雪の急登に大苦戦、槍穂の展望台蝶ヶ岳(4月26-27日山行記録(1))
このGW前半、迷いに迷って結局北アルプスの蝶ヶ岳に登ってきた。直前の天気予報では、日曜日から下り坂。当初は日月の予定だったが、天気を考えて一日前倒しして土日で。
蝶ヶ岳は12年ぶり、前回は秋の紅葉の時期に一ノ沢から常念岳~三股へ。今回は歩いたことのない上高地側からの周回とした。横尾からのルートも徳沢からの長塀尾根も、以前山渓の「名急登100」という特集で選ばれていたので、一度通ってみたかったこともある。たしかにどちらも急登だった。
まずコースとコースタイムをあげておく。
26日(土) 上高地B.T.6:26-明神7:16-徳沢8:04-横尾8:58-槍見台11:17-稜線分岐13:58-14:31蝶ヶ岳ヒュッテ(泊)
27日(日) 蝶ヶ岳ヒュッテ6:48-蝶槍7:21-8:13蝶ヶ岳ヒュッテ8:30-蝶ヶ岳8:33-長塀山9:10-徳沢11:14-明神12:12-12:57上高地B.T.
金曜夜、仕事が終わって早々に帰宅&出発。思ったよりも順調に首都高を抜けることができた。今回は念のため1泊用の装備と日帰り用の装備の両方積んで出た。途中携帯で天気予報を確認して蝶ヶ岳に決定。順調に午前1時ころ沢渡に到着。空には星がきれいだ。明日は晴れるぞ! 早々に眠りに z z z
○4月26日(土)晴れ
5時過ぎに目が覚め、準備を始める。いい天気になりそうだ。それにしても連休前仕事がハードだったこともあり、ほとんど熟睡だった。バス停に行こうとすると、タクシーの相乗りを勧められ便乗させてもらった。少し上高地に早く着けたことで、気持ちにも余裕が。さすがに連休初日の早朝ということで、観光客は少ない。
登山届を出すところで、係の人に雪の状況を聞く。ここで予定を変更して横尾から登ることにした。もともと横尾からのルートは、雪の状況を確認して問題なさそうなら、下りに使おうと考えていた。だが情報を得て、急な横尾からのルートを登りに使うことをチョイス。下りより登る方がより安全だと判断したためだ。
河童橋から雪の穂高連峰
6時26分、ゆっくり歩き始める。上高地はこの林道歩きがかったるい。順調に明神を通過し、8時4分徳沢着。考えてみると、徳沢まで来るのは本当に久しぶりだ。途中、大きく開いたフキノトウがたくさん。春らしい。
休憩を取らずそのまま横尾へ。8時58分、順調に横尾着。横尾山荘が新しくなっていることに驚き。小屋前もこんなに広かったかなぁ? ベンチに座って、小休止。バナナとパンでエネルギーを補給し、日焼け止めを塗っておく。いよいよここからが本番だ。
横尾付近から屏風ノ頭、左奥は前穂
9時12分、横尾を出て山道に入ると、いきなり雪上の急登になる。ほぼ同時期に前後して3組が出発。一人の男性は、きまま仙人より少しあとに出発して、早々に追い越していき、以後会うこともなかった。が、もう一組、男性若者2人テント組とはこの後稜線まで抜きつ抜かれつ。
新しくなった横尾山荘 いよいよここから山道
少し登ったところでアイゼンを装着。ストックかピッケルかは迷ったが、安全を考えてピッケルを選択。歩きやすそうなのはストックだったが、万一滑った時にはピッケルの方が安全だ。
樹林帯で展望は全くない。踏みあとは少しわかりにくいところもあるが、木々に黄色いペイントマークがあったり、赤いテープがあるので、道に迷うことはない。直登のところも多いので、登りは非常にきつい。小一時間も頑張って登ると、既に心臓がバクバクしだした。マイペースで呼吸を整えながらゆっくり登っていく。
2人組の若者たちのペースもそれほど上がらない。時折声を掛けあうのが心強く感じる。ズボッ! 稀に雪を踏み抜くことが、春の雪山に有りがちだが、これが体力を消耗する。一度は左足が腰まで沈み、脱出困難に。やむなく周辺の雪を掘り起してやっと足を抜く。
また、息が上がってくると、頭がぼーっとしてくる感じも。寝不足も一因か。とにかく立ち止まって、ミニブレイクを入れながら無理のないペースで登る。思ったよりも時間がかかる。
