« 3連休は? | トップページ | 憤り! »

2010年9月15日 (水)

時計コレクション (63) 二挺天符式和時計(大人の科学付録)

先日(8月31日)、組み立ててちゃんと動いているという紹介はしましたが、この価格としては非常によくできていますし、機構を知る上でもすばらしい付録だと思うので、(時計)本としての紹介ではなく、コレクションNo.63として紹介したいと思います。

繰り返しになりますが、この時計は大人の科学マガジンVol.28(二挺天符式和時計)の付録で、価格は2940円。動力は錘ではなくゼンマイなのと、基本的にプラスチック製(本当の和時計なら真鍮製?)なことを除けば、ほぼ完全な二挺天符式和時計の再現といってもいいのではないでしょうか?

63_nicyotempwadokei_01  

 

 付録の和時計

 

 63_nicyotempwadokei_02 

 

 

 杏ちゃんの表紙

 

 

 

 

組み立ては、ゆっくりやって1時間強くらいだったかと思います(計ったわけではないのでちょっと不正確)。組立ての説明書もきまま仙人には十分わかりやすいものでした。難しいところというと、2つの棒天符を糸で吊るところと、それらのガンキとのあたりの調整くらいでしょうか。

この雑誌の企画が、不定時法(※不定時法については、以前書いたこちらを参照)を使ってみる、感じてみるということなのだが、いやはや簡単ではない。普段の生活(朝起きるにしても、TVを見るにしても、)が定時法で生活しているので、自分だけ不定時法ではピント来ない。農作業でもしているのなら、また違うのかもしれないが。 「不定時法で生活することを感じる。」はもう少し長い時間をかけて試してみたい気もする。

天符は棒天符、脱進機は冠型脱進機。これ自体はこの手のものとしては一般的だと思います。摩擦を小さくするために天符は糸吊り式になっています。昼用、夜用の2つの天符をもち、自動的に切り替えることによって、不定時法の昼夜の時間の長さの違いに対応します。針は一針式、1日で一周します。不定時法なので季節によって一時の長さが変わりますが、これは錘位置で調整することになります。

63_nicyotempwadokei_03

63_nicyotempwadokei_04

 

 

 

 

   ちょっと見ずらい文字盤   両面ガンギ

実際に組み立ててこの時計を動かすまでは、比較的簡単でしたが、この時計の調整&使用するというのは思った以上に難しいことがわかりました。(きまま仙人は未だ納得いくようには調整できていない!) この時計はおおよそ正卯(9時位置、明け六つ)と正酉(3時位置、暮れ六つ)で2つの(長短の)棒天符を切り替える。文字盤上上側半円(12時位置が午)が昼間で、上の(夏だと長い)棒天符を使ってゆっくり進める。下側半円(6時位置が子)は下の(夏だと短い)天符を使って速く進めるという機構だ。本誌には測定結果として、昼用天符で錘を一番外側にしたときに一時(2時間)が185分、一番内側で85分と記されてあった。が、まずこの時間を計るのが容易ではない。いつ切り替わりそうかは、見ていてもよくわからないので、ビデオでも撮って測定しないと、ずっと時計の前で待っていなければならない。錘の位置を調節して、また計り直すなどはちょっと不可能だ。(タイムグラファーが必要だ。) 天符の振動を数えるにしても、揺らぎもあり、少ない回数では誤差が大きいかもしれない。

天符切り替えの機構を簡単に説明しておこう。多くの二挺天符式和時計は時打ち機構がついていて、時打ち用の雪輪から連動しているが、この時計は時打ち機構も雪輪もない。針(1日1周)に直結している剣車、カム、バネで制御している。針が180度回転する毎に盗人金が90度回転し、不要な方の棒天符を持ち上げて、脱進機との噛み合わせから外れるようになっている。逆に今まで持ち上げられていた棒天符が下りてきて、脱進機と噛み合うようになる。

63_nicyotempwadokei_05

63_nicyotempwadokei_06

63_nicyotempwadokei_07

  盗人金  かみ合っている  外れている状態

もうひとつこの二挺天符式和時計のいいところは、動力がゼンマイであることだ。よくあるのは錘式。錘式だと、柱などに掛けるか、背の高い台が必要となる。好きなところに置いてコチコチ、コチコチいうのを楽しめるところがいい。

今回の二挺天符式和時計は、非常によくできていると思うが、あえていうと文字盤を交換できるようになっているとよかったと思う。もちろん色を塗るという方法はあるが、例えば溝が切ってあって、プラスチック版か紙で作ったものを差し込めるようになっていると、よかったのではないか。オリジナルな文字盤が作れるし、干支文字盤だけでなく、九、八、七、、、という時表示にも変えることができる。(この時計の文字盤には小さく数字も記されているが、文字盤は見ずらい。)まぁそこまで贅沢はいえないか。。。

63_nicyotempwadokei_08

63_nicyotempwadokei_09

 

 

 

 

      天符切り替え機構の説明

いつかは「機巧図彙(からくりずい)」などを見て自作してみたいと思っていたくらいだが、簡単にその面白味を味わうことができる付録になっていると思う。時計好きならずとも、機械好きには堪らないおもちゃだ。

|

« 3連休は? | トップページ | 憤り! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 時計コレクション (63) 二挺天符式和時計(大人の科学付録):

« 3連休は? | トップページ | 憤り! »