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2012年8月23日 (木)

歩きごたえのあるロングコース、3,000m峰をつなぐ仙塩尾根(8月4-8日山行記録(2))

8月4-8日の仙塩尾根山行の記録その2、2日目馬ノ背ヒュッテから両俣小屋まで。

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  鋸岳の奥に八ヶ岳、中央左一番奥は浅間山(仙丈山頂から)

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 大仙丈岳手前からの
 仙丈岳

 

 

○8月5日(日)晴れのち曇り

日の出を山頂付近で見るために早出をする人も結構いたが、きまま仙人は朝食のおにぎりをほおばりながら小屋裏のポイントで日の出を待つ。甲斐駒と栗沢岳の間、奥秩父のあたりから日の出が上がる。予定では4時50分頃。きれいな甲斐駒のシルエットに刻々と変化する奥秩父の上空の色がすごくきれい。期待をして今か今かと待ったが、残念ながら雲が掛かっていて、待てど暮らせど朝日そのものは姿を見せなかった。ん~惜しい。それでも朝の景色を十分堪能できた。

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 甲斐駒(左)と栗沢岳の
 間、奥秩父から日が昇る

 

 

5時22分、馬ノ背ヒュッテを出発。タカネグンナイフウロ、ヨツバシオガマ、ミヤマキンポウゲなどのお花畑を10分ほど登ると馬ノ背の稜線(丹渓新道合流)に出る。すぐに森林限界を越えて、ハイマツやシャクナゲの気持ちのいい稜線歩きに。前方には薮沢カールの奥に仙丈岳のピークが見え、仙丈小屋が近い。振り返るとまず気が付くのが甲斐駒から繋がる北側鋸の稜線の上に八ヶ岳、西側には中央アルプス、北西遠くには北アルプスもはっきり見える。思わずガッツポーズ。爽やかな晴れた朝の最高の展望。山頂が待ち遠しい。

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 カールの奥が仙丈山頂
 仙丈小屋も見える

 

 

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 北アルプス遠望
 槍穂、後立山連峰も確認

 

 

6時8分、仙丈小屋到着。小屋近くのミヤマダイコンソウの群落が印象的。小屋の前には好展望のテラスがあっていいロケーションだ。せっかくなのでここで小休止。カールの縁を反時計回りに回るように登っていき、6時39分仙丈岳(3033m)山頂着。

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 カールの縁を登っていく

 

 

山頂には早朝にもかかわらず、山頂は団体さんもいて大賑わい。見るとみんな比較的軽装なので、北沢峠からの往復(周回)ルートの人たちのようだ。仙丈山頂からは360度の大展望。逆光の北岳、間ノ岳が近い。北岳のすぐ左には富士山。標高1、2、4位の高峰が並ぶ。鳳凰三山地蔵のオベリスクはすぐわかる。栗沢山と迫力の甲斐駒の間には奥秩父の山々が。よ~く見ると、金峰山の五畳岩らしきものが見える。甲斐駒から鋸の稜線の奥に八ヶ岳、その左奥は浅間山だろう。

北アルプスは穂高もキレットも槍も肉眼で確認できる。爺、鹿島槍も、その奥あたりが白馬か。先週登った乗鞍をはさみ、中央アルプスが近い。その右奥には御嶽。中央アルプスからさらに左に目をやると雲の上に平らに頭を出している黒い山は恵那山か。

南アルプスに戻ると、今回の目的の山 塩見岳がはっきりわかる。これから進む仙塩尾根もおおよそ確認できる。はるか遠くに見えるが、むしろ意欲をかきたてられた。塩見の奥は、おそらく悪沢岳が重なるようにあり、その右に荒川中岳、赤石、聖、兎、大沢あたりか。南アルプス南部は重なっていてちょっとわかりにくい。人が多いことを除くといやもう大満足。ここで携帯の電源を入れて繋がるか確認。一瞬つながったので北岳・間ノ岳を撮ってブログ更新を試みたが、残念ながら送信エラーで失敗。ブログ更新は即断念。

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   北岳(左)と間ノ岳(右)、北岳の左に富士山
   標高1,2,4位の高峰が揃う、右奥は笊ヶ岳

たっぷり展望を楽しんでから、いよいよ仙塩尾根に入る。一旦軽く下って大仙丈岳(2975m)に登り返す。

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 大仙丈岳への稜線は
 意外と狭い

 

 

仙丈から先に入る人はあまりいない。7時37分、大仙丈岳着。1人だけ先客がいたが、仙丈からのピストンのようで、間もなく仙丈に戻っていった。仙丈の喧騒とは打って変わり、大仙丈の山頂独り占め。ザックを降ろして、バナナとパンでエネルギー補給。大仙丈岳周辺も花が多い。ハクサンフウロ、シャコタンソウやコケモモ、イワオウギ、ミヤママンネングサなども。北沢峠からの周回でも、時間に余裕があれば大仙丈まで足を伸ばすのはいいと思う。

大仙丈からもしばらくは快適な稜線歩きが続く。多少の登り返しはあるものの、どちらかというと下りなので楽ちんだ。進むほどに仙塩尾根の隠れていた部分も見えてくる。しばらくして両俣から登ってきたという単独の若い男性とすれ違う。軽く立ち話をして、登山道の状況などを情報交換。この日大仙丈岳を越えてから両俣小屋までであった登山者は、彼一人きりだった。それだけ静かな山旅が楽しめた。

