観光地を外れると静かな花の山、乗鞍岳(7月28日山行記録(1))
本当に遅くなってしまいましたが、7月28日の乗鞍岳の山行記録をアップします。仙塩尾根の記録はもうしばらくお待ちを。。。
速報でも書いたが、前回登ったのは30数年前の高校生の時(自身初の3,000m峰/初の百名山)。畳平から往復しただけだったし、ややガスがあったこともあり、山頂や畳平以外はほとんど記憶にない。そんなわけで、もう一度行っておきたいと思っていた。
来週末からは夏休みでハードな南アルプス縦走の予定。観光気分で畳平からの散策でもいいとは思っていたが、乗鞍高原側の少し下、位ヶ原から登り始めた。肩ノ小屋まではそれより上とは別世界の静かな山歩きが楽しめた。
コーストコースタイムは以下。
乗鞍高原観光センター6:10=バス=位ヶ原6:49-肩ノ小屋口7:47-肩ノ小屋8:19-8:59剣ヶ峰9:22-肩ノ小屋10:00-10:33富士見岳10:41-畳平11:00-お花畑散策-11:23畳平12:05=バス=乗鞍高原観光センター
前夜(金曜)は客先と会食があり、少々遅い帰宅。ここで寝ると早朝起きるのは無理だろうと思い、シャワーを浴びて0時前に東京を出発。まぁどこかのS.A.で仮眠するつもりだった。思いの外順調に3時半頃観光センターに到着。この時は多くの星々が明日の好天を期待させてくれた。とりあえず車内で仮眠。。。
○7月28日(土)晴れ、山頂部は朝ガス
バス停に近いところに停めていたこともあるが、周りの音で5時半前に目が覚めた。空はやや重く、すっきりしない感じ。トイレのついでに乗鞍岳方面を望むと、山頂部はガスの中。ん~やや失望。バスの時間を見に行くと、始発(別にご来光バスというのが3時台にあるあず)は6時10分発とのこと。寝なおす気にはならず、急いで準備をしてシャトルバスに並ぶ。天気も人ごみも早い時間の方が有利だと予想して。
シャトルバスは普通の大きさのバスが2台出た。観光客、登山者だけでなくスキーや自転車(もちろん輪行バッグで)を積み込む人がいてさまざま。きまま仙人は途中の位ヶ原で下車したが、ここで降りたのは2台合わせてもきまま仙人ただ一人。
スタートは位ヶ原山荘から
バス停は位ヶ原山荘の真ん前。たまたま山荘の方が外におられたので、挨拶をして登山道の様子を聞いてみる。残雪はあるが特に問題はなさそう。6時49分、ゆっくりと歩き始めた。登山道の入り口は200mほど車道を進んだあたりにある。
今回ここから登り始めることにしたのは、位ヶ原からはコースタイムで70分ほどで大雪渓の下、肩ノ小屋口に着く。標高は2350mくらいなので、畳平からの往復ではちょっと物足らない人向きにはちょうどいい感じ。一方、それより下の冷泉小屋や三本滝からだと、車道歩きの割合が増える割に、それほど楽しそうなコースにも思えなかったからだ。寝不足だしあまりハードにするつもりがなかったこともある。
車道を少し上がってから、いよいよ登山道に入る。入口にやや道が険しいようなことが書かれてあったが、これはハイカー向け。山屋の感覚では、ごくごく普通の登山道だ。この時、既に影がはっきり映るくらいの日射しがあった。暑くなりそう。山道に入ると、さっそく花々が歓迎してくれる。ミヤマカラマツ、葉の形の違うモミジカラマツも、ミヤマキンポウゲ、ベニバナヘビイチゴ、あと白い花はシラネニンジンかハクサンボウフウ? 木漏れ日の中、花の写真を撮りながら登る。上を見るとナナカマドの白い花も。紅葉の時期も楽しそうだ。やや湿度の高い蒸し暑さが気にかかる。
山頂部はガスの中 登山道
ミヤマカラマツ ミヤマキンポウゲ アオノツガザクラ
ベニバナヘビイチゴ モミジカラマツ ナナカマド
