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2010年9月 9日 (木)

大雪山8月6日山行での道迷いについて

ちゃんと書きたいと思いつつ、なかなかうまく整理できず、時間がかかってしまった。

山行記録でも少し触れたが、大雪山系の白雲岳付近の雪渓で道に迷ってしまい、約一時間彷徨ってしまった。このところ北海道の山、特に日高やトムラウシで行方不明や救助要請などの事故が目立つ。きまま仙人の今回の登山道の見失いも、ひとつ間違っていれば遭難騒ぎにつながったかもしれないと深く反省している。自戒をこめて、できるだけ客観的に振り返ってみたい。

Hakuun_map  

 

 白雲付近の迷ったところ

 

 

 

まずコースだが、層雲峡に車を置き、朝のバスで銀泉台に移動。そこから大雪山系の赤岳、小泉岳、白雲岳(分岐からピストン)、北海岳、黒岳と縦走し、ロープウェイで層雲峡に下山する予定だった。実際のコースタイムを書いておこう。

層雲峡6:02=銀泉台6:55-第一花園7:24-第二花園7:40-奥の平7:50-駒草平8:00-第三(大)雪渓8:20-第四雪渓8:42-赤岳8:57-小泉岳9:21-白雲岳分岐9:29-(9:45?途中道に迷う10:40)-北海岳11:14-黒岳石室12:06-黒岳12:27-七合目リフト乗場12:20-13:55ロープウェイ黒岳駅14:20=14:28層雲峡

朝は快晴、青空が広がっており最高の条件かと思われた。天気予報も晴れ。ところが駒草平あたりからガスが出始め、赤岳に着く頃には視界は10~20mくらいか? 登山道ははっきりしているし、登山道を外れる危険性は少ないように思われた。またルート上さしたる危険ヶ所もないはず。風が結構強かったものの、歩けないほどの(即撤退を決めるほどの)風ではなかったし、白雲岳避難小屋方面からの登山者の話では、危険な状況ではないようだった。(実際歩いて、風は大きな支障にはならなかった。) 展望もないので、白雲岳(分岐からの往復)はパス。北海平を横切って北海平に登り返す予定だった。分岐から北海岳までは7年前に逆ルートで歩いたことがある。が、この途中の雪渓で大きなミスを犯した。

当時視界は10m程度。雪渓でルートがどちらなのかがわからなかった。少し登ったところに一つ目のポールが立てられてあるのだが、そこから先が上方に登るのか?右側にトラバースするのか?という感じだった。踏み跡は直進? 少し歩きまわるも次の目印は見つからない。まずは直進(登り)方向を確かめることに。しばらく行くと雪渓が終わり岩場になるが、境界を探していってもルートの目印らしきものはない。あがりやすそうなところから岩場にあがって見渡すと獣道のようなものがあったので、行ってみることに。そこにもかなり古い?薄っすらとした踏み跡が。もう少し先へ行ってみることに。。。今思うと気がつくべき要素はいっぱいあったのだが、なぜかこのときは、(ルートから外れていたことは間違いないが、)先(近く)に登山道があるだろうと考えていた。また、慎重に確認しながら進んでいたつもりだったので、戻ることはできるつもりではいた。(一応ツェルトも持っていた) 結果、雪渓に入ってから40分近く動き回り(その間、地図を出して考えたり、立ち止まって見える範囲であたりを見渡したりはしている。ただ、少々危険な岩場も越えたし、草地を突っ切ったりもした。)、結局引き返すべきだという判断。敢えて安全なところを通ったので、完全に同じところを戻ったわけではないが、15分ほどで無事ルート(雪渓入口の手前)に戻れた。雪渓に入ってから1時間弱で元に戻ったことになる。ちなみに引き返した地点のGPSの最高標高は2200m、白雲岳の山頂付近ということになる。

その後、今度は一つ目のポールから右へ。しばらく進むと赤くマークした小さな石が見つかった。これはこのガスの中で見つけるのは非常に難しい。さらにその方向に行くと、またポールが。そこで幸いにも逆方向を歩いてくる登山者の方が見えた。そちらの方向に歩いていくと雪渓を抜けたルートがあった。その登山者の方とルートについて情報交換をしたのはいうまでもない。

