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2010年3月25日 (木)

臨床心理 柚月裕子

第7回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作だ。この大賞は過去に海堂尊の「チームバチスタの栄光」なども受賞しているので、まずそこが気になった。また4人の審査員のうち2名(茶木、吉野)が本作を強く推し、2名(大森、香山)は選外という真逆の評価。逆に大森、香山が推した「屋上ミサイル」は、茶木、吉野が選外を付けたという。まさに真っ二つ!というのがなかなか興味をそそり読んでみた。(結局2作とも大賞受賞となった。)

あと先日中学校で講師をした際、臨床心理士の方が講師に来られていた(ほとんどお話はしていないが)ので、そこも少し興味を持った。

Rinsyou

読後に少しネットを見たが、評価が分かれたというとおり、Amazonをはじめ、悪い評価のコメントが結構多い。が、きまま仙人は最後まで面白かったし、いい作品だと思う。臨床心理士という、仙人にとってはあまりよく知らない職業の美帆を主人公とした話で、福祉利権、障害者の性欲や性的虐待といった書きづらいテーマを真正面から取り組んでいるのは好感が持てた。どちらかというと難しい内容をうまく書いていると感じた。人によってはいい印象をもてないテーマ、描写かもしれない。仙人は、内容の割には読後感も悪い印象が無く、むしろ爽やかさすら感じた。終盤拉致から犯人を追い詰めるまでは、スピード感もあり、仙人は好きだ。(ここは安っぽいドラマだという人もいるのかも。) また登場人物のキャラもなかなかうまく作ってあったし、文章も読みやすくうまいと思う。

評価が割れるポイントのひとつは、ミステリー性だろう。たしかに意外性はほとんど無く、結果は大方の予想通りであり、「このミス」大賞としてどうか?という批判はあるだろう。また声に色がついて見える、その色で嘘・本当や感情がわかるという「共感覚」を自然と思えるか?設定として理解できるか?ということ。その「共感覚」を利用して事件を解決していく部分を許せるかどうかだろう。最近「共感覚」という言葉自体は、時々聞くようになったこともあり、仙人はOKだった。もうひとつ、個別に考えると不自然な点が無くはない。この点については、各登場人物の言動に対する細かな動機付けというか、納得感をきちっと説明しようとして作られているので、気にせず最後まで面白く読めた。そんなことをいうと、伊坂幸太郎も道尾秀介も読めたものではない。

もう一作の「屋上ミサイル」については、設定があまり好きになれないので、購入を躊躇している。が、両方読んでコメントすべきなので、いずれは、、とは思っている。それよりも解説で評価の高い紹介コメントのあった、柚月さんの次作をぜひ読んでみたいと思う。

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コメント

評価が二分する理由は作者自身にあります。

作者が備えてるそうですよ、そういう作風の
作品を作ってしまう能力を・・・。
http://www.birthday-energy.co.jp

もともと偏りが激しいから、万人向けはムリらしいので、
好き嫌いも仕方ないみたいです。
ただ、最近出た「検事の本懐」は骨太で読み応えあった。
次作でヒットできるか、ちょっと気になってきました。

投稿: 奏馬 | 2011年12月 4日 (日) 23時27分

コメントありがとうございます。
先日「最後の証人」買ってみました。
(まだ読んでません。)
「検事の本懐」も見てみます。

投稿: きまま仙人 | 2011年12月 5日 (月) 07時45分

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