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2013年7月 2日 (火)

時計コレクション (88) WISA Chronostop (Venus103)

このコーナー久しぶりです。今日紹介するのは、以前アンティークウォッチフェアーで見つけたなかなか興味深い1本。クロノストップ(ストップセコンドまたはゼログラフともいう)機能のベビークロノ(ベビークロノストップ?)だ。

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この時計は、何といってもヴィンテージらしい作りに加え、今までのきまま仙人のコレクションにはない特徴がいくつかある。状態に比べて価格もお手頃ではあったので、思わず衝動買い。

まずゼログラフ(ストップセコンド:Zerograph / Stop second)についてはじめに触れよう。この機能はリューズと同軸(リューズに付いた)のボタンを押した瞬間にクロノグラフ針が帰零するもので、フライバックのようなものと思っていただければいい。軽く押した状態で停止はするが、実用的にはボタンを押し込んだ状態(0秒)以外でクロノグラフ針を止めることはできない。簡易計測機能だ。

ムーブメントはVenus103(ヴィーナス103)。ヴィーナスのクロノグラフ系のムーブメントでは初期のものになる。製造は1940年代、それも前半だと思われる。5振動/秒(18,000振動/時)、15石、6時位置にスモセコ。もちろん手巻。クロノグラフと同じようにトランスミッション・ホイールで、クロノグラフ針の接断を行い、ハンマーでハートカムをたたくことによってリセットしている。クロノグラフとほぼ同じ機構を持っているといってもいい。

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 Venus103

 

 

 

このVenus103、きまま仙人の手元には大した資料がないし、ネットでもあまり触れられていない。なかなか珍しいムーブだ。R.ラング氏の「Chronograph Wristwatches:To Stop Time」にも記載されていない。ゼログラフではない、クロノグラフの個体があるのかどうかも不明。

ゼログラフのボタンがベビークロノにはやや大きいかと思えるようなアンティークっぽい菊リューズに同軸というマニア心をくすぐる物になっているのがいい。ムーブメントを見ると、高級仕様とまでは言えないとしても、まずまずきれいだ。ブリッジにコート・ド・ジュネーブに似せたエングレービングがされているし、トランスミッション・ホイールの受けなどには面取りがされている。

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 アンティーク
 らしい文字盤

 

 

 

積算計がないので、回転ベゼル(風防内)を分針に合わせて計測する仕組みだ。回転ベゼル外環部分がコインエッジになっているのもいい。よくわからないのは、回転ベゼルの45までの数字は赤字、50/55/60は黒字となっている。45分まで計るものというと、サッカー用とかなのだろうか?

写真でオメガのスピードマスタとの大きさを比べてもらいたい。ケースサイズはリューズ・ラグを除くと27.5mmという小ささ。まさにBaby Chrono! 実際に使うには小さすぎるかもしれないが、この小ささはヴィンテージらしくていいし、何といてもかわいい感じがする。文字盤は黒文字盤に白字でアラビア文字がプリント。3周の渦巻きタキメータがまたヴィンテージらしいという憎いデザイン。

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 小ぶりなサイズ
 かわいい

 

 

ケースにはヘアラインもエッジも残っているし、非常に程度がいい。ほとんど未使用品(New Old Stock)といっていいだろう。裏蓋ははめ込み式で、ずっとフィルムでも張り付けてあったのか、一部茶色く変色しているが、大きな問題はない。裏蓋の内側に「FOND ACIER INOXYDABLE」というフランス語標記の刻印がある。FOND ACIER =鋼の底、INOXYDABLE=錆びない、という訳らしく、裏蓋はステンレス製ということのようだ。ベゼルやサイドはクロムニッケル素材ではないかと記されているものもある。またハメ殺しのラグで、バネ棒ではないためにベルト交換はやや不便。

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 裏ブタ

 

 

実は購入後ネットで調べてみると、同じものあるいは回転ベゼルではない金字のプリントのものが結構多く見つかった。オークションやショップのHPで。説明がおおよそ一致している。
「欧州で未使用、ニューオールドストック品数個を入手する事ができました。」とのこと。かなりの数一度に見つかったのではないだろうか? 未使用品というのもうなずける。

あとわからないのが、「WISA」というブランド。聞いたこともないし、ネットで調べても有効な情報は見つかっていない。多分スイスのブランドだと思うのだが。。。

銘品というわけではないが、ヴィンテージらしい、大事にしたい1本だ。

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