時計コレクション (番外18) 札幌時計台
札幌時計台は明治14年(1881年)8月12日から稼動し、今月の12日で129年という現存する日本最古の機械式塔時計である。1970年重要文化財、2009年「機械遺産」なるものに指定されている。現在動いている機械式塔時計は日本に4つ(他は高知の野良時計、東京の立教大学モリス館、山形の文翔館)しかなく、一般公開しているのは、ここ札幌だけらしい。(後述の施設の方の解説より)
裏のトイレ側から
文字盤は4面
建物についてはこのコーナーの趣旨ではないので、簡単に。元々は北海道大学の前身、札幌農学校の「演武場」として、兵式訓練や心身を鍛える体育の授業に使う目的で建設されました(1878年)。完成時は時計はなく、鐘楼のみでしたが、開拓長官黒田清隆の発案で、時計の設置が決まったということです。現在1階は展示スペース(時計台の歴史や札幌農学校関連、関係した人物紹介など)、2階はコンサートや結婚式ができるスペースとして使われています。
2回のホール モニターで解説
さて、この時計なのですが米国ボストンのハワード社(E.Howard)製で実物の機械を直接見ることはできませんが、ほぼ同型の時計が2階に展示(動いている)されており、日に一度(9時15分から)解説と錘の巻上げの実演をしてくれます。またモニターで機械の説明と世界にある同型の塔時計の紹介を見ることができる。機械好き、スイスの博物館などで(動いていなかったが)塔時計の機械を見たことのあるきまま仙人にとって、技術的に新しい知識は特に得られなかった。しかし、実際に動いているところが見れ、メンテナンスしている方と話ができたのは非常に面白かった。2階に展示されている同型機は、米国の絨毯工場で使われていたもので、振り子の長さを短くして、ガンギ車の歯数を変えてほぼ時間が合うようにしたとのこと。
同型の機械、振り子など以外はほぼ同じとのこと
実際の塔時計の方は、現在週に2回手動で巻き上げているとのこと。時刻用だけなら週に1回でも持つようなのだが、時打ち用(時報用)に合わせて週2回としているらしい。また、時刻の調整は日々振り子を押えたり、速く振ったりして合わせているらしい。もちろん長期的な傾向は振り子の錘位置を上下させるのだが。
アンクル型脱進機。メンテナンスはしているが、パーツ自体の劣化による交換は針だけだという。(本当かなぁ?) また動力となる錘は豊平川の川原の石を箱型のバケツのようなものに詰めている。これは万一ワイヤーが切れた場合に建物の破損など被害を小さくするためらしい。
解説と巻上げ実演
単に見学するだけでなく、実際にメンテナンスしている方の説明を聞けたのは、とても有意義だった。(説明の後、きまま仙人ともう一人の男性はいろいろ質問させていただいた。本当に親切にお答えいただき感謝してます。)
| 固定リンク
コメント