時折山頂部が望めるが、相変わらずガスで覆われている。アオノツガザクラやシナノキンバイ、ミヤマキンバイなど黄色系の花の種類も多い。チングルマ、コイワカガミ、ミツバオウレン、ヤマトユキザサ、、ショウジョウバカマ、ヨツバシオガマやエゾシオガマも。花を探しながら登るのが楽しい。谷筋には雪渓もちらほらと残っている。雪渓をトラバースするような感じで登っていくところがあったが、全く不安な個所はない。(アイゼンは不要)
40分ほど登った7時28分、一旦車道に出た。少し車道を行き、雪渓の横から再び山道に入る。ここからは視界が開ける。山頂部がきれいに見えるといいコースだろうと思う。残念ながら雪渓の下の方しか望めない。
小さな雪解けの沢に沿って登るようになる。花の種類はそれほど変わらない。途中「宝徳霊神」という道祖神かな。よくわからないが、とりあえず登山の無事を祈念して進む。このあたりから少し流量が多くなり、軽い徒渉を数度。特に通行に問題はない。ハイマツが見られるようになり、背の低いキバナシャクナゲも姿を見せる。雪渓から吹いてくる風は、肌寒いくらい。
沢に沿って登る
コイワカガミ ??? シナノキンバイ
位ヶ原山荘からちょうど1時間くらいで、7時47分肩ノ小屋口に到着。ちょうどトイレがあったので、大をしてすっきり。ここまでは誰にも会わない静かな山歩きだったが、ひと組老夫婦らしき方が、この肩ノ小屋口から登り始められるようだった。(登山者らしくなかったので、会釈だけでスルー)
ここからはいよいよ大雪渓を登る。とはいえ、本当に雪渓上を登るのは初めのみ。ただ、この日はきまま仙人が初めての通行のようで、つま先を蹴りこみながら慎重に登った。登山道を示すロープがあるので、迷うようなことはない。アイゼンを付けたいと思うほどではなかったが、バランスを取るのにストックは持ってきてもよかったかなと思った。でも雪渓登りもなかなか楽しかったです。木漏れ日の樹林帯から沢沿いの道、そして雪渓と変化があり、予想以上にいいコースでした。
ロープでコースはわかる
左前方の大雪渓の中では、スキーヤーがポールなどコースの整備をしていた。雪渓でのスキーは、前回来た時もすごく印象に残った景色。ハイマツや(花のない)バイケイソウかコバイケイソウが多くなり、キバナシャクナゲ、チングルマ、コイワカガミ、アオノツガザクラなどに、注意してみていくとハクサンイチゲ、ミツバオウレン、ミスズオウ、コケモモ、イワツメクサ、ツガザクラ、ミヤマハタザオなどなど。岩、雪渓、花となかなか楽しい。前方のガスの中にぼんやりと小屋が見えてくると、最後にひと頑張すれば肩ノ小屋だ。直前のハイマツには球花が付いていた。人の声が大きくなってきて、8時19分肩ノ小屋着。今までと打って変わって人の多さにうんざり。
ミスズオウ チングルマ コケモモ
小屋の周辺はハクサンイチゲのお花畑。いや見事でした。残念ながら完全にガスの中に入ったようで、山頂方面は真っ白。とりあえず剣ヶ峰に向かう。ここからはほんと歩きにくかった。速い遅いは構わないが、人が多い上に登山道の真ん中で立ち止まって休憩する人や、まとまって座り込んでいる家族連れ。注意したくもなるが、登山の山ではなく観光地だと思うとやむを得ない。ただ小さい子などが一生懸命登っているのを見ると、こういう簡単に来ることができる3,000m峰も存在意義があるように思えてしまう。こういう経験から自然や山に興味を持ってくれれば。
肩の小屋からの登山道
人についているときはゆっくり目のペースだが、道を譲られたり、下りの人が待ってくれたりすると、何となく急いで登る。ペースが一定しないので、そこだけはやや疲れたかな。30分ほどで蚕玉岳(2,979m)を過ぎ、左回りの一方通行区間になるとほどなく頂上小屋。さらにもうひとがんばりで8時59分乗鞍岳の最高峰3,026m剣ヶ峰山頂に到着。山頂はガスで展望がないにもかかわらず、大勢の人であふれんばかりだった。
頂上小屋
ちょっとここでブレイク。続きはその2で。
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