日本百低山
小林泰彦氏の日本百低山を読んだ。正確に言うと、全部は読んでいないだろう。登ったことのある山や、出身地の関西、行きやすい関東を中心に8割以上の山は読んだと思うが、全部かどうか、、、
この本は小林氏が雑誌「山と渓谷」に「低山徘徊」あるいは「百低山巡礼」として連載してきたもので、深田久弥氏の日本百名山をもじって百低山を選定して加筆し、まとめたものだ。
連載「低山徘徊」、「百低山巡礼」がすばらしいのは、百名山ブームの中、名も無い低山や裏山を取り上げているということに加え、歩いた紀行文とともにほのぼのとしたカラーの挿絵で紹介している点だと思う。挿絵は景色はもちろん、道具や特産品、人もある。地図も添えられているのだが、それも小林氏の手書きイラストだ。
絵そのものは、けっしてうまいという物ではないが、色鮮やかで塗り絵のような味がある。時間もないからであろう、短時間で書いている分、勢いというか臨場感のようなものが感じられる。絵があることによって、小林さんの感じたことやその場の情景が、生き生きと伝わってくる。きまま仙人のブログでの山行記録もそうだが、この手の紀行文はネット上に山ほどあるし、なかなか違いが出しにくい。そういう点では、全国区ではないような山の紹介になっているような点とこのイラストはこの本にはかかせない。この本は文庫本にしては珍しく、カラー印刷のページが多く、小さいながらも挿絵付である。(その分やや値段も高い?)
一方で賛否あるとは思うが、個人的には百を選定して百低山という形の編集にしたのは気に入らない。「低山徘徊」とか、「低山巡礼」の方がよかったと思う。ひとつは深田百名山のパロディになってしまっている点。もうひとつは低山を百選ぶというのは、読者の同意が得られにくいという点だ。仙人も(特に関西は)「ここじゃなくてこの山でしょう。」というのがいくつかある。ましてなじみの無い地方の山は判断できない。個人が選んだ山であれば、それはそれでいいのだが、「日本百低山」というタイトルはいただけない。また、深田百名山が4つくらい含まれている。趣旨からすれば、百名山ははずして欲しかった。
きまま仙人は、この百低山のうち約4分の1、26座登っている。わざわざ遠方の低山にはいかないので、思ったよりも多いとは思った。
この本は、一冊すべてを読んでいくというより、自分の地元の知った山を探して読んだり、ガイドブックではないが、ハイキングに行く山を探したり、自由な読み方を指定いいのではないだろうか? その方が楽しめる。正直言えば馴染みの無い知らない山を続けて読むのは、山好きでも少し飽きる部分もある。
| 固定リンク
コメント