少年H 妹尾河童著
映画の少年Hを見て、細かなストーリーを覚えていなかったところもあったので、本当に久々に「少年H」を読み直してみた。本当はかなり前に読み終わっていたのだが、ブログに書く余裕がなくて、、、
当時あの発想で時代を見ていた少年は特異だとは思うが、戦争前後の神戸の様子がリアルに描かれているいい本当にいい作品だと思う。
きまま仙人が「少年H」を読んだのは、話題になった少し後?文庫本が出た直後の1999年頃だと思う。印象的な作品で、母にも勧めた記憶がある。
この作品は作者妹尾氏の自伝的小説とされている。賛否両論ある作品ではあるが、きまま仙人は好意的に受け入れている。体験に基づいたリアリティが随所に感じられたからだ。
たしかにいくらクリスチャンの家庭で育ち、神戸の洋服屋の父ということで外国人との接触が多かったとはいえ、当時の一般の人々との考え方、ものの見方に大きな違いがあり、自分(作者)だけが戦争や当時の考え方が間違っていたことをわかっていたぞ、という自慢げな部分もあるし、いろいろ指摘されているように歴史的事実とは違った部分や、一般の人が知りえない事実が書いてあるというのは、実際記憶に基づいてではなく、戦後時間がたってから戦後の考え方を踏まえて書かれたせいだろう。歴史的事実とは違った部分はよくないが、それでもこの作品の意味は十分あると感じる。
ちなみにやはり小説を読み直して、はるかに映画より小説の方が自然に面白く読めた。心の中で思ったことを、映画ではセリフにしているためかもしれない。少年がむしろ小生意気に感じた。映像化されたことで、わかりやすくなった部分も多かったが。
たまにはこういう昔読んだ本を読み直してみるのもいいものだ。まぁよく古本屋にも出さず残っていたと思う。
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