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2011年8月11日 (木)

展望不満も花とハードコースに充実の南アルプス南部縦走(8月1-4日山行記録(4))

南アルプス南部縦走のパート4、百間洞山の家~聖平
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 大沢岳山頂からの富士山
 右手前は笊ヶ岳

 

 

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 左から荒川中岳
 悪沢岳(奥)、赤石岳

 

 

○2011年8月3日(水)晴れのち曇、夕方一時雨

激しかった雨も夜にはあがり、明け方3時頃には窓から星が見えた。ワクワク! 少なくとも午前中は期待できそうだ。明るくなりかけた4時44分小屋を出た。出発時、テント女史に道を確認。聞いていなければ、危うく展望台(行き止まり)方面に行きそうになる。いや助かった。

昨日の反省から、今日はスパッツを履いて歩き出したものの、登山道の濡れた草木はそれよりも高く、太ももあたりまで朝露(昨夜の雨?)でびっしょりになりながら登った。きまま仙人が始めに小屋を出発したと思われるので、露払い役を引き受けた格好だ。左前方に大きな尾根(山)がくっきりと見える。聖岳だ。思わず「よっしゃ~!」 東側にはまだ少しオレンジ色の残る空に富士山の端正な姿。ん~今回の山行で初めて来てよかったと思える風景だ。気がはやる気持ちを抑えながら樹林帯を登る。小一時間ほどで、中盛丸山と大沢岳のコル(稜線)に到着。ここからは遮るような木々はない。

迷わずザックをデポし、空身で大沢岳へ。大沢岳は双耳峰で南峰が標識のある主峰のようだ。したがってピークを踏むだけならコルから空身でピストンする方が速い。大沢岳からは、昨日までが嘘のような大展望が広がる。大きな赤石岳がどっしりと存在し、おおよそ昨日歩いたコースが確認できる。赤石の左奥には悪沢岳、その左手前に荒川中岳、さらに左には南ア北部の山、塩見岳、遠く仙丈岳が望めた。北アルプスこそ見えなかったが、北西には中央アルプス、その左奥には小さく御嶽も見えた。南には光岳から池口岳に続く稜線、これから行く兎岳、小兎岳、中盛丸山、前聖岳、奥聖岳と迫力の山容を見せる。そして富士山、その右手前には笊ヶ岳と360度の大展望が広がる。

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 塩見、間、荒川中、悪沢岳

 

 

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 聖岳に続く山並
 右奥は光岳

  

 

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 中央アルプス、奥に御嶽

 

 

地図を出して主要な山の同定。また昨日の滑落あたりを様子見。滑落場所までは行っていないのでわからないが、確かに信州側は切れ落ちている。あそこに落ちたら厳しいと思わざるを得ない。いつまでも見ていたかったが、先は長いので山頂をあとに。コルに戻る途中でテント女史とすれ違う。少し遅れで出たようだ。2人で好天に歓喜。ちなみに秋田マンは、この間に大沢岳をパスして先に行ったようだ。

コルからは、まず中盛丸山に登る。ここからが登り下りの繰り返しだ。中盛丸山との標高差は100mもないので一気に登りそのまま通過。振り返ると大沢岳もなかなかいい。コルの付近にはテント女史と5人組が小さく見える。中盛丸山からの下りも結構急だ。ちょっとザレた感じのところは気をつけて。景色を見ながら快調にくだる。中盛丸山を下っているころ、長野県警のヘリが長時間何かを探しているかのような飛び方をしていた。おそらく、昨日の滑落者の遺体の収容だったと思われる。合掌。

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 大沢岳

 

 

一旦森林限界下まで下り登り返す。陽射しがあり、暑いくらい。振り返ると徐々に中盛丸山が俯瞰的に見えるようになるが、小兎側から見た方が堂々としていていい。テント女史がいいペースでついてきているのが小さく見える。気持ちよくひと汗かいて7時22分小兎岳山頂着。ここでワンブレイク入れて、バナナでエネルギー補給。

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 小兎岳からの中盛丸山

 

 

小兎岳を越えると???、小兎と兎岳の間にもうひとつ小ピークが。地図を見るとたしかに書いてある。登り下りの繰り返しは覚悟の上、展望がすばらしいとそう苦にはならない。が、早くも怪しげなガスが湧き出し始めた。ガスよ出るな、もう少しこのままこのまま。徐々に聖岳が近くなってきて、今日のメインディッシュの登りがはっきりと見える。兎岳からの下りも険しそうだ。小ピークを越え、再び下り、兎岳への登りに向かう。少しずつガスは濃くなってきているような。ちょっと気持ちがはやったかも知れない。結構ペースがあがり、息が上がるくらい。汗びっしょりで8時14分兎岳山頂着。正直思った以上に疲れた。聖岳方面は何とか見えたが、赤石岳や光岳側はよく見えなくなってしまっていた。

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   聖岳に続く稜線  小ピークと兎岳(奥)

兎岳山頂付近には避難小屋がある。少し離れていたのでわざわざ見には行かなかったが、内部はかなり汚いらしい。水場もないので位置的には利用価値があるが、実際使うのは難しい小屋だと思う。ガスがなければ景色はよさそうだが。

これから挑む聖岳へのルートはおおよそ見えてはいるが、ここからだとどこまで下るのかコルがよく見えない。実際ここから聖岳の登りの取り付き(コル)まではきつかった。初めにかなり急な下りがあり、その後も小ピークを幾つか越えて、あるいは巻いていく。少しスリリングな箇所もあり慎重にいく。視界が悪いだけに距離感が掴めず、まだ下るのか、また下るのかと精神的にも疲れた箇所だ。体力的にも兎岳の登りでかなり疲労も溜まっていたと思う。わずかなことでバランスを崩したりふらついたり。どこかで休もうと探していると、ここが最低部かというコルで、秋田マンが休憩中。知った人に会えてホッとし、きまま仙人も即ブレイクに決定。2人でしばし談笑。きまま仙人はパンでエネルギー補給。ここからが今日のメインイベント。GPSの標高差で400mほどの登りだ。秋田マンを先に見送り、少し余裕を空けてゆっくり登り始めた。

