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2013年12月 2日 (月)

「モローとルオー 聖なるものの継承と変容」展

週末、パナソニック汐留ミュージアムに「モローとルオー 聖なるものの継承と変容」展を見に行ってきた。もちろん2人とも有名な画家ではあるが、どちらかというと人気薄な画家かな、と思っていたので、人の多さにびっくり。

でもなかなか面白い展覧会でした。

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きまま仙人は、正直モローはあまりよく知らなかった。ルオーはもちろんよく知っているが、これほどまとめて見る機会は初めてだ。また日本初公開の絵が多いことも興味深い。

ほとんどの絵に短い解説が付いており、図録や音声ガイドがなくても最低限のことがわかるので、非常によくわかった。やはりキリスト教や神話に関する絵など、きまま仙人には絵だけだとわかりにくいものが多い。
またモローとルオーがパリの美術学校での師弟であるだけでなく、マティスやマルケもモローの生徒だったようだ。つまりルオー、マティス、マルケらは同窓だということ。知らなかった!

展示構成としては、
ギュスターヴ・モローのアトリエ
裸体表現
聖なる表現
マティエールと色彩
特別セクション 幻想と夢
の5パート。
その他に「モローとルオーの往復書簡」として手紙のやり取りが展示されている。ただ手紙は興味のある人には面白いのだろうが、きまま仙人にはかったるくて後半パスした。

モローは象徴主義の画家とされるが、サロンに出品するなど当時としては本流(印象派とかが亜流?)でいながら、かなり自由な考え方であったように思う。やはり宗教的、神話的な題材の絵の方が印象的だが、かなりいろんな試みをしている。
学者的な絵画への探求心を持っていたように思われ、特に「油彩下絵」という色だけを並べて、色彩の効果を試した習作などを見ると、画家の目指していた「色彩の解放」と「美しい材質感」がわかるようで興味深い。一方でモローらしい絵とはなんだろうと考えると、ちょっとわかりにくい。

あと、細部までかきこまれたきれいなものもあるが、けっこう"汚い"と感じる絵が多かったのは少々?だ。

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  ギュスターヴ・モロー  「パルクと死の天使」
  すごくインパクトありました

またモローは生前に自宅を自ら美術館に改装し、国に寄贈している。画家自らが、作品の選定や配置を決めた個人美術館というのは、実に珍しい。今回モローの多くの作品は、改装中のこのモロー美術館からきたものだ。今後パリに行く機会がもしあったら、ぜひ立ち寄ってみたいと思う。

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  モロー  「ユピテルとセメレ」

さてルオーはというと、精神性という意味で、モローを継承しているというのがわかる展示がされている。ルオーというと、やはり特徴的なルオーらしい絵がきまま仙人は好きだ。厚塗りベタ塗りの絵具、太い黒の輪郭に、カラフルな色使い。ステンドグラス的ともいえる絵を見ると、やっぱりいいなぁと思う。

「われらがジャンヌ」やパナソニック汐留ミュージアム所有の「避難する人たち」「キリスト」「道化師」など数点はルオーらしい作品だ。

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   ジョルジュ・ルオー  「我らがジャンヌ」

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 ルオーといえば、よく見る「聖顔」

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  ルオー  「トゥリウスの家におけるコリオラヌ」
  もちろん、こういう絵もあります。

会期はあとわずかですが、興味のある人は行ってみられてはいかがでしょうか。

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