美しき挑発 レンピッカ展観てきました。
正直レンピッカという女流画家は名前すら知らなかったといっていい。が、美術館でもらったビラ、そこに載っていた作品、特に「緑の服の女」などは面白そうに思えた。その後TVや某雑誌などを見るにつけ、見ておきたいと思うようになり、会期終了間近になっていったというわけだ。
イラストっぽい描き方に大胆な構図と印象的な鮮やかな色。とにかくインパクトがあって面白い絵が多かった。特に服の色、視線、デザイン化された構図・質感が印象に残る。大半が人物画で、特に女性を描いた絵が官能的で、ファッショナブルですばらしい。アール・デコ風にいうとSophisticated Ladyというものだろう。
服の色でいえば、「緑の服の女」にもある緑、それから白、コバルトブルーのような青、がどれも鮮やかで印象的に残る。官能的なボディラインが強調される衣装、デザイン化された衣装の独特の質感、滑らかさと硬さの両方をもつ質感とあいまって、いい感じだった。腕などの少し幾何的な描き方は、少しレジェの感じを思い出させる。
視線も気になった。多くの絵は。上目遣いというか、ある絵は意志強く何かを見つめるようなにらむような、ある絵はうつろな、ある絵は誘うような視線が印象に残る。写真を見るとモデルのような本人の自画像というとおり、新しい時代の女性像をイメージしていたのだろう。雑誌を飾るような絵だけに、惹きつけられるようなインパクトがある。
印象に残った作品をいくつか挙げると、「シュジー・ソリドールの肖像」、「摩天楼を背にした裸婦」、「イーラ・ペローの肖像」などやはりアール・デコ時代のものがよかった。後年では、「修道院長」の表情は訴えてくるものが。後年、作風やテーマにかなり悩んだようだが、一人の画家の変遷という意味では面白いが、絵としてはやはりアール・デコ時代のものに及ばないように感じた。
アール・デコという時代にマッチした女性だったのだろう。見に行ってよかったと思う展覧会だった。
| 固定リンク
コメント