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2011年4月12日 (火)

フェルマーの最終定理 サイモン・シン著

サイモン・シンという人が書いた「フェルマーの最終定理」という本を読んだ。(新潮文庫、青木薫訳)きまま仙人もワイルズほどではないにしろ、中学生、高校生の頃は数学大好き少年だった。中でもブルーバックスの数学、物理系のシリーズは好きでけっこう読んだ。難しい数学そのものが理解できなくても、考え方はわかる(わかった気になる?)し、数学者あるいはフェルマーの定理のような問題のロマンや謎のようなものも好きだった。本屋さんで文庫本のこの「フェルマーの最終定理」を見つけたとき、久しぶりにそういうものを読んでみたくなった。

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きまま仙人の数学好きは、学校の授業ではもの足らず、兄の教科書やTVの通信高校講座から入った。最後には古本屋で大学で使われるような数学の教科書なども買って、何冊か読むようになった。勉強するとか言う意識ではなく、面白くて。特に今でも印象に残っているのは、積分の考え方がわかったとき(微分は特に驚かなかったが、積分は感動だった!)とゲーデルの不完全性定理がおぼろげにも理解できたとき。すごく感動したのを覚えている。

一時期は理学部の数学科を目指そうかとも思ったこともあったが、物作りや自然科学の方が実があるし、仕事としてはいいかと思い工学部を受けた。もうひとつ、数学というのはできるやつは山ほどいるということだ。過去の業績を理解することはできたとしても、新しい数学を開拓していくのは正直自信がなかったこともある。

さて前置きが長くなったが、この本に戻ろう。あまりにも有名なフェルマーの最終定理(X↑n + Y↑n = Z↑n はnが2より大きい場合には整数解を持たない)をイギリスのアンドリュー・ワイルズが証明するまでを、数論の数学史と共に説明されている。ピタゴラスの時代から。もとはイギリスBBCのTV番組(証明の正しいことが承認された翌年の96年製作)が製作され、その製作に参加した著者が本にしたものだ。TVの方もYouTubeで見ることができた。読み終えてから見たせいか、非常によくわかってこちらも面白かった。何といってもワイルズ自身がかなりの時間語っているのが興味深い。歴史的偉業を達成した想いやその瞬間の感動が伝わってくる。

内容だが、まず定理の証明にいたるまでの(ワイルズ以前の数学者の仕事も含めて)、考え方の変遷については、一般人にもその数論の世界観がよくわかるように書かれている。これは、著者だけでなく、訳者の青木薫氏の功績もあると思うが、非常によく書けている。できのいい小説のように引き込まれる感じがあった。数学が好きな人には、お勧めできる一冊だ。あくまで小説のような感じで気軽に読める。結構フェルマーの定理関連については知っているつもりだったが、知らないこと(特に80年代以降)も多かった。

一方で、証明の骨格に関しては、さすがにこの本ではまったく理解できなかった。問題はシンプルでも、使われている数学は、恐ろしく高度だということだけはよくわかる。特にモジュラー形式というものの知識がきまま仙人にはないので、この部分のギャップにはついていけなかったなぁ。ネットで文献も探してみたが、まったくちんぷんかんぷん!

次に驚いたのは、この証明はワイルズの独創的な仕事もあるが、それは過去の多くの数学者の仕事を駆使して、集大成として構築されているらしいことだった。その中でも谷山-志村予想と呼ばれる予想が核になっており、最後(発表後指摘された欠陥の解決)に使われたのは、岩澤理論といわれるもので、日本人数学者の業績が非常に大きかったことだ。(欲を言えば、ワイルズより前に日本人に証明してもらいたかった気がするほどだ。) 証明者としての栄冠はワイルズに輝いたが、集大成という意味では、時代が熟したという感じもある。たとえば100年前に彼が生まれていたとしたら、おそらく彼には証明することはできなかっただろう。

あと少し懐かしかったのが、サム・ロイドの数学パズル(話の中で登場する。)。数学が好きだった頃、一生懸命解いたことを覚えている。1巻から3巻まであったと思うが、おそらく実家の本棚の奥に今も残っているのではないだろうか? 今度帰ったら、探してみたい気がした。

この本を読んで、ちゃんと読みたいと思った本が1冊ある。「ゲーデル・エッシャー・バッハ」。きまま仙人が新入社員の頃にちょっと流行った本だが、電話帳のような分厚い本で、きまま仙人は真ん中くらいまで読んで投げ出してしまった。(途中読むのを止めて、考えたり、計算したりしていた記憶が。。。そのうちに他の本に移ってしまった。^^;) こちらは今の家の本棚の飾り?として、ちゃんと鎮座しているので、読むのは可能だ。近いうちに読み直してみたい。

ただ、文庫本ではないので、通勤の電車の中で読むことはさすがに無理だが。。。

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コメント

TVの通信高校講座(数学)。懐かしいです。好みの先生は、いましたか?

投稿: | 2011年4月22日 (金) 11時23分

いや~数学の先生は名前まで覚えていないですねぇ。でも地球物理学の先生で、のちにNewtonの編集長になった竹内均先生は良く覚えていますね。

投稿: きまま仙人 | 2011年4月24日 (日) 21時18分

竹内均先生ってすごい方ですね。知合いが出演していたので、ちょっとコメントしてしまいました。お騒がせしました。

投稿: | 2011年4月25日 (月) 10時56分

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