時計コレクション (89) 御日時計(江戸時代の日時計(レプリカ))
この手の日時計は、江戸時代の旅の案内書などに付けられるなど、かなりポピュラーだったようだ。購入したものはA4の大きさがあるが、きまま仙人はもっと小さいものを見たことがある。当時の現物が同じサイズだったとすると、この手の日時計にしては大きな方ではないだろうか。
この日時計は、太陽の高度を見る(影の長さを見る)タイプだ。今まで紹介したものでは、No.22のノモスの日時計や、No.66の日時計ペンダントと原理的には同じといっていい。(別のタイプとして影の位置を見るタイプがあるNo.10フォッシル サンダイアル参照)
北を知る必要がない、つまり方位磁石を持つ必要がないのが利点だ。一方で高度は季節によって異なるので、季節を合わせてやる必要がある。この時計では大雑把に月または24節気(半分の12にまとめられている)から該当するものを選んで使うようになっている。基本的に夏至と冬至を折り返すイメージ(たとえば4月と6月、3月と7月は同じ)なので、実用的には半分でいいのだが、この日時計は12月分きちんと書かれている。下の同タイプのものは、4月と6月が同じ列なのがわかるだろう。
月or24節気で
選ぶ
四・六月、三・七月が
同じ列になっている
目盛は江戸期のものの複製なので、不定時法の目盛になっている。"六つ"が日の出日の入りだから、原理的には影長が∞。"九つ"が南中で一番影が短くなる。間に"四つ八つ"、"五つ七つ"がある。その間の目盛の数や、目盛の●の意味はよくわからない。(あまり意味がないような気がする。) 不定時法なので、時間は六(日の出開始時)、五、四、九(正午)、八、七、六(日の入終了時)
使い方は、該当の月(節気)の指時針(ノーモン:gnomon)にあたる紙を直角に立て、影がその列上に真っ直ぐ重なる方向に置く。写真のような感じだ。朝、"七つ"少し前という時刻だ。
12月のところを
立てて影を見る
影が線と重なる
ように置く
右上の「御日時計」のあとは、簡単な使い方が書かれているようだ。左上に現代文で書いてくれている。興味深いのは、左下の発行者と思われる記述。「神田御成道 御時計師 ●屋伊三郎」(●は該当する漢字無し)と書かれている。神田御成道の時計師、伊三郎が作成したのだろうが、ネットで調べても●屋伊三郎については、何もわからなかった。
実際どのくらい役に立っていたのだろう? 使っているところを想像するのも面白いものだ。
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