急登、しかも雪が深い
樹林帯の中で、展望は無いし、距離のわかる標識もない。進み具合はGPSの高度表示のみ。メンタル面でもきつい登りだ。1時間半ほど歩いたところで、ザックを降ろしてゼリー食をポケットに。細かいエネルギー補給は有効だ。と、雪の上に頭だけ顔を出した「第2ベンチ」と書かれた小さな標識を見つける。きまま仙人の地図には載っていない。
さらに少し登ると11時17分、少し展望の開けたところに出た。標識は見あたらなかったが、「槍見台」だろう。しばし槍の姿を眺めながら休憩。ただ、景色を堪能する余裕なし。このままのペースで行くと、稜線まで(横尾から)5時間くらいかかりそうだ。とはいえ今後ペースが落ちることはあっても、上がることは厳しいだろう。まだまだ焦りはないが、時間的には余裕があるとはいえなくなってきた。
槍見台、名前の通り槍が望める
槍見台を越えて、少し行ったところで再度2人組を追い越す。なぜかこのあと彼らのペースが落ち、稜線まできまま仙人の孤独な、きつい登りが続く。急な分、進んだ分だけ確実に標高は上がっていく。ただ、疲れで足がふらついて来たのがわかる。ヤバイ。
急登にばてばて、でも稜線が近い?
前方の空が少し青くなってきて、がんばって登りきると、、、少し開けたところに出た。振り返ると穂高が近い! これでなくては、、、ドテッ! 気を抜いたわけではないが、雪に足を取られて転倒。実際そうとう疲れが。ここは稜線のようだが、残念ながら、まだ枝尾根のようだ。せっかくなのでちょっとブレイク。
樹林帯を抜けると穂高が近い!
ここからは少しなだらかになった分、雪が深くなった。斜度としては楽になったが、歩きやすくはない。もうひと頑張すると、いきなり樹林帯から飛び出した。すぐ上に稜線が見える。稜線には雪がほとんどなく、標識も見えた。まずは雪のないところまで登り、ブレイクを入れてアイゼンを外し、ピッケルをストックに代える。正直、ホッとした。しばらく休んでいると、2人組も樹林帯を抜けたのが見えた。手を振って健闘をたたえ合う。
13時58分、稜線の(常念、蝶、横尾の)分岐の標識に到着。横尾から4時間46分(休憩込)、後半はまずまずペースも維持し何とか頑張れたかな。
あまりの疲労感のため、予定していた蝶槍をパス。そのまま蝶ヶ岳ヒュッテに向かう。槍穂の大展望はすばらしいが、少しガスっているのが残念。やはり春より秋冬の方がくっきり感はある。ただ風も穏やかでとても気持ちいいコンディションだ。
槍ヶ岳、この展望を見に登ってきました
横尾分岐付近の小ピークから、蝶ヶ岳への緩やかな稜線
展望盤のある瞑想ノ丘、奥には蝶ヶ岳ヒュッテ
14時31分、蝶ヶ岳ヒュッテ着。とにかく無事についてひと安心。小屋は2人分のスペースを1人で使用。広さとしては快適。一泊2食で9,500円、水が宿泊者もすべて有料なのはちょっと。1Lくらいは無料提供してほしいかな。コーヒー、キウイ、チョコなどをつまんでひと息ついたら、しばらく横になって休んだ。まぁ昨夏の船窪小屋に比べればまだまだ大丈夫。
夕食は5時半から。単独の登山者も多かったが、多くは三股か長塀尾根からの方。長塀尾根の雪の状況を聞く。アイゼンが無くても何とか登れるくらいの状況らしい。天気が崩れるのが遅れているようで、日曜日も好天が期待できそう。ラッキー!
食後、夕日を期待したが、雲が出てきて夕日は見れず。その後談話スペースで、しばらく雑誌を見たり、他の登山者と話をしたり。昼間蝶槍付近でライチョウが見られたとのこと。白いライチョウはほとんど見たことが無いので、ちょっと残念。近くを通ってたはずなのに。
奥穂には雲がかかっていたが、前穂側は薄っすら夕焼け
結局消灯時間を待たずに早々に寝床へ。ほとんど朝まで爆睡。
ん~、今日はここまでで一旦切ります。続く。。。
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