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2013年2月17日 (日)

奇跡のクラーク・コレクション展

三菱一号館美術館に「奇跡のクラーク・コレクション -ルノワールとフランス絵画の傑作-」を見に行ってきた。

期待をしていなかったわけではないが、思っていた以上にクオリティの高いコレクションで大満足。特に印象派好きには見逃せない展覧会だと思います。

Clark01  

 

 ルノワール
 「劇場の桟敷席(音楽会にて)」

 

 

 

いつも美術館には朝一に行くことが多いが、珍しく夕方4時頃に入館。そのせいか思っていたほどは混んでいなかった。まぁゆっくり、とはいかないまでも普通に見ることができました。

クラーク美術館はニューヨーク、ボストンから車で3時間、日本人にはあまりなじみのないマサチューセッツ州ウィリアムズタウンにある美術館。クラーク夫妻が収集した印象派を中心とするコレクション。今回美術館建て替え(安藤忠雄氏が担当)のため実現した展覧会。全73作品中59作品が初来日という貴重な機会といえる。

何といっても収集家の志向が強く感じられるというか、審美眼が素晴らしい。単にお金持ちが画商にいわれるまま収集したというのではない。いくつか印象に残ったものを挙げてみたい。

まずはやはり22点のルノワール。鮮やかな色使いの少女の絵はどれも素晴らしい。目玉作品クラスがいくつも。たとえば「うちわを持つ少女」は数年前のルノワール展のポスターになっていた作品。

中でもきまま仙人が気に入ったのは「(猫と)眠る少女」。寝ている少女もいいのだが、膝の上にスカートと同色の猫がかわいらしく眠っている。その表情と、スカートと同化したような感じが印象的。また風景画が4点、静物画が3点とルノワール展でもなければ、なかなかないのでは。静物画も「たまねぎ」はインパクト大。きまま仙人はこの絵葉書を買ったほど。リアリティがありながら、実にルノワールらしいタッチがいい。意外にも裸婦は1点のみ。しかもただ1点の裸婦がこれっ?と、この絵だけは収集者の好みがよくわからない。風景画でいうと「日没」という、ルノワールがこんな絵?と思う珍品も。きまま仙人はあまり好きでない絵だったが。とにかくこの22点はルノワールファンにはたまらない。

Clark02

 

 

 ルノワール1点のみの
 裸婦がこれっ?

 

 

 

 

ミレー、コロー、モネ、シスレー、ピサロ、ドガなど有名どころも数点ずつ。ミレーの2点の柔らかい感じもすごくよかったです。モネ6点は好みもあるかもしれませんが、きまま仙人には他の人の作品の方が印象に残ったかな。

印象派以外で印象に残った作品は、、、アルフレッド・ステヴァンスの「公爵夫人(青いドレス)」はドレスの感じもいいが、恋文だろうか、手紙を読んで横を向いて何か物思いにふけっているような表情が印象的。ジェームズ・ディソの「菊」は女性の顔が秀逸。ウィリアム=アドルフ・ブグローの「座る裸婦」は独特の色気があって引き込まれそう。ジャン=レオン・ジェロームの「蛇使い」も面白い。人種や小物、衣装が寄せ集めで独特のアラブ風になっている。タイル壁の模様の細部の書き込みもすばらしい。同じジェロームの「奴隷市場」は題材自体がインパクト大。アカデミズム絵画では、あまりよく知らない作家も多く、新鮮でした。

章立てというか構成は、
3階
-印象派への道:コローとバルビゾンの画家たち
-光の画家:印象派の画家たち
-伝統と革新:アカデミズムの画家たち
2階
-光の画家:印象派の画家たち
-ドガ:個展と印象派をつなぐ画家
-印象派からポスト印象派へ

光の画家、、、が2階と3階に分かれていて、間にアカデミズムが入るなど、並びは疑問を感じる。ルノアールの分けられかたも見やすい/分りやすいとはいえない。出品目録も作家順のリストで並びとは別なので??? 絵葉書も気まま仙人のほしいものはいくつかなかった。このあたりはもう少し考えてほしいような。

いずれにしても、行く価値のあるおすすめの展覧会です。5月26日まで。特に印象派好きは出かけてみたらいかがでしょう。

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