次に仙人のそのときの装備を書いておこう。暑くなることを想定して水(+スポーツドリンク)は多めに持っていた。雪渓に入った時点でまだ2Lはあっただろう。先にも書いたがツェルト(ポール、細引きはなし)は持っていた。ストックは1本。雨具は赤岳から上下着用。GPSは持っていたが、仙人のはランニング用なので、地図の表示ができない。(地図表示ができていれば、雪渓で判断ミスすることもなかったかも知れない。) 地図はエアリアマップ、コンパス、カシオのプロトレック。熊鈴は着けていた。ただ、ストーブ(コンロ)や傘は持ってきていなかった。食料はおにぎり2個、菓子パン2個、バナナ残り1本(1本は赤岳で食べた。)、非常食代わりのカロリーメイト。あとレーションの飴少々。ここまで朝食、バナナ1本の他、ゼリー食をひとつ歩きながら少しずつ食してきた。

さて、何が問題だったか振り返ってみたい。まず、雪渓で直進して登ってしまったことだが、地形が頭に入っていれば右から確認すべきだったかもしれないが、ここはさほど大きなミスとまではいえないと考える。雪渓を登って岩場に出た後、左側(南東側)に登り口を探して言ったのがまず間違い。ルートは大きく北西なので、ここで一度地図を出して確認していれば北西から探すべきだろう。左側から探し始めたとしても、見つからない時点で岩場に上がるのではなく、戻って右側を探す、あるいは一つ目のポールまで戻って右側を確認するべきだった。そうしていれば、ロスはせいぜい15分程度ですんだだろう。

次に岩場にあがってしまって獣道の踏み跡を見つけた時点。このコースは登山道の整備はされているはずなので、明らかに正しい登山道ではないと判断できた。実際そう考えていた。この時点で仮に先に正しいルートがあったとしても、それは引き返すべきだった。ここが一番大きなミスだろう。実際ここで地図も確認したのだから。踏み跡はルートを判断する上で、重要な材料だが、踏み跡だけでの判断はこういう危険をはらんでいる。

またここから先、どんどん登っていっている。7年前とはいえ一度通っている道。北海平をこれから横切ろうという場所で、どんどん登っていくのは明らかにおかしい。また方角的に北または北西に行くべきだというのは頭にあったのだが、そちらの方向に進めるルートらしきものがなかった。この時点でも十分引き返せたはずだ。というより、なぜ引き返さなかったかは不思議なくらいだ。一人の時でも、場合によっては引き返すことがしにくいものだと改めて思った。

おそらく引き返さないであのまま進んでいれば、白雲岳の登頂ルートに出られたのだろう。あるいは視界がもう少し効くようになれば、目視で白雲岳の登頂ルート(か正しい北海岳へのルート)を見つけられただろう。しかし、それは結果論だ。たまたまそちらに別の登山道があっただけといえる。またルートを外れて、途中ヒグマに出会っていてもおかしくはない。

あと判断を誤った要素のひとつに、あの時点ではまだ時間的余裕があったということだ。もし時間的余裕がもう少し少なければ、より確実な選択肢を選んだような気もする。ただ逆に焦って、地図も見ないでより突っ込んでいたかもしれないという危惧も無くはない。

もうひとつ、今回は縦走で銀泉台に引き返すと車がなく、層雲峡へのバスが15:30までないことがわかっていた。もし往復コースだったら赤岳か小泉岳で引き返していたかも知れない。しかし、状況を客観的に判断すると、赤岳で引き返すべきだったとは思っていない。十分に層雲峡まで歩ける(ただし花以外は楽しくはないが。。。)天候だったと考える。ただもしあの状況以上に天候が悪化していたら、たとえばガスが濃くなりホワイトアウトするとか、雨が降り出すとか。その場合はツェルトを出して停滞するくらいの覚悟は必要なのかもしれない。

結果的には無事戻れたわけなので、最低限の正しい判断はできたのかも知れないが、結果オーライでしかないと思われる部分は多い。道を見失ったところまで戻れる範囲内で動いたつもりではあったが、この自信はあの状況では非常に怖い。もし戻れないようなことがあったら、と思うと今でも恐ろしくなる。

今回の反省を元により安全な登山を心がけたい。

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