秋山散策、展望と紅葉の三ツ峠山(10月29日山行記録(2))
山頂からは、期待通りのすばらしい大パノラマ。この季節、空気の透明感が夏山とは違う。やはりここは富士山の最高の展望台のひとつだ。大きくて近い。左右に優美な曲線の長い裾野を広げている姿は誰しも感激するだろう。きまま仙人が着いたときは一人登山者がいたが、挨拶を交わした程度ですぐ下山していかれた。で、しばらくはこの大展望を独り占め。
富士山はもちろん、南アルプスも近い。ぐるっと見渡すと八ヶ岳、奥秩父の山々、丹沢、御正体、箱根と360度の大展望。本当に素晴らしかった。特に夏に縦走した南アの荒川岳(悪沢岳)、赤石岳、聖岳がきれいに見えたのはうれしかった。
白峰三山、右から
北岳、間ノ岳、農鳥岳
今夏登った(右から)
荒川岳、赤石岳、聖岳
しばらくすると、10名くらいの団体さんをはじめ、数組の登山者がぞくぞく登ってきた。一気に静かな山頂が喧騒の中に。いい気もしないが、山には滅多に来ないような若者達が、大きな富士山を見て大騒ぎするのもわかるので、まぁいいか。これで山を好きになってくれればいいのだが。バナナ、おにぎりなどでたっぷりエネルギー補給。
八ヶ岳
9時30分、後ろ髪引かれつつ下山に入る。TV塔しかないようだが、前回いっていない御巣鷹山に向かう。(念のために記しておくが、日航機事故で有名な御巣鷹山とは別の山である。) 三ツ峠山とは通常三ツ峠山と呼ばれる開運山と御巣鷹山、木無山の3つのピークの総称である。最高峰はもちろん開運山で1786m。1785mという記述も多いが、この山も公式の標高が三角点よりも高いところがあるということで変わった山だ。15分ほどで御巣鷹山到着。が、建物(放送or管理施設?)と鉄塔のみで、金網で囲われた中に小さな碑があるだけ。山頂を示す標識らしきものすらない。展望も開運山の方がはるかによく、特に3ピークを踏まないと気がすまない人以外は、わざわざ行く必要はないだろう。
早々に引き返して富士見荘、木無山を経由して三ツ峠山荘へ。途中富士見荘のところで、間違えて危うく天下茶屋側に行きそうになり、引き返すというミスも。木無山の山頂も展望方位盤などはあるが、山頂を示す標識などは無かった。木無山も展望はいい。三ツ峠山荘は記憶にある印象よりも小屋前のスペースが狭くなったように感じた(変わらないはずなのに)。前回は先発隊を朝駆けし、ベンチで富士山を見ながら朝食を取ったことが懐かしい。
三ツ峠山荘を過ぎると天上山まで緩やかな尾根の下りとなる。アップダウンも比較的少なく、気持ちのいいハイキングだ。本当はもう少し紅葉を眺めながら歩けるかと期待していたのだが。。。それでも黄色に色付いたブナの木のトンネルを、木漏れ日を感じながら歩くのは気持ちいい。あと、思ったよりも木々が邪魔をして展望を楽しめないところが多かったかなぁ。このあたりも記憶はあてにならない。
木無山の肩の分岐付近
肩の分岐で母ノ白滝を経由するコースを分けてからは、再び静かな山歩きができる。たまに登山者とすれ違うこともあるが、多くは単独行の方だった。この尾根はところどころ標識はあるものの、地名の付いているようなところの表示も無ければ、距離や時間などの表示もほとんど無い。余程地形を注意してみていないと現在位置が分かりにくいと思う。ただ、間違えるようなところは全くないので、とにかく道に沿って歩けば迷うことは無い。結局霜山のピークはまったくどこか分からなかった。
ブナ系の黄葉のトンネルを行く
快調に歩を進め、三ツ峠山荘から1時間ちょっと、10時55分に鉄塔にでる。ここは視界が開けていて、初めて眼下に河口湖がきれいに見えた。(それ以前も見えたかもしれないが、気がつかず。) 意外に近い。気分的にもすごく余裕が出た。でもこのコース少し長くてかったるいなぁ。。
鉄塔付近からの河口湖
さらに30分ほど下ると、天上山と浅川の分岐に出た。ここでひと思案。予定では天上山からロープウェイで降りるつもりだったが、体力的には余裕。紅葉もロープウェイから見下ろしたいと思うほどの感じでもない。観光地を通るのも気がすすまなかったので、浅川への下山道を行くことにした。すぐに西川林道(舗装道)と交差して再び登山道へ。
この道、さすがに通る登山者も多くないせいか、今までのコースに比べると少しワイルド。倒木が多く、草木が繁って通り辛いところなどがあり、今までがちょっとかったるかっただけにある意味楽しい。とはいえ、道に迷うようなところは無い。下るにつれほとんどが針葉樹になっていく。しばらく下っていくと倒木で完全に道が遮断。越えるのはちょっと大変なので下をくぐることに。かなり低いので、横向きに倒木を抱えるように持って、ザックを下向きに反動をつけて一気に回るようにくぐった。ガツン! 頭に激痛が。。。何と回りこんだ先の見えないところに枝があって、頭をぶつけてしまった。しばらくうずくまる。幸いキャップを被っていたこともあり、出血は無かった。いや~不用意だった。未だに(1週間経つのに)触るとまだ痛い。
さほど急では無いものの、(今までが緩やかだったので)高度がぐんぐん下がっていく。登山道の標識(特に登り用)はちゃんと付けられている。途中(パン)休憩を入れて11時52分、浅川の登山口に出た。ひと安心。
ここからは舗装道。のんびり、ゆっくり。途中すれ違ったお婆さんが声を掛けてきてくれた。上の紅葉の状態や展望が良かったことなどしばし雑談。山中ではないし、止まっているときでもないので、こういう会話はなかなか珍しいパターン。心温まる触れあいだった。すぐに河口湖に出て、湖を眺めながら回るように歩いていく。土産物屋を覗きもせず観光地を抜けて、12時22分河口湖駅に到着。タイミング悪く、電車は出たばかりで40分以上も待つ羽目に。
河口湖駅から三ツ峠駅までは以外に駅の数が多い。途中スイッチバックで進行方向が変わるのも久々だった。三ツ峠駅からは15分ほどで車を停めてあったグリーンセンターに戻った。そのままセンターでひと風呂浴びて汗を流す(600円)。広くもないが露天もありさっぱりできた。
紅葉はほどほどだったものの、大パノラマに秋という季節を感じながらの散策は、とてもリフレッシュできるいい山行だった。三ツ峠山は近い割にはいい山だ。
おしまい。
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