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2011年1月15日 (土)

ビタミンF 重松清著

今朝は疲れが残っていたのか、天気も曇っていて、走りに行くのが億劫だった。サボろうかと思ったくらい。それでも予定通り30キロ、特に後半はいいペースで走れた。

話は変わって、書感の話。今回は重松清さんの直木賞受賞作、「ビタミンF」。非常にいい小説なのだが、なんとなくすっきりしない感の残るものだった。

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この小説は、7つの短編集で構成されている。いずれも30代後半から40代半ばの、家族を持つ男性が主人公だ。書かれたのが10年前の2000年8月。今のきまま仙人の年齢よりは少し若い主人公たちだが、年代的にはまさにきまま仙人の世代だ。

7つの話の家庭は、それぞれ一見幸せそうなのだが、いろいろな(仙人にはピント来ないものもあるが、)ありがちな問題が発生する。たとえば悪い友人の誘いを断れない息子や悪い男に騙されて遊ばれてしまった娘、学校でのいじめで架空の友人を作って逃げ込む娘、今の家庭を見て自分の求めていたものはこんなものか?と離婚を考える主人公、自分の結婚を期に熟年離婚で家をでた母、などなど。

どの話も読み終わったところで、問題が解決しているかというと、そうではない。現実がきっとそうであるように、簡単な話ではないのだ。しかし物語の主人公たちはその問題を認識し、受け入れて、わずかに前向きに進もうとしている。そこに少しの救いがあるように思える。小説としてはこの方がいいのだろう。このささやかな救いがタイトルであるビタミンなのだろう。ちなみにタイトルの「ビタミンF」という題の話はない。

しかしきまま仙人は、読んでいて問題が解決していないことに、何となくスッキリしないものを感じて歯がゆかった。わかってはいても、小説の中くらいすっきりとハッピーエンドにしてほしい部分もある。まぁそうなると陳腐なお話ということになってしまうのかもしれないが。

子供のいないきまま仙人には、この手の話は少し寂しさを感じる部分がある。子供との対応については、何でもっとこうしないんだろう?なんて思ってしまう部分もあるが、きっと実際に子供と接していると難しいことがいっぱいあるんだろうなぁ。ただこういう経験をまったくできないのは残念ではある。

文章は平易で非常に読みやすい。この前読んだ「虐殺器官」や茶道用語がわかりにくかった「利休にたずねよ」等に比べると、すらすらと読める。短編集なので読み返して確認するようなこともまったくなかった。そういう意味でも簡単に取れるサプリメントになっている。

効用は悪くはないが、もっと元気になれるものでもいいかな?

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