鎖・ロープ・梯子、ハードな岩登りの先の大展望、荒沢岳(8月29日山行記録(1))
荒沢岳は、奥只見湖畔銀山平を見下ろすように聳える新潟県魚沼にある山です。二百名山なのに三百名山には含まれないという奇妙な?山です。(二百名山と三百名山は選定団体が異なり、荒沢岳の代わりに山上ヶ岳が入る。)
以前、越後駒ヶ岳や平ヶ岳に登った時にすっごく格好のいい山が見えていて、いつかは登りたいとは思っていた山です。(2枚目参照) コースタイムも短くないし、長い鎖場や梯子があるなかなかハードなコースです。覚悟はしていましたが、暑さもあり思っていた以上に本当にタフでした。でも山頂からの眺めは素晴らしく、本当にいい山でした。
前夜のうちに車で移動。小出からの道シルバーラインは長ーいトンネル。曲がっているところでは電気で大きな矢印が表示されていて走りやすく、思っていたよりも早くつけた。銀山平登山口の駐車場は、車中泊禁止ということでシルバーライン出口付近の駐車場で仮眠。ちょっと曇っている感じで、星はほとんど出ていない。天気予報を信じて眠りにつく z z z
○8月29日(木)
朝移動すると、既に車が1台。もう出発したのか?人はいない。駐車場にはきれいな水洗トイレもあり、備え付けの紙もある。無料とは思えない駐車場だ。まだ早いのでゆっくりしていると、もう一組5人組のパーティがやってきた。これから登る前山方面はガスがかかったり晴れたり。やや空は曇り模様で、天気予報のようにすっきりという感じではない。展望が期待の山だけに、ガスの具合は気になる。
中央奥が登山口
赤いポストで登山届を書き、5人組に続いて5時34分登山口を出発。すぐにコース中唯一の水場がある。そこからはいきなりしっかりした登りがはじまる。登山道自体は整備されていて歩きやすい。ダケカンバなどの樹林帯を確実に高度を上げていく。少しずつ空も青みが増していく。期待できそうだ。
ダケカンバの
中を登る
ひと汗かいて6時19分、三角点のある前山着。ここで5人組に追いついた。木々のあいだからどっしりとした越後駒が見えた。越後駒の登山道から見た荒沢岳のカッコ良さを思い出す。もう10年以上も前のことだ。荒沢岳方向はまだガスがかかっている。
越後駒ヶ岳
一気にテンション上がる
荒沢岳はガスの中
前山からは一旦下る。ここからしばらくは小さな起伏を越えていくが、比較的緩やかに稜線を登っていく。ただし意外と距離はあり思ったよりも長い。ホツツジの仲間(ミヤマホツツジより少し小さくて白い?)だと思うのだが白い花が咲いている。あとはオヤマリンドウやミヤマアキノキリンソウなどがちらほら。ブナやカエデの木が目につくので、紅葉の時期もよさそうだ。
ホツツジの仲間? オヤマリンドウ
1262mには標識はない。時折木々の間から駒ヶ岳が姿を見せ、反対側には奥只見湖が見下ろせる。前方の前嵓の尖峰が近づいてくる。
前嵓が
近づいてきた
陽が差すようになり、暑くなってくる。汗びっしょり。再び勾配がきつくなってきて、高度を上げていくと7時21分 「これより岩場注意」の標識に到着。いよいよここからが本コースの核心部。ブレイクを入れてひと息つく。ここまではまずまずいいペース。
ここから核心部
少し行くと鎖やロープが連続する。かなり急な岩場だ。足元が少し湿っていて、若干滑りやすいところがある以外は(登りは)危険というわけではない。ただやはり初心者や怖がりの人には厳しいだろう。登山道はちゃんと整備されているし、ホールドもしっかり探せばちゃんとある。垂直に近い梯子が長いのがちょっと緊張感がある。鎖場も三点支持で慎重に登っていけば大丈夫。一人だと緊張感もあり、写真が極端に少ない。おまけに鎖場の急さや緊張感は写真では出せないなぁ。。。
長ーい梯子
ほとんど垂直
しばらく登るとピークをひとつ越える。前方のガスはいつ間にか晴れて、やっと荒沢岳の山頂が姿を見せた。が、まだ遠い。。。それ以上に前方の岩壁に圧倒される。斜めに層をなし、柱状節理なのか細かな割れ目が印象的。ただしこの岩壁はさすがに登らない。呼吸を調えてルートを確認する。一度下ってトラバースしていく。
前嵓を望む、正面の岸壁が印象的
一度下ってトラバースしてやや左、斜めに見える登山道から
樹林の尾根の急登を登る
この下り、はじめに一枚岩をトラロープで下る。少し湿っているので慎重に、ここはロープに体重をかけて後ろ向きで確実に。下を見ると谷筋には雪渓も残っている。トラバースして沢筋を回り込む。このあたりは水場というには細いが、水が少し流れ、ぬかるんでいるところがあり、岩は滑りやすい。また花もきれいだ。ツリガネニンジンやアザミ、コゴメグサ、ウツボグサなどなど。あまり見慣れない赤紫色の花はミヤマママコナというらしい。花は多くはないものの、元気をくれる。
アザミ ツリガネニンジン
コゴメグサ ミヤマママコナ
上から見えていた斜めの登りルートは、驚くほどの急登ではないものの手も使いながら登っていく。時々立ち止まって休みながら一歩ずつ。尾根筋にあたると、かなり急勾配の岩場を鎖を頼りに登っていく。写真ではなかなか急な感じがでないが、下をのぞき込むと高度感はかなりある。確かに滑落すると非常に危険なところだ。幸い前後に登山者がいなかったので自分のペースで登れたが、人が多いと渋滞しそうなところだ。浮石もほとんど気にならず、急がず慎重にゆっくり登っていく。実はこういう登りは嫌いではない。ただちょっと長いか。。。
岩場の急登下部 登ってきたコースを振り返る
確実に登っていき、順調に登りきると荒沢岳が大きく目に飛び込んでくる。東西に翼を広げたような山容はちょっと感動。前嵓は登り切って少し稜線を進んだところ。しかし、ここまでの疲労か、足がふらついている。。。8時20分 前嵓到着。前嵓につくと、倒れこむように休憩。前嵓の標識は倒れてしまっていた。伝之助小屋3.5キロ、荒沢岳1.8キロと書かれている。危険個所は過ぎたとはいえ、まだまだ標高差でも430mもある。近くはない。バナナでエネルギー補給。
翼を広げたような荒沢岳、中央の尾根を登る
どっしりとした越後駒ヶ岳(魚沼駒ヶ岳)
今日はここまで。
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