時計コレクション (番外24) ポケット・ウォッチ物語 小島健司著
この本はグリーンアロー出版社から1998年の1月に発行された本で、もう10年以上前の本になる。グリーンアロー・グラフィティというシリーズの26巻で、名前の通り綺麗な写真が多いのがいい。定価は1800円。
カラーのページも多い
懐中時計は腕時計に比べ、時代的にもかなり前(古いものは1500年代)のものが多く、ブランドも必ずしも同じ(共通)ではない。きまま仙人の時計好きの知人の中にも、懐中専門の人もいるくらいだ。もちろんクロノグラフやリピーターのような複雑機能を持ったものもあるが、どちらかというと2針や2針+スモセコのようなシンプル(機械がシンプルとは限らないが、)なものも多いが、一方でエナメル装飾やエングレービングなど工芸品としての価値の高いものも多い。そんな懐中時計の魅力を教えてくれる1冊になっている。あるようでなかなか無い本だ。
目次をあげておこう。内容がある程度わかってもらえるのではないかと思う。
まえがき
第1章 ポケット・ウオッチの面白さ
第2章 ウオッチ・いまとむかし
第3章 ポケット・ウオッチの構造
第4章 ポケット・ウオッチのジャンル
第5章 栄光に輝いたポケット・ウオッチ
第6章 ポケット・ウオッチ操縦法
第7章 コレクター学入門
きまま仙人が特に参考になったこととしては、たとえばホールマーク。リストがあるのもうれしいし、ホールマークで作られた年代がわかるという。腕時計にもムーブメントにエボーシュのマークが刻印されているが、製造年(代)は特定できない。懐中マニア?ではないので、覚えておくのは大変かもしれないが、何かのときに調べられるだけでも参考になる。
ホールマークの一覧表
基本的なこともきっちり触れられているのが懐中初級者にはありがたい。3つの形式や蓋の開け方の3種類、鍵捲きなど、懐中ファンでなければ意外と知らないことも多い。
また3章で機構について、書かれているが、ランゲの腕時計などにも引き継がれているフージーチェーン(くさり引き装置)について書かれていたり、脱進機も4種について説明されていたりと、初心者向けの常識的なことを書かれただけの本と違う。きまま仙人も参考になった。
くさり引き装置と脱進機
最後の7章にコレクター学入門という、一見蛇足とも思える章がある。こんなことわざわざ書かなくても、と思いながら読んだが、これが著者の小島氏の考え方が出ていてなかなか面白い。コレクションはひとつの道楽に過ぎないとばっさり。お金をかければいいとか、数を集めればいいとか、ショップの人の勧めるものを集めればいいとかいうものではない、というような当たり前のことを書いているのだが、とても好感が持てる。
鉄道時計
懐中時計は腕時計に比べて使いにくい。(服やシチュエーションを選ぶし、古い分だけ振動や水に弱いものが多い。使い勝手もよくない。) それでもサイズが大きいことのメリットもあるし、年代が古い分骨董的味わいの深いものも多い。きまま仙人にはなかなか手が出ないが、そんな懐中時計の魅力を教えてくれる一冊だと思う。
ちなみに、きまま仙人はこのコーナーで紹介するほどの懐中時計は所有していない。がジャンクのようなものを2つ持っている。ひとつは亡くなった父が持っていたもの。もうひとつは時計の分解・組立ての練習をするための練習用としてもらったもの。(腕時計より大きい分だけ初心者にはやりやすい。) ここのところさすがに駒不足なので、そのうち登場させるかも?
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