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2009年11月25日 (水)

時計コレクション (46) 清朝時代の日時計

今回紹介するのは中国、清の時代の日時計だ。本当はもっと早く紹介したいと思っていたのだが、使い方を含め謎が多く、調べている間に日にちが経ってしまった。もっとも未だに謎の解明はすすんでいない。ご存知の方がおられれば、ぜひ教えていただきたい。

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この日時計は香港に出張で行った折、骨董街で土産代わりに買い求めたものだ。価格は日本円にしてたしか2000円強だったと記憶している。店のおばさんの話では、清の時代のものだというから、本当だとすると100年~200年くらい前のものということになる。正直信用して買ったというわけでもないが、パズルでも買ったつもりで調べてみようと思った。ただかなり古いものであるということは間違いないと思う。

まず部分的に見ていきたい。かまぼこ板のような半分は方位盤と思われ、方位磁石と外側に24方位、内側に八卦が目盛られている。24方位は方角なので当然だが、八卦は風水に使うのか?利用法はよくわからない(謎①)。また方位磁石は水準器の役割も果たせる。赤字と黒字の意味は謎(②)である。

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 磁石の付いた方位盤

 

 

 

かまぼこ板のもう半分は、日時計部分と思われる。上部が持ち上がり、角度を付けられるようになっている。二十四節気に合わせて角度を調節する。ただ日時計の文字盤を見る限り、等角目盛りであるし、コマ型日時計のようなので、季節で角度を変える必要は無いタイプなのが不思議だ。(謎③) 通常このような影の位置を見るタイプのものは、ノーモン(指針)は地軸と平行にするので、測定値の緯度と同じ角度となり、季節では変えないはずなのだ。(※一方、太陽高度(影の長さ)を見るタイプのものは、季節差の設定を行なう。) そうこの文字盤の構造は実に奇妙だ。また異常に角度がありすぎる?のもよくわからない。(謎④)

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 上下や點とは何?

 

 

 

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 24節気で角度を変える?

 

 

 

さらに子丑寅、、、の各刻は上下に別れ、各刻中央と各刻をまたぐように24の點という文字、また各點は4目盛りに分割されている。このあたりどういう時間の分け方、呼び方をしていたのかも不明な点が多い。(謎⑤)

富山市科学博物館のホームページに同様の日時計が「傾斜変更式日時計その2」として紹介されています。しかしここに書かれている傾斜変更式日時計の説明はよくわかりません。また香港大学のK. P. Cheung副教授のページでは宋時代の携帯日時計の後年のレプリカだという説明がされています。この形式の日時計はかなり古くからあったのかも知れません。しかし、このページを読んでも二十四節気に合わせて角度を変える意味は謎です。そして、、、やっと見つけました。国立科学博物館(⑦の6ページ)に同じような日時計があります。その時計のネットでの説明には「季節でノーモン(日陰棒)の角度を調節する方式であるが、原理的に誤りがある。中国製。」とはっきり。やっぱりなぁ。謎③は解決。それにしてもいくら時代が違うとはいえ、こんな原理的におかしい道具が普及していたとは、逆にこれまた謎(⑥)と言っていいだろう。

作りを見ると木端の削り方ひとつをとっても雑であり、高いものではなかったことは明らかだ。また日時計の裏には「新安体邑 胡茹湯傳」と書かれている。新安体邑とは作られた、または売られていた地名だろうか? きまま仙人は、旅行者向けに売られていたような、一種土産物的な商品か、風水に使う道具として売られていたものではないだろうか?と想像したい。

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いずれにせよ謎の多い日時計であるが、興味は尽きない。こんなに楽しめると、2000円強は安かった。

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