してもさすがに現在購入できるものは見つからなかった。

また2章では、実際に多くの軍人がハック機能により、時間を合わしているところの写真がある。話としては知っていても、写真が伝えるものは文字以上にリアルだ。きまま仙人は特にミリタリー好きというわけではないが、軍事用に発達した技術があるのもたしかで、エピソードも多い。

タイプXX(20)というのは、ブレゲのモデル名としてよく知っていたが、もともとはフランス軍が出した購入仕様だったんですね。

B38_udetokeinoseiki_04B38_udetokeinoseiki_05

3章のダイバーズウォッチ、有名なロレックスのオイスターケースの物語(英仏海峡横断時使用)も掲載。

B38_udetokeinoseiki_06B38_udetokeinoseiki_07

ハミルトンが世界で初めて電池式腕時計「ベンチュラ」を販売したことは有名だが、ムーブの写真や図などは、今まであまり見る機会がなかった。シチズンの電波(腕)時計など、機械式ではない時計の歴史がつづられている。まぁ機械式時計のマニアからすると、興味としてはやや薄いが、これはこれでよくまとまっているとは思う。

B38_udetokeinoseiki_08B38_udetokeinoseiki_09

5章は、初めて読む内容が多かった。視認性に関していろんなデータがあるもんだ。ダイヤル径と読み取りエラー率の関係データなどは興味深い。距離や時間制限の有無などの条件でことなるとのことだが、こういう定量的なデータは初めて見た。一方で最近のブラックモデルやスケルトンモデルは、視認性なんか無視しているが。。。まぁ、それはそれとしてもデータに基づいてデザインがされているのは合理的な設計だと思う。ミリタリーウォッチの文字盤に黒が多いののも、実証データをあげて説明されているので、すごく納得できる。

B38_udetokeinoseiki_10

機械式時計に関する本というよりも、腕時計の発展を文化的、歴史的にまとめた本として、面白かった。

|

« オルセー美術館展 印象派の誕生 -描くことの自由- | トップページ | やーめた。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 時計コレクション (番外57) 腕時計の世紀 (ワールド・ムック) 河村喜代子著:

« オルセー美術館展 印象派の誕生 -描くことの自由- | トップページ | やーめた。 »