時計コレクション (43) Aug. Schatz & Sohne 1000 Day
その後祖父母らとは同居するようになり、いつの間にかこの時計は動かなくなってしまった。正確に言うとおそらくゼンマイが錆付いてしまっていて、動力源としての役に立たないので、すぐに止まってしまうのだ。精度はともかく、脱進機や輪列部分は動いている。なかなか腰が重く修理に出していないが、しかるべきところにお願いすれば、おそらく動くようにはなると思う。
振り子の形状は違うが、構造は基本的にルクルトのATMOSなどと近い。2石、2振動/分? さすがに今見ると年代相応に汚くなってしまったが、40年以上前、祖父母の家で初めて見たときには、きれいな時計だった。汚くなったとはいえ、今もなおドーム型のガラスカバーや振り子の形状などは味があって非常に良い。残念ながらこの時計を入手した経緯を祖父母からも父からも聞いたことはない。今となってはまったく謎だ。まぁ家にあったくらいだから、それほど高級品とは思えないが、、、
文字盤 裏の刻印 脱進機
時計に付けられた刻印からAug. Schatz & Sohne というドイツのブランドの時計ということはわかるが、ネットで調べたところ次のようなことがわかった。このブランドは、1881年ドイツのトリベルグ(Triburg)で、Schatz & Wintermantleという会社から始まる。トリベルグといえばシュバルツ・ヴァルト(黒い森)地方にあり、歴史ある「カッコウ時計の故郷」。 No.36で紹介した郭公時計もおそらくそのあたりで作られたものと思われる。その後社名は何度か変遷し、1923年にこの社名になったようだ。そして、他の多くのメーカーと同じように、1985年クオーツ時計の荒波に沈んでいった。それ以外のことは、よくわかっていない。
球形の錘の振り子
文字盤の12時位置の銘「Schatz」は社名からきているものだと思われる。6時位置の「1000 DAY」はモデル名なのだろう? 一度(ゼンマイを)巻くと1,000日動くということらしい(ネット情報:The clock is designed to function for 1000 days on a single wind.)のだが、1,000日というと2年半を優に超える。ちょっと信じがたい気もする。製造は1950年代。きまま仙人の記憶と照らし合わせても、間違いないと思われる。
今は動かないが、祖父母や我が家の歴史に思いをはせる時計でもある。いつか修理してもらおう。
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