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2010年6月13日 (日)

ボストン美術館展

昨日のブログにも書いたが、森アーツセンターギャラリーにボストン美術館展を見に行ってきた。

朝一にもかかわらず、かなり混んでいた。正直、ゆっくり名画を味わうという雰囲気ではなかった。会期末が迫っていたので、行くなら昨日しかないと思ったが、こんな混みようなら無理していく必要はなかったかも。

Boston

 

ボストンはきまま仙人にとっては、少々思い入れのある街だ。80年代後半、まだ20代の時にはじめて訪れた海外の都市がボストンだった。仕事で2週間強滞在した。そのあと、ニューヨーク、ピッツバーグ、サンディエゴとひと月近くの出張だった。はじめての海外で、緊張もしたが、楽しい思い出として残っている。ボストン美術館にも、滞在中一度だけ訪れた。朝一から昼過ぎまで、けっこう長時間いた記憶がある。あと日本の琳派の屏風や浮世絵

今回は、そのボストン美術館の約80点の名画の展示だ。20数年前、一度は見たことがあるはずの絵ではある。ボストンだったかどうかは覚えていなくても、印象派の絵は見覚えのあるものがほとんどで、少し懐かしさというか親しみがもてた。(さすがに肖像画はまったく覚えてなかった。。。)

まず、展示の仕方が好感が持てた。初めは肖像画の部屋、3対しかないというレンブラントの全身肖像画が見もの。続いて宗教画の部屋。ここまでは壁が黒で、寒すぎるくらいに利いた空調で緊張感というか、厳かな感じが映える。すべての部屋の壁の色を正確に覚えているわけではないが、印象派の部屋では白、風景画の部屋では水色と、テーマ毎に小部屋に分けられていて、壁の色も含めて雰囲気まで一気に変える。またモネの部屋があり、10点の作品(別の部屋にも1点)が一挙展示されている。この部屋は壁を半円形にし、中心に立つと10点の作品がちょうどいいほぼ等距離で眺められる。モネの絵に囲まれている感じが。なかなかいい展示だと思った。惜しいのは、人が多すぎて同時にゆっくり眺めようとしても、思うように見られないとこだった。展示で敢えて苦言を呈すると、混むことがわかっているのなら、もう10センチか20センチ、上の方に展示しとほしかった。印象派だけでも。少し離れて見たいと思っても、下の方はまったく見えない。朝一ですらそんな感じだった。

テーマ毎に展示という点では見やすかったが、肖像画や宗教画はともかく、(モネを除くと)印象派以降はひとりの画家の点数が少ないので、教科書的というか、何か全体としては物足らないというか。最近レンピッカやユトリロ展で画家の新しい面を知ったりという展覧会を見ているせいか、新しい発見のような新鮮味はなかったかな。それでも一点一点はやっぱりすばらしい。

Boston2

印象に残ったものを数点挙げると、先にあげたレンブラントの1対の全身肖像画。結構大きな絵でもあり、レンブラントらしい黒を基調とした画面は迫力というかオーラを感じる。ドガの肖像画(2点)もあまり見ないので面白かった。印象派でいうと、何と言っても11点そろえたモネに尽きる。めずらしく雪景色の絵「アルジャントゥイユの雪」がめずらしい。明るい、暖かい絵が多い印象派で雪景色とは。あとコローの「鎌を持つ草刈り人」。風景画の印象の強いコローだが、野外で作業の途中での休憩なのか、鎌を持って頬杖をついてこちらを向いている女の子の表情が何ともいえない。

あとはゴッホの「オーヴェールの家々」。ゴッホらしい筆使いと曲がった家や道が実にいい。自分の部屋用に1枚といわれれば、これを選ぶ。ただひとつ不満を言うと、この美術展のチラシに「ゴッホ晩年」と大きく書いておきながら、ゴッホの作品はこれ1点のみ。ちょっと騙された感じも。

今年は展覧会の当たり年なので、多くのいい展覧会が目白押しだ。それでもこれだけ混んでいるのだから、日本人の絵画好きにはホント驚いてしまう。

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コメント

初めて訪問させていただきます。
記事を興味深く読ませていただきました。作品を深く理解されているのに感服いたしました。いろいろ勉強になりました。私も「ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち」の美術展を鑑賞してきました。魅力的な絵画が多く充実した一日でした。私の感想などをブログに書きましたので読んでいただけると嬉しいです。
http://desireart.exblog.jp/10840918/
よろしかったらブログの中に書き込みして下さい。
何でも気軽に書き込んでください。よろしくお願いします。

投稿: dezire | 2010年6月20日 (日) 17時41分

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