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2010年11月11日 (木)

時計コレクション (番外23) 和時計 江戸のハイテク技術 澤田平著

今回は、和時計と鉄砲の研究家・収集家である澤田平氏が、和時計について書いた本を紹介したい。「和時計 江戸のハイテク技術(1996年3月発行、淡交社)」。 澤田氏は、TV番組の「なんでも鑑定団」にもたまに出演されている和時計の第一人者といっていいだろう。

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きまま仙人は、2004年に一度、世界の時計博だったかで澤田氏のトークショーを聞かせてもらったことがある。松尾芭蕉が持ち歩いたというツールキット?(日時計の他、筆と墨や薬などがあったと記憶している)がすごく印象的だった。芭蕉は今で言うスパイの顔も持っていたという話など面白かった。

さて、話をこの本に戻そう。和時計については、一般に手に入りやすい本が非常に少ない。雑誌や機関紙・会報などや古い本が多いのだ。今でこそネットなどで多くの情報を得ることができるが、この本の発売当時は今ほどではなかった。そういう意味では貴重な本だといえる。

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   巻頭のカラーページ    和時計の部品

どちらかというと技術書というより、和時計の歴史を中心とした読み物となっている。澤田氏は鉄砲(和銃)の研究家でもあり、この本の中でも鉄砲と和時計の共通した技術についても触れている。他にも真鍮という素材の果たした役割や、部品名を鉄砲の部品から名付けた話など面白い。鉄砲の話では、ネジの製作技術を知るために、娘を南蛮人に嫁がせた話など、そういえば子供の頃に学校?で教わったなぁ。。。なんて。

和時計には(鉄砲もそうらしいが、)資料や現物がほとんど残っていない(暗黒の?)百数十年というのがあるらしい。また鉄砲は武術の延長としての砲術家が鉄砲の使い方の指南書のようなものの中に、製造についても触れられているものがあるようだが、和時計に関しては時計師がかいたものはほとんど残っていないようだ。有名な機巧図彙(からくりずい/きこうずい)についても、「からくり半蔵」こと細川半蔵頼直は、いろいろなものを製作しているが、御時計師ではなかった。(※機巧図彙については、きまま仙人は現代語訳のコピーを所有しているだけだが、いろんなHPで写真もアップされているし、紹介もされている。機会があれば別途紹介してもいいかもしれない。) 当時のハイテク技術は、口伝で伝えられて行ったのだろう。

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   二挺天符の機構   鉄砲カラクリ     垂揺球儀

その他にもゼンマイのことや日時計、万歩計、伊能忠敬の計測器など、幅広い内容が触れられている。カラー写真は巻頭の数ページのみだが、本文中にも白黒だが、かなり貴重な写真や図も多い。興味のある人には面白い本になっていると思う。

できれば、この本に書かれている澤田コレクションの実物を一度見てみたいものだ。

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コメント

初心者向けに纏めて書かれた和時計の数少ない本ですが、復元品の写真や疑問点も多いので、要注意です。

投稿: 通りすがり | 2010年12月30日 (木) 07時53分

通りすがり様の御意見に賛同します。不適切な内容が多く、決して安い本でもない。山口隆二著「日本の時計」や塚田泰三郎著「和時計」のような素晴らしい文献が、インターネットオークションなら、この本2,3冊分の値段でも買えます。

投稿: バカオヤジ | 2011年6月12日 (日) 07時25分

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