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   左に間ノ岳、右奥塩見岳、三峰岳までの仙塩尾根も一望

展望に花にととても楽しいコースだが、日が昇るにつれてやや暑くなってくる。快適なコースも長くは続かない。30分くらい歩いたころだろうか? 樹林帯に入り展望がほとんどなくなる。ここからが長い。9時19分苳平(フキダイラ)着。名前の通りマルバダケブキの黄色いが数多く咲いている。前夜馬ノ背ヒュッテでマルバダケブキの害の話を聞いていただけに少し複雑。他にもハクサンフウロなどが。

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 苳平(フキダイラ)

 

 

9時48分、伊那荒倉岳(2517m)着。樹林に覆われ展望はないが、三角点のある山頂だ。さらに下っていき9時57分高望池着。まずまずいいペースだ。事前情報通り、池は完全に干上がって大きな窪地でしかない。地図には50mくらい降りたところに水場があるらしいが、この様子ではかれてしまっているかもしれない。シロバナノヘビイチゴなど多くはないが花も咲いている。ワンブレイク入れてパンを食べておく。汗で水分を出したせいか、水分が無いと喉を通らないような感じが。

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    木漏れ日の樹林帯を行く    干上がった高望池

このあたりから、登山道に倒木が倒れている箇所が何か所か出てくる。今回の全コース中、この高望池から両俣小屋の区間は、他のコースに比べてやや登山道の整備がされていない。倒木は極端に通りにくいようなものはないが、乗り越えたりくぐったり。下りでくぐるのはザックが当たるし疲れる。

時折木々の間から北岳から間ノ岳の稜線が望めるが、ほとんど展望はないといっていい。やや単調な上り下りが長い。黙々と歩いた。地図上の独標には標識は無かったが、かなり遠くなった仙丈岳と歩いてきた尾根が見えていい感じ。甲斐駒やアサヨ峰などもきれいに望める。

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 仙丈からずいぶん
 歩いてきた

 

 

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 甲斐駒(左)と栗沢岳、
 アサヨ峰

 

 

高望池から1時間ほどで11時9分横川岳到着。標識もちゃんとある。ザックを降ろして座り込んで小休止。ペースは悪くないが、やはりかなり疲れた感じはある。予定通り今日は両俣に下ることにすると、時間的にも気持ちの上でも余裕はでた。

もったいない気がするが、さらに下って両俣との分岐である野呂川越に出る。おそらくこの野呂川越が仙塩尾根で最も標高が低いポイント(2300m)だろうと思う。明日登り返すのかぁ~と嘆きつつさらに300m両俣小屋へ下っていく。特に初めはそこそこの急下降。結構倒木が多く歩きにくい個所もある。しばらく下ると水の流れる音が聞こえてきて、野呂川、そして両俣小屋に近づいてきた感じがして元気が出る。傾斜が緩やかになると野呂川に沿うようになり、12時15分両俣小屋に着いた。

両俣小屋には思ったより多くの人がいて驚いた。(それまで山中で人が少なかったのに。) どうやら週末釣りをしに来た人が多いようだ。後で実際釣った魚を見せてもらったが、30センチくらいある大きなヤマトイワナだった。焼魚としてだけでなく、刺身や唐揚げ(天ぷら?)のようなものにもされていた。こういうところでの釣りというのも、これはこれですごく優雅な趣味だと思う。

両俣小屋は親しみやすいおかみさん(星さん)も有名人だが、かわいい猫が3匹いる。この日両俣小屋に泊まった客は10人弱。(釣り客の多くは週末だけのようで、この日は日曜なので下山していった。) 自炊組もいて夕食は4人のみ。アットホームないい小屋です。食事も揚げたての天ぷらなどとてもおいしかったです。水が豊富なので、頭に水を掛けて軽く洗髪。シャツも天日干し、気持ちよかった。初日と違い時間がたっぷりあったので、コーヒーを飲んだり軽く昼寝をしたり。いやくつろげました。

きまま仙人は事前にネットで見て知っていたのですが、この両俣から左俣沢、西尾根を登って北岳に出るルートは昨年の台風で崩れた個所があり今は通行止め。それを知らずに北岳から降りてくる登山者が数組いました。(すべてテント組) 若者5人?組は予定では15時着の計画だったようですが、実際着いたのは真っ暗になった後の19時。まずロープなどで分岐で閉鎖されていなかったのか?とは思います。また事前の情報収集不足も気になりますし、暗くなった後の荒れた沢下りは危険なので、途中でビバークできなかったのかとも思いました。(きまま仙人は通っていないので、どういう判断が正しかったかどうかはわかりません。)でも全員無事なようでよかったです。きまま仙人も通る人が少ないルートで単独行、安全に対しては身の引き締まる思いでした。

両俣小屋ではラジオは入るようですが、ネットでの情報は入りません。ラジオを聞いて手書きの天気図を貼り出してくれています。台風や新たにできた前線が微妙。明日はどうも雨。明後日以降がどうかわるか見極めづらい。両俣で停滞か? 熊ノ平に入れたとして明後日以降荒れたら、逆にエスケープルートがない。。。まぁ考えても仕方ないので運を天に任せて就寝 z z z

その3に続く。。。

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