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2013年4月30日 (火)

ジェノサイド 高野和明著

久しぶりに圧倒されるスケールの小説だった。何というか濃いストーリーだ。きまま仙人の発想をかなり超えた小説。やや難解なところはあるが、エンターテインメントとしてはすごい。 設定はSFやファンタジー的なのだが、構成はもっと論理的でサスペンス的。が、引っかかる点も満載!

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ワシントン、アフリカのコンゴ、そして日本、と世界をまたにかけて話が進む。しかも実名ではないとはいえ、米大統領をこき下ろすし、米政府が裏で卑劣なことを行っているという設定。あるいは日本の過去の虐殺なども一般的にそこまで断定して書いていいの?というところも。軍事上のことなども含め、どこまでが事実で、どこからがフィクションなのかと判断がつかない部分が。信じやすい人が読んだら歴史や米国を誤って理解するような人が出てもおかしくない気がする。いや~こんな小説が許されるのかという部分もあった。逆にそれだけに予想を超えていてエンタメ的には面白いといえば面白い。

薬の構造の話や新人類間の会話の構造についてなど、理系人間のきまま仙人でもはっきり言って難解な部分(専門用語など)も多かった。読みづらいと思う人もいるかもしれない。きまま仙人には面白さの方が勝り、読み返すなど時間がかかったところはあるが、読みづらいとは感じなかった。

突然変異的に生まれた新人類(超人類)が、今の人間にはない能力を持つという設定自体は不自然とは思わない。しかし完全なSF小説ではないので、新しいロジックを開発するようなクリエイティブなことが、子供の年齢で神のように何でもできるという設定は、ちょっとSF過ぎて気にはなった。(受け入れにくかった。) 今の人間も思考能力としては飛躍的に伸びたというのではなく、何千年かをかけて多くの科学者が積み重ねて今の世の中を作ったはずだ。逆に言うと、GIFTという薬を作るための万能支援ソフトを作るくらいなら、該当の薬の構造と合成方法をはじめから提示できたのではないの?と思ってしまう。

正直細かい点では、そういった突っ込みたくなるような部分も多々あった。が、一段レベルの違う部分で話が進展している感もあるので、ある意味突っ込みにくい。 それゆえこの小説は有りえているし、すごいと思う。が、歴史認識や日韓関係、米国という国についてなど、読みようによっては誤解を与える危険な小説でもある。そういう意味では単純なSF、ファンタジーだと思って読んだ方がすっきりするかもしれない。

少し考え方が偏っているのでは?というような感じがするし、特に日本あるいは日本人に対しては偏見というか卑下し過ぎのような印象が。

あと新人類がどう考えているのかは、ほとんど触れられていない。(イエーガーに助けてくれたことに対する礼はいうが、(旧・今の)人類全体に対する想いなどは不明。ここは結構物語としては中途半端感がある。

ジェノサイドというタイトル通り、こんなに人が死ぬ小説は久々に読みました。カシワバラや大勢の少年兵の死など読後感のあまりよくない小説ではあります。面白かった部分と、後味の悪い部分と。それでも読む価値ありのすごい小説だと思うなぁ。

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