好天の五月の軽登山、展望と信仰の山、高原山(5月17日山行記録(2))
まだ時間が早いのか、鶏頂山山頂は誰もいなかった。山頂には鶏頂山神社(他は高原山神社なのにここだけは鶏頂山神社)なるちゃんとした建物が。神社の南側からの展望は気持ちいい。これから登る馬蹄形の尾根、御岳山、釈迦ヶ岳、中岳、西平岳が一望。南西側には日光の山々の裾野だけが見える。残念ながら山頂部は雲の中。北側もよく見えない。西側手前の山並みは良く見えるが、尾瀬の燧などは確認できず。唯一南東側筑波山ははっきり見えた。山頂でパンをかじってエネルギー補給。
少しゆっくりしてから釈迦ヶ岳を目指す。ストックを出して、残雪部は慎重に下る。気は使ったが、怖いという感じではない。分岐からは比較的なだらか。ただ、このあたり右側(馬蹄形の内側)はかなり崩壊している。
馬蹄形の内側の崩落
小さな起伏の後、弁天池(ここは沼ではなく池と記述されていた)近道の分岐を分け、ひと登りして御岳山。山頂には高原山神社の小さな祠。展望も今ひとつなので、そのままスルー。釈迦ヶ岳直下には、こちらも残雪が少し。ここで今日初めて単独男性の登山者とすれ違う。少し立ち話。塩谷から登ってこられたようだ。最後にもうひと登りして、9時15分釈迦ヶ岳山頂着。意外と広い山頂で、展望は素晴らしい。まさに360度の大展望。風が心地いい。
釈迦ヶ岳山頂、三角点に釈迦の像がある
山頂には三角点と、高原山神社の小さな祠。さらに名前の通り立派な釈迦如来像が。しばらくすると、登山者が一人、大間々台からのようだ。2人で雑談しながら景色を堪能する。時間的にも体力的にも余裕があったので、予定通り西平岳まで足を伸ばしてみることにする。登り返しがタフそうだが、ここからの稜線は展望も期待できそう。
歩き始めて急な下りにちょっとたじろぐ。やっぱり止めようか、、、、まぁまずは中岳まで行ってみよう。芝のような登山道をゆっくり下っていく。急であることを除くと、コースとしては高度感のある展望の稜線歩き。なかなかいい感じ。100mほど下ったコルからは樹林帯に入る。
展望のいい稜線を下る
鶏頂山
中岳
中岳頂上前後は、今日のコース中最も険しいところだった。安全のためのロープが設置されているところも、三点支持が必要な場所もある。ただ、きまま仙人にはむしろ変化があって楽しい。ストックが少々邪魔だったが。9時51分、意外に簡単に中岳到着。展望は今ひとつだが、ここにも高原山神社の小さな祠がある。またこのあたり、何ツツジかアカヤシオかわからないが、ツツジのつぼみが膨らんでいた。1,2輪は咲いている花も。ただ葉っぱはほとんどない。
中岳付近から釈迦ヶ岳を振り返る
中岳を越えると、残雪帯を抜けて急な下り。さすがに少し膝に疲れを感じる。この下りは精神的にきつい。下りきると、一気に視界が開けた赤土でザレた感じの尾根になる。鶏頂山の見える角度が変わっていくのが面白い。西側が崩落していて高度感もある。こういう変化が楽しい。折り返しでなければもっといいのだが、車だと取れるルートに制限が生じるのはやむを得ない。頂上直前、好展望の場所にも神社の祠。10時15分、登りきると南西側が木々に覆われた西平岳山頂に着く。
西平岳の最後の登り
西平岳山頂付近から中岳、釈迦ヶ岳を望む
片側が木々で遮られているので、風も穏やかで休憩には最適。ザックを降ろして休憩。考えてみると、釈迦ヶ岳を出てから誰にも会わない静かなコースだった。筑波山の双耳峰が印象的。パンでエネルギー補給。目的地まできたことに安堵するも、釈迦ヶ岳への登り返しを考えると、まだまだ安心できない。
帰路は写真を撮りながら、特に急なところはことさらゆっくり進む。ただ帰路は思ったよりも短く感じた。初級者には険しいところもあるが、中級者以上にはいいコースだと思う。
一時間もかからず、11時6分釈迦ヶ岳に戻る。登山者が増えているのにびっくり。10数人はいただろうか? 1人の「富士山だ!」という声で、周辺の登山者が探し出す。たしかに薄っすらと富士山が見えた。近くの日光連山や那須の山々が雲っているのに遠くの富士山が見えるとは。やっぱり富士山が見えるとうれしい。富士山が見えたことで山頂の雰囲気が一気にアットホームに。
うっすらと富士山
きまま仙人が山頂にいる間に、中岳・西平岳方面に向かう登山者はなかった。ほとんどの登山者は、鶏頂山と釈迦ヶ岳を目指しているようだ。トレランのランナーも1人。前半のなだらかな部分などジョグできるところは多いが、ウインドブレーカーや水、最低限の食料など必要な装備はないと危険な気がする。山頂でバナナやパンで長休止。
11時20分、釈迦ヶ岳をあとにする。御岳山を越えて少し行くと、弁天池(沼)近道分岐がある。このルート、上部は沢筋で雪渓が残る。もちろんアイゼンがいるほどではない。ルートをはずすとズボッと行きそうだったが、ルート上は歩きにくくはなかった。むしろ雪上歩きが楽しい。快調に(分岐から)10分強で弁天沼到着。
雪渓を下る ヒゲネワチガイソウ
弁天沼には中高年の団体さんがいて賑やか。朝は、池の奥の方までは行かなかったので、改めてミズバショウやクロサンショウウオの卵を確認。クロサンショウウオの卵をストックで触ってみたが、意外にしっかりしている。
景色を楽しみながら写真を撮っていると、、、、「すいませーん。」と少し離れたところから団体さんの声がかかる。シャッターを押してほしかったようだ。思わず苦笑い。。。シャッターを押すこと自体はいいが、他人に物を頼むのに、遠くから呼びつけるとは。せめてその人のところまで行って頼むべきだろうに。呼びつけたのはおばさんだったが、まったく失礼な人だ。
その団体さんと一緒にいたくなかったので、シャッターを切ったら早々に下山。途中大沼にも立ち寄ってみる。大沼は入口の標識から2、3分。たしかに弁天沼などから比べると大きな沼だ。しかし周辺の水がよどんでいてあんまりきれいではない。でも少し回り込むと、逆さ鶏頂山が水面に映りなかなかいい景色。弁天沼とは違い、静かに景色を楽しむことができた。ぜひ立ち寄ってもらいたい場所だと思う。
大沼に映る鶏頂山
あとは一気に下山。緩やかなくだりは走りたくなるくらい。13時ちょうどに西口登山口駐車場まで帰ってこれた。久々に余裕の山行!
帰りは料金所でもみじラインの通行料(610円)を徴収される。このとき料金所で案内の冊子をもらう。その中に立ち寄り温泉でも使える割引券が。鬼怒川公園岩風呂(510円のところが300円に!)でさっぱりして帰った。この温泉、サウナなどはないが、露天風呂(但し屋根が無いので日射しが暑かった。)、檜風呂があり、時間制限もなくリーズナブルな値段だ。割引券で300円になったのは本当に安い!
心配した風も大したことなく、変化に富んだ好展望の山旅ができました。できればもう少しして、ツツジ類がたくさん咲く頃か秋の紅葉の時期がいいのかなぁと思います。
全国的には、それほど知名度のある山ではありませんが、なかなかいい山です。
おしまい。
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