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 兎岳から聖岳を望む

 

 

しばらくは岩場でかなり急な個所もある。ところどころミネウスユキソウやミヤマダイコンソウ、イワツメクサなどの花が咲いているのがうれしい。本当なら景色を楽しみながら、休憩を取りつつ登れるのだが、天気が悪いとペースが上がりやすくなって、疲れやすい。意図的に立ち止まったり、ゆっくりなペースで確実に登る。このあたりGPSは本当に支えになった。あと300m、250m、200mと山頂に近づいている感覚ががんばろうという気にさせる。

徐々に岩場からザレた感じに変わっていく。もはや周囲は真っ白。ただ登山道を見失うようなガスではない。さすがに100mを切ってくると、あと少しという元気が。1歩1歩しっかりと踏みしめ、息を大きく吐き、汗をぬぐいながらがんばり、10時24分、3013m 前聖岳山頂到着。再び秋田マンと喜びの挨拶。この天気では奥聖岳のピストンなど考えもしなかった。ここまでくれば、あとは下るのみ。少しほっとして長休止。

山頂でゆっくりしていると、少し寒いくらいだった。予定より早かったが、10時45分下り始める。結果的に前聖岳の山頂から聖平小屋まで、実質休憩無し(水飲みや写真撮影はしてるが)で歩いている。天気の心配もあり早く小屋に着きたかったこともあるが、昨夜の百間洞の小屋がよかったので、早く小屋でゆっくりしたいという気持ちが先にたった。

聖岳からはザレ場というかガレ場というか砂礫のすべりやすい急坂を一気に下る。スパッツは着けたままだったので、ここでも役に立った。かなり下るとガスが少し晴れていて、小聖岳や聖平小屋付近の木道が望めた。見えると距離感が分かり、一気に安心する。(まだ遠いなぁとも思うが、、、) 快調に下った。他の登山者がほとんど(まったく)いないので、少々荒っぽい歩き方もOK。落石ではないが、小石を転がしながら下った。水場のところもスルー。小聖岳の手前で休憩している秋田マンを追い越し、小聖岳もスルー。薊畑分岐のところもスルー。いやこのあたりはハイペースだった。薊畑分岐を過ぎると花が増える。タカネマツムシソウやハクサンフウロ、イブキトラノオ、タカネナデシコなど。

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 ガスのなかに小聖岳(先端)

 

 

12時20分、聖平小屋到着。前日からほぼ決めていたので、当然茶臼小屋まで行く気などない。即チェックイン。ただ聖平小屋には少しがっかり。まず、ここはルートが複数交差しているためか、天気の回復が予想されているせいか、今晩混む可能性があるとのこと。(結果的には狭い状態ではなかったですが、前2泊に比べると余裕は少ない。) 食堂が開放されていたが、火気はダメとのこと(これは仕方ないとは思う。) 水場が外、トイレにいたっては外どころかかなり離れている。最近の主要な小屋でトイレがこんなに離れているなんて聞いたことがない。ただ驚いたことにここのトイレ、洋式水洗だった(正確には和式もあったみたい)。最悪は乾燥室がないこと。えーっ!ていう感じだった。普通に室内でハンガーに吊るして干すのみ。乾くかなぁ。。。

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 聖平、聖岳はガスの中

 

 

外のベンチで湯を沸かし、食堂でコーヒー&パン。ミニトマトやソーセージも。明日は下るだけなので、軽くするためにも重そうなものをお腹に。結果的に停滞とかがなかったことや、天気が想定よりも悪かったこともあるが、今回は食料(特にパン)はかなり余った。もう少し軽くしてもよかったな。その後水を汲みに行くと、ちょうど受付にテント女史が到着していた。テントなど重いザックを背負っていたのにいいペースだ。本人はゆっくりですと言ってたのに。

時間もあるし、小屋入口付近のベンチでガソリン(この日は缶チューハイ)を入れながらテント女史と2人で5人組を待つことに。その後、周りに来た初対面の人たちも交え、楽しい輪が広がっていった。そのうち5人組も到着。小屋泊まりの人は、食事の時間だけ抜けて戻ってくるとか。テントや自炊の人はそこで夕食を作って。ちなみに聖平小屋の夕食はまずまず良かった。特にきまま仙人は具沢山の豚汁が気に入った。

酒宴の話の中で意外だったのは、結構みなさんタフな計画で行くということ。きまま仙人より高齢、あるいは女性でも逆回りで聖平-百間洞-千枚-椹島というコースや明日一気に赤石避難小屋までなんていう人も。テント女史と2人で百間洞山の家の宣伝(とんかつ、天むす、快適な小屋であることなど)をしておいた。少しテント女史について触れておこう。年齢は不詳だが、大阪風にいうと「ねぇちゃんやるなぁ~」というたくましい、いやいやかわいい娘。三伏から入ったようで、このあと茶臼、光と南アルプス南部を一週間かけて大縦走。一週間もの単独テント山行、きまま仙人はしたこともない。こういう娘が増えてくれるのは大歓迎です。

非常に楽しい時間だったのですが、きまま仙人、アルコールのせいか早起きのせいか、まだまだ早い時間にダウン。睡魔に勝てず部屋の方に。情けない! ちょっともったいなかったかな。でもおかげでぐっすり眠れた。。。

もう少しですが、今日はここまで。続く。。。

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