谷文晁展 (サントリー美術館)
最近日本画が少し気になっているきまま仙人。週末、六本木のサントリー美術館に谷文晁展を見に行ってきた。
6月の「ファインバーグ・コレクション展 江戸絵画の奇跡」で見た谷文晁の「秋夜名月図」の空気感が印象的だった。またちゃんと見たことはないんですが、北海道から九州まで旅をして描いたという「日本名山図会」は山に関するものとしては貴重な資料でもある。山屋として谷文晁という名前は少なからず記憶にあった。で、この展覧会もぜひ見たいと思っていたわけ。
が、谷文晁という画家は幅が広いというか、本当にいろんなものを書いていて、ちょっと掴みどころのないようなところがある。なかなか理解できたなんていえませんが、いい絵は多かったです。
展覧会の構成は以下、
序 章 様式のカオス
第1章 画業のはじまり
第2章 松平定信と『集古十種』 - 旅と写生
第3章 文晁と「石山寺縁起絵巻」
第4章 文晁をめぐるネットワーク - 蒹葭堂・抱一・南畝・京伝
正直、「秋夜名月図」のような空気感のある絵はほんの少し。そういう意味では良くも悪くも期待を裏切られました。画風がさまざまというか、松平定信のお抱え絵師だったので、要求に応じて何でも書いたというのか、実に多岐に渡っている。画法も(正直よくわからないですが)南画というだけでなく、狩野派や円山四条派、土佐派、洋風画も学び、いいとこどりの融合・折衷をなしていたようだ。とにかく絵がうまいのはわかるが、まだまだ日本画がよくわかっていないきまま仙人には、谷文晁という画家のオリジナリティをはっきりと感じることはできなかった。。。そういう意味ではこちらの知識不足とはいえ、もう少し構成に工夫が欲しかったかも。
印象に残ったものの画像が見つからなかったものがほとんどなので、作品名が明確にかけないのですが(メモを取ればよかったm(_ _)m)、いくつか挙げたいと思います。
まずは一番初めの孔雀図の色彩と細かさに唸る。掴みはOKという1枚。それから山水画や花鳥画、仏画などなど序章の章題どおりカオスだった。
面白いと思ったのはコラボ作品。たとえば文晁が絵を描いて、パトロンの松平定信が賛をいれているようなもの。定信も達筆で、絵画と書の融合作品として、すごくいい感じでよかった。さらに進んだコラボ作品は、酒井抱一との老梅図(亀田鵬斎賛)は抱一が描いた枝に文晁が描き足した合作のようだ。その他、増山雪斎邸合作は、まさにその日集まった文化人たち数名の合作。遊び心や即興の妙のようなものが出ていて面白い。
酒井抱一との合作
老梅図
仏画も印象深いものが何点かあった。特に仏涅槃図。色鮮やかな画面に10大弟子や民衆やいろんな動物や、、、何が書かれているか細部を見るのも面白い。左の緑の木々と右の黄色っぽい木々は何かの象徴か? 雲に乗って降りてくる天女?の集団やおどろおどろしい形の雲が、何か物語を語りかけてきてくる。(きまま仙人の知識では良くわからないが、、、)
この展覧会で目玉のひとつは、近年サントリー美術館が所蔵した「石山寺縁起絵巻」全七巻(谷文晁の写し)の修復後初公開。これが修復?というくらい色鮮やかでくっきり。本家石山寺のものも2巻展示されていて、うちひとつは同じ場面。細部の違いを比べるのも面白い。微妙に違う部分はあるが、写しというよりも2組あるといっていい作品だと思う。
石山寺縁起絵巻
最後に日本名山図会、名山図譜も富士山や笠置山などが展示されていた。版木も展示されていたのがちょっと興味深かった。Amazonやヤフオクでも現代版や古書が買えるはずだから調べてみようかな。
全国を旅して描いたもののひとつ、熊野舟行図巻
日本画はまだまだ奥が深い、いや洋画よりもまだまだ敷居が高いかな?と感じた展覧会でした。
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