K2 初登頂の真実
金曜日までの公開なので、有楽町まで 「K2 初登頂の真実」を見に行ってきた。一応、山屋としては、見ておきたかったので。
事実自体が面白かったが、映画としてはもうひと工夫欲しかった気がする。
タイトル通り、世界第二の高峰K2初登頂の物語。映画としては久しぶりにマイナーな映画で、ウェブを見る限り、全国で5館のみの上映。2012年製作のイタリア映画だ。
K2の初登頂については、ほとんど何も知らなかった。少しこの映画の背景となる事実を、映画の公式サイトから引用しておこう。
「1954年、その名誉ある初登頂を果たしたのは、アキッレ・コンパニョーニ、リーノ・ラチェデッリの二人。本来であれば、その偉業を達成した二人は国を挙げて祝福されるはずだった。しかしイタリアは「登頂は隊全体の名誉」として、長い間その名前を公表しなかった。その陰で、50年以上に亘って初登頂をめぐりクライマー達の思惑、そして名誉を懸けた訴訟が繰り広げられていた。果たして1954年のイタリア隊によるK2初登頂の陰に何があったのか?
世界第2位の高峰初登頂の記録が公になるとともに、隠されていた事実は明らかになり、アキッレ・コンパニョーニ、リーノ・ラチェデッリの名前が世界に知れ渡ることとなる。結果的に54年のイタリア隊はK2初登頂に成功したが、頂上アタックにおけるメンバー間の齟齬はヴァルテル・ボナッティを精神的に傷つけることとなってしまう。デジオ教授による下山後の登山報告書や、登頂から10年後のマスコミの報道などで、K2初登頂におけるボナッティの役割が歪曲して記録、報道されたことが発端で、50年以上にわたりヴァルテル・ボナッティは裁判で争い、初登頂から54年後にようやくK2登頂における事実が認められた。2004年にはCAI(イタリア山岳会)の公式見解も訂正され、名誉回復がなされた。」
つまり明らかになった事実を映画化したものだ。そして(映画の内容が事実だとすれば)、その事実は栄光の初登頂者による殺人未遂事件といってもいいくらいだ。ボナッティが優れた登山者であったことで、高所でビバークして無事生還したが、まったくひどい話だ。事実だから仕方ないが、見終わった後にやるせなさの残るストーリだ。アッキレとリーノ、彼ら2人の名前は栄光の歴史に名を刻むと同時に、人として許されないことをした不名誉な名としても残ることになった。
あと、確かに美しい山岳風景の映像もあったが、予想を上回るものではなかった。また登頂の困難さやK2という山の厳しさが今ひとつ伝わってこないのも残念だった。
きまま仙人が登る山と、8000m峰、まして初登頂をかけた1950年代の登山は全く違う世界。今のような優れた装備もない時代、命がけで名誉や競争のために登山をした時代。そういう時代のことを知れたことは、とても興味深かった。
もうひとつ、劇中でK2のことを「カッパドゥーエ」と言ってました。イタリアでは「カッパドゥーエ」と呼ぶのかな?
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