スリリングな岩稜歩き、西穂奥穂縦走(9月19-21日山行記録(4))
9月19-21日の山行記録その4
天狗岳~コブ尾根ノ頭~ジャンダルム~馬の背~奥穂高岳
いやらしい天狗岳の下りから体力的にきつくなるコブ尾根への登り。そして、ついに念願のジャンダルムに立つ!奥穂までの縦走後半の核心部。
山行記録その1はこちら。
山行記録その2はこちら。
山行記録その3はこちら。
ジャンダルムと奥穂
(コブ尾根の頭から)
ジャンダルム頂上
天狗岳からの下りは、このコースの中でも最もいやらしいところかもしれない。鎖もある急な下りで、浮石が多く、落石を作らないように気を使った。非常に緊張するくだりだった。高度感のあるところや足場を見つけにくい箇所、鎖場もあるにはあるが、慎重に進めばそれほど問題はない。最後の鎖が足が届かないといわれるが、足場をちゃんと探せば問題はなかった。天狗のコルまで無事降りてひと安心。ここは岳沢ヒュッテ跡へのエスケープルートの分岐だ。
天狗岳
北側から振り返って
ここからコブ尾根ノ頭までの登りが、このコースで一番体力的に辛いところだ。結果論だが、7月悪天で中止にして9月になったことは、良かったと思う。9月の方が日が短いリスクや天気が悪くなったときのリスクはあると思うが、今日のように好天だと7月は暑すぎるように思う。距離が長い上にアップダウンが多いので、さわやかな季節でむしろ歩きやすかった。
そのうち右手の手袋の中指、薬指の先に穴が開いた。ホールドを探し、指先に力を入れて登ることも多いので、穴が開いたのだ。手袋は皮製のもう少しいいものを使ったらよかった。ちなみに下山する頃には、親指と小指以外、両手とも指先が破れてしまっていた。
緊張の中ひたすら登っていたので、正直このあたりは記憶に薄い。結局コブ尾根ノ頭に着く前にガス欠になってきた。お腹が空いたのだ。たしかにレーションは多少とっているものの、小屋を出る前かじったパンと西穂でのバナナ、あとはゼリータイプの捕食だけだ。朝早かったので無理も無い。ちょっと休めるスペース(畳岩ノ頭がどこかよくわからなかったのだが、おそらくその付近)を探して、9時過ぎ1回目の昼食を取る。パンでエネルギー補給。この早目の食事は大正解、元気が出てよかった。
再び前進を開始!目的地が近いので苦しくはなかった。9時37分コブ尾根の頭到着。ジャンダルムが間近にそびえる。大きくてすごく存在感がある岩の塊だった。トラバース分岐でザックをデポし、9時47分ジャンダルム登頂!やはりこの場所に立つのは特別の感激がある。あっ!N君ではないか!追いつくのにここまでかかったとは。彼も結構速かったようだ。山頂では4,5人で談笑。みんな単独行の人だったが、同じ喜びを共有できるのはうれしい。また完璧ともいえる360度の大展望が歓迎してくれた。いままでから見えていた山々に加え、後立山の鹿島槍や白馬、旭もはっきり確認できる。妙高など頚城の山々も。
槍の右奥には後立山の山々
ジャンダルムは3,163mの標高がありながら、国土地理院の山のリストに入っていない。奥穂高岳に付随する岩峰とされているのだろう。たしかに微妙なところだ。しかし実際に登ってみて、山屋としては奥穂とは別の山、「槍ヶ岳に次ぐ日本で6番目に標高の高い山」としてあげたい気持ちにはなる。同じように間ノ岳もひとつの山としては認められていない。西穂は認められているのに。確かに境界は難しい。
N君はもうしばらくのんびりしていくとのこと。仙人は奥穂まで行かないとやはり落ち着かないところもあるので、30分ほどで出発。ザックをデポしたので、食料や水が無いことも理由ではあった。ジャンダルムから一度分岐まで戻り、信州側をトラバースする。この巻き道は侮れない。初めの鎖では岩に打ち付けられた鉄棒に足を置いて登る。トラバースでは見えづらいところのホールドを探さないといけない所が一ヶ所ある。ホールドは探せば簡単に見つかるのだが、少し戸惑った。
左:ジャンの
北面は絶壁
右:ジャンの
トラバース
さらに少し下って、ロバの耳のところの一枚岩を登り、そこからのくだりがこのコースで一番難しいところだと思った。ちょうど先日へリが墜落したあたりで、飛騨側の沢にはヘリの断片が散らばっている。鎖や、鎖ではなくロープのところもある。何より、確実に3点支持をするために、後ろ向きで急斜面を降りるのだが、ここはホールドを探すのがやや難しい。すれ違いなどがあると渋滞しそうなところだ。でも今思うとなかなかスリルがあって楽しかった。22日のブログでも書いたが、怖いとは思わずむしろ楽しかった。が、ここは危険箇所であることは間違いない。安全なところまで下って振り返ると、ロバの北斜面にヘリの残骸が。。。またジャンダルムは見る角度によってその形が大きく異なる。奥穂側の面は切り立った絶壁で、人を寄せ付けないような雰囲気がある。
ここからも気を抜けないコースが続き、クライマックスの馬の背に差し掛かる。たしかに両側切れ落ちている。しかし、ルートをちゃんと確認しながら進めば、西穂からだと登りになるので、そう恐れるものではない。ちょうど2人組が降りてきたので、まず道を譲って、彼らのホールドを参考に。上り下りで多少要領は違うと思うが、信州側に安定したフットホールドが取れる。馬の背を越えると、奥穂は目の前だ。11時22分、登山者で賑わう奥穂高岳到着。やったぁ~&ホッ!
馬の背
左:一番鋭いところ(下から)
右:(上から)かなりスリリング
続く。。。
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コメント
お~っ!
なかなかの高度感!!
いつかは行ってみたく思います!
投稿: ビモータ | 2009年10月 1日 (木) 23時23分
北鎌を制覇されたビモータさんなら、絶対楽しめるコースだと思いますよ。
投稿: きまま仙人 | 2009年10月 2日 (金) 07時43分