展望不満も花とハードコースに充実の南アルプス南部縦走(8月1-4日山行記録(2))
○2011年8月2日(火)曇時々小雨、のち雨
今日は百間洞(ひゃっけんぼら)までの長丁場なので、少し早出。ヘッ電がなくても十分歩ける4時43分小屋を出発。雨こそ降っていないものの、ガスが立ち込めている。晴れるといいのだが、、、
草木が濡れている(ズボンもまだ乾いてなかったが)ので、スパッツか、雨具の下を履いておけばよかったと思った。ズボンのひざ下がびっしょりになりながら登る。展望はないが、花はたくさん咲いている。マルバダケブキ、シナノキンバイ、ヨツバシオガマ、エゾシオガマ、トリカブト、ミネウスユキソウ、タカネツメクサ、クルマユリなどなど。残念なのは雨で写真に向いたきれいなものが少ないこと。
千枚岳直前、完全に木々のきれたあたりで岐阜の年配の5人組に追いつく。3人は女性で、リーダーの男性は山経験豊富なにぎやかな方。千枚岳まで一緒に登る。千枚岳に着くと急にガスが晴れてきて、何と丸山の奥に悪沢岳の岩々の山頂が姿を見せてくれた。「よっしゃ!」 このまま晴れてくれれば、とは思うものの午前中くらいかな?とも思わせる不安な天気。
丸山の奥に悪沢岳
ここできまま仙人は5人組と別れ先を急ぐ。その時リーダーから百間洞山の家に着いたら、あとから5人組が必ず行くからと伝えてほしいと伝言を依頼される。というのも百間洞山の家は4時までに着かないと名物のとんかつを出してもらえないからだ。きまま仙人が伝言したくらいではどうにもならないとは思いつつ。ひとこと伝えてあげようと軽く引き受けた。
ここから悪沢岳までは快調だった。ガスは濃くなったり薄くなったりとはっきりしないが、目標の悪沢岳を見ながら登っていくのでいい感じ。ガスがちょっと幽玄な感じ。緩やかにハイマツ帯を登っていく。周りの展望がもう少しあれば、、、というのは贅沢か。丸山の手前3000mあたりで雷鳥発見! 雷鳥は天敵に見つかりにくいガスった日の方が姿を見せてくれやすい。ここでは3羽が散歩していた。ちょっと得した気分。丸山からひと登りで、快調に6時34分3141m 悪沢岳(荒川東岳)山頂到着。日本で6番目に高い山だ。
雷鳥 丸山付近のハイマツ帯
山頂には「荒川東岳」という新しい標識が。前回来た時は悪沢岳という小汚い標識だったような。山頂からは赤石岳の山頂部、荒川中岳、前岳が望めた。東側雲上には富士山の山頂部も顔を出している。バナナでエネルギー補給して、もう少しガスが晴れるのを待つが、残念ながらガスが晴れることはなかった。そのうち赤石岳も荒川岳も姿をかくしてしまう。ここからGPSをオン。
千枚岳方面(富士山頂も) 赤石岳と荒川中岳
ガスがなければ本当に素晴らしい稜線歩きだと思うが、やや消化不良。それでも前回よりはいい条件だったかな。悪沢の下りからストックも使用。それほど急ではないものの、滑りやすい岩もあり、前日の尻もちを意識してしまった。200m以上下って登り返す。1時間ほどで7時45分荒川中岳山頂着。この頃にはすっかりガスに包まれ、展望は皆無。不安が悪いように当たった形だ。この感じだと午後は雨になりそうなので、少し休んだだけで先を急ぐ。
少し行って、分岐にザックをデポして前岳をピストン。一応荒川三山を踏んだというだけで、特に感慨もない。早々に赤石方面へ。ここから荒川小屋まで一気に下る。途中お花畑を通って行くのだが、鹿から高山植物を保護するため、柵が設置されている。途中数度柵の扉を開けて通過する。基本的にはカラビナを外して開けるのだが、一か所だけ紐でくくってあるところがあり、ちょっと面倒。でも最近各地で鹿の害が言われているので、仕方がない。
花は時期の割には多く咲いていたと思う。ハクサンイチゲ、イブキジャコウソウ、コゴメグサ、シコタンソウ、ウサギギク、ハクサンフウロ、チングルマ、イワツメクサ、チシマギキョウ、アオノツガザクラ、コイワカガミなどなど上げるときりがない。お花畑の斜面をジグザグに下っていくが、このあたりは快適。展望はなくても花は逃げないていい。
柵で保護された花畑
樹林帯に入って少しすると、8時42分小綺麗な荒川小屋に到着。行程的にはほぼ半分、時間的には順調。小屋のテラスを借りて休憩&パン。小屋の方と少し立ち話。天気予報は今朝変わったとのこと。今日の回復は望めそうにない感じ。やはり、少しでも早く小屋に着けるようにした方がよさそうだ。
荒川小屋から緩やかに登り、大聖寺平からいよいよ小赤石岳、赤石岳の急な登りに入る。約400m(荒川小屋からだと500m)の登り返し。ガスで頂上がどこかも分からないし、周りの山が見えないので、自分の位置や距離感がつかみにくい。少し時間的な余裕が出た分、オーバーペースにならないようにマイペースを心がける。しばらく登るとパラパラっと。ん?降り出したか? しかし雨具を出すほどではない。しばし迷いながら登ると、前方から4人組が下ってきた。すれ違う少し手前で、またパラパラっと。4人組は雨具を着けるため立ち止まった。ここで仙人も決断。昨日のこともあるので、早い目に雨具を装着。この判断は正解だったと思う。その後雨は、小降りになったり止んだりの繰り返し。
荒川小屋から登り返して
荒川中岳を振り返る
小赤石への登りの後半はなかなかきつかった。ザレ場(というほど歩きにくくはなかった。)の登りが長い。マークはしっかりあるので、見失うことがなければ問題はない。ただ途中の標識がないので、GPSの標高を目安にがんばって登った。肩のところからは少し緩やかになる。またまた雷鳥が歓迎してくれた。ひと頑張りで10時45分小赤石岳山頂着、汗びっしょり。ここまでくれば赤石岳までもう少しなので、そのまま行くことに。が、小赤石岳を越えて少し行ったあたりで雨が完全に止んだ。かなり疲労感もあったし、いつまた降り出すかわからないので、ここで休憩を入れることに。キウイを食べて元気回復。きまま仙人はよく山にキウイ(今回はゴールドキウイ)を持っていく。食べやすく、カスも少なく美味しいからだ。ただ若干重い。キウイを食べるとザックが気のせいか軽くなる気がするのもいい。
再び歩きだして、ほどなく赤石小屋からのルートと合流。ひとがんばりで11時24分南アルプスの盟主3120m 赤石岳山頂到着。前回登ったときと同様展望は皆無。山頂には分岐にザックをデポしていた年配のご夫婦?のみ。おそらく荒川小屋から赤石小屋(またはその逆)を歩かれているのだろう。少し挨拶程度の会話をしたのち、出発された。せっかく赤石岳の山頂に立っているのに、一人で展望もないと少し心細くなる。前回と比べて今回標識が新しくなっているのは前にも書いたが、赤石岳の大きな標識はそのまま残っていた。何となくこんな標識があたたかく再訪を喜んでくれているようでうれしかった。
昔からある標識
後ろは新しい標識
今日はここまで、、、続く
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