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2013年10月29日 (火)

ターナー展

台風の余波が残る中、上野の東京都美術館にターナー展を見に行ってきました。ちょっと疲れましたが、なかなか良かったです。

Turner_01

ターナー、もちろん英国の風景画の巨匠ウィリアム・ターナーです。きまま仙人は、今まで機会が無くて、これだけまとめてターナーの絵を見るのは初めてでした。そういう意味ではなかなか面白く見ることができました。

ターナーというと水彩画の風景画という印象がありましたが、油彩も結構残しているんですね。またキャリアの中で、いろんな試みをしているのがよくわかり、面白かったです。後の印象派の画家たちに影響を与えたというのもうなずける絵がたくさんありました。特に晩年は光や色の構成を意識して書いていたようで、まさに印象派に繋がる試みだったと思います。画壇の中で賛否両論あったという絵があるのも理解できました。

当時、大自然やその猛威に対する畏怖や敬意を「崇高」という概念で捉えるようになり、ターナーも風景画の中に「崇高」な自然を描こうとしたようです。単に美しい「絵になる風景」から、険しさや劇的シーンを描こうとしていったようです。そして晩年には光や色、ある部分は抽象化へと。

「グリゾン州の雪崩」などは、タイトルを見るまで、何の絵かわかりませんでした。雪崩と言われて、なるほど、、、と。厚塗りの絵具と、大胆な構図が印象的です。

Turner_07

 

 

 グリゾン州の
 雪崩

 

 

 

晩年の「湖に沈む夕陽」などは、既に形が明瞭ではありません。印象派に近い試みだと思います。

Turner_09

 

 

 湖に沈む
 夕陽

 

 

 

きまま仙人がターナーの絵で印象的なのは、ひとつは遠近感の表現ではないかと思います。イタリア旅行後描かれたラファエロの絵などは特徴的だと思います。地平線(あるいは水平線)が低く、空が広い。人物や動物はすごく小さい。ものすごく奥行きを出すように描かれています。ただ稀に、意図的に平べったく描いたの?というのもあるんですが。

Turner_04

  ヴァティカンから望むローマ、ラ・フォルナリーナを伴って
  回廊装飾のための絵を準備するラファエロ

水面に映る景色の書き方も素晴らしいですね。特に細かく描いているものが。それだけに晩年の作に多い雑っぽく見える、あるいは少し抽象化されて描かれている絵と見比べるのも面白い。

Turner_02

 

 

 

 

 

 
 

 

 スカボロー(版画集「イングランドの港」のための原画)

もう一点は光の表現でしょうか。水彩で淡く描いたり、白飛びさすように強い光を表現したり。ターナーらしい絵にしているのは、光の表現だと思います。

気になったのは、今回未完の絵が多かったこと。未完の絵自体は、資料としても重要なものがあるのはわかりますが、展覧会でいくつも見せられても難しいなぁとは思いました。あと、色の配置をテストしたようなものや、注文を取るためのサンプル的作品などは、興味深いのですが、ちょっと疲れましたね。

それでもターナーという画家を深く知ることができるいい展覧会だったと思います。

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