GMTとUTC
先日、某飲みの席でGMTとUTCについて聞かれ、明確に答えられず、時計好きとしては情けない思いをした。で、いろいろ調べてみたので、少し備忘録的にまとめておきたいと思う。考えてみるときまま仙人は、海外にはクォーツしか持っていかないこともあり、デジタル時計以外はGMTの時計もワールドタイムの時計も所有していない。
そもそも腕時計でGMTとかGMT機能、GMTモデル(UTCとしても同じ)というのは、通常の時刻表示(ホームタイム)以外に第2時刻(ローカルタイム)を表示する機能がついているものをさすものだと思う。具体的にはGMT針と呼ばれる針があり、これがローカルタイムの時刻を示す。通常の国の時差は時間単位なので、分針は共用されるのが一般的だ。したがって必ずしもGMT(Greenwich Mean Time:グリニッジ標準時)をさすものではない。時計の世界での慣例としての使い方と考えてよいと思われる。ひょっとしてGreenwichのGではなくGlobal?ということも考えたが、やはり意味は合わない。またワールドタイムという機能は、ベゼルなどに主要都市名が書かれているなどで、その都市の時刻を読み取れる機能と考えていいと思われる。
そもそもGMTとはグリニッジ天文台での平均太陽時。これはよく知られている。ではUTCは? 残念ながら、その酒の席では誰も正解を出せなかった。UTCとは協定世界時(Coordinated Universal Time)といわれるもので、セシウム原子時計(原子の周波数を元に計時)が刻む国際原子時(TAI:Temps Atomique International)をもとに、天文学的に決められる世界時(UT1)との差が1秒未満となるよう調整・管理された国際協定で定められた標準時です。1972年1月1日、GMTはUTCによる国際的時刻基準に置き換えられました。
というのは、地球の自転周期は年々長くなっている(潮汐作用の影響とのこと)ため、GMTやUT1など天文学的に決められるものでは多くの点で不都合が生じる。本来同じ長さであるべき時間が今と100年前、100年後で異なってしまうわけだ。そのため基準時計として、天文学ではなく、最も安定した原子時計が採用され、1958年1月1日0時0分0秒の世界時を原点としてスタートしたのが国際原子時というものである。国際原子時は、世界各国で管理されている約300個の原子時計を加重平均して決められる。しかし国際原子時では、時刻にすると100年で約18秒ずれるため、閏秒をいれて調整するわけだ。これがUTC。
したがって日本標準時(JST:Japan Standard Time)は昔はGMTに9時間加えたものであったが、現在はUTCに9時間加えたものだ。グリニッジ標準時との差が9時間ですという言い方は、今は厳密には誤りだ。
結論として、、、、腕時計の話をする場合、GMTもUTCも区別する必要は無いように思える。メーカーによっても呼称が異なるようで、IWCなどはUTCを使っている。ただ先にも書いたように、GMTでもUTCでも実際の機能(ローカルタイム表示)からすると、少し意が違う。まぁ細かいことを言わずに、慣例として今までどおり使うのがいいのではないかと思う。
余談だが、世界時(Universal Time, UT)についても少し引用しておく。世界時とは地球の自転に基づいて決められる世界共通の時刻系である。世界時にはいくつかの種類が存在する。UT0は天文台で恒星や銀河系外電波源の日周運動の観測、あるいは月や人工衛星の継続観測によって決められる世界時であり、厳密な意味ではUniversalではない。UT1はUT0から観測地の経度に表れる極運動の効果を補正して計算される値である。UT1は地球上のどこでも同じ時刻である。ちなみにGMTは名前の通りGreenwichを観測地とする点がUTと異なる。
ちなみに協定世界時UTCは(Coordinated Universal Time)と書きましたが、CUTとすべきではないのか?と思いませんでしたか? そうなんです、英語の語順と違うんです。(そのため余計に覚えにくい!) これは,協定世界時の略称は混乱を避けるためにひとつにしようとしたのですが、フランス語派(TUC:Temps Universel Coordonne)と英語派(CUT)が譲らず、結局どちらでもない UTC になったということのようです。
ん~時間・時刻というものは奥が深い。
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