スリリングな岩稜歩き、西穂奥穂縦走(9月19-21日山行記録(3))
9月19-21日の山行記録その3
西穂山荘~西穂高岳~間ノ岳~天狗岳
いよいよ縦走スタート。まだ暗い4時過ぎ、西穂山荘をヘッ電気を点けて出発。西穂から天狗岳までの縦走前半部。
北側からの西穂高岳
西穂から焼岳・乗鞍
※尚、時計コレクションは今週お休みさせていただきます。m(_ _)m
○9月20日(日)
予定通り3時半起床。既に隣のN君の場所はもぬけの殻。外に出るとまだ真っ暗だが、空には満天の星。星の数がすごく多く、本当にきれいだ。明け方なので冬の星座オリオンが頭上に。今日の天気もよさそうだ。風が無いので寒くもなく、カッパも着ないでラガーシャツの上に毛の山シャツだけで十分だった。緊張の朝ではあったが、条件も体調もいいので、いよいよという期待の方が大きい。
パンをかじって軽い朝食をすませ、4時08分ヘッ電を点けていざ出発。比較的早い方の出だったとは思うが、もっと早い方も大勢いた。暗いのでルートを確認しながら慎重に一歩ずつ登るが、昨日一度(往復)通っているので、比較的安心して歩ける。特に独標までは緊張するところも無い。約一時間で西穂独標に到着。既に10名くらい休憩していた。ピークは少しだが風が気になる。少し明るくなリ始めてきてはいたが、展望を楽しむほど明るくはない。が、西には笠ヶ岳がまだ薄暗い雲海の上に凛と立っている。ここで明るくなるのを待ってもいいと思っていたのだが、日の出(5時37分?)にはまだ時間があるので、ピラミッドピークまで行けるだろうとお茶を少し飲んだだけで出発。ここからはやや痩せた部分もあるが、西穂まではそれほどの危険ヶ所はない。徐々にヘッ電が無くても歩けるくらいの明るさになってきた。ピラミッドピークでご来光を見ようと少しペースを上げ、 5時32分到着。間に合った!と思ったら、ピラミッドピークは前穂・明神にさえぎられ、ご来光は見ることができない。ん~がっかり! しかし周囲ははっきり見えるようになり、正面には西穂、右へ吊り尾根、前穂、明神が黒い壁のようで、後には独標、焼岳、乗鞍が見える。その先乗鞍の奥には御嶽も頭を出していた。上高地を挟んでは霞沢、左前方には黒部五郎岳や双六なども。今日の展望は最高だ! バナナ1本頬張りながら静かに眺める。
ピラミッドピークからの西穂
うしろは奥穂
3,000m級の稜線歩きは実に爽快だ。時折風が気になることもあるが、むしろ涼しくて気持ちいい。上高地側にはハイマツなど緑もあるが、飛騨側は荒々しい岩肌だ。対比も面白い。ピラミッドピークから30分強、ひと頑張りすると西穂高岳2,909mだ。西穂の山頂部は思っていたより鋭い。そして360度の大展望が広がる。西から笠ヶ岳からの稜線の延長には、水晶、立山、野口五郎、そして槍ヶ岳のその鋭い穂先まで望めた。やはり槍が見えるとうれしい。さらに涸沢岳も。東から南には八ヶ岳、富士山と南アルプス、さらに中央アルプス、南には越えてきたピークや霞沢、焼岳が低い。南に続く山々と漂う雲が本当にいい絵を作っている。西穂を越えると、いよいよここからが本番となるので、景色を見ながらゆっくり小休止。ちなみにここまでいいペースでは来ているが、早立ちしたN君の姿はまだ見当たらない。 彼はどうしたんだろう?
西穂から立山(奥)
水晶岳(左)、野口五郎岳(右)
西穂からの下りはいきなりいやらしい。そこそこ角度も高度感もある。慎重に降りていけば問題あるコースではないものの、いよいよハードなコースに入ったという緊張感はある。基本的には前を向いたまま降りていったが、後ろ向きにならないと不安定なところもかなりある。(お尻を使った5点での三点支持も時には有効?) 鋭いアップダウンがいくつか続き、切り立った稜線を進み、岩峰を縫って進む。標識も無いので赤岩岳の通過がよくわからないまま間ノ岳の登りに。ここは崩れやすい岩のガレ場で、落石や浮き石もあり、登りとはいえ非常に気を使った。幸い前後の登山者とは空いていたので、落石は多少気が楽だった。前後に人がいる場合は要注意。ヘルメットがあった方がいいと思われるところのひとつだ。上部は細い岩棚を登っていく。手のホールドの取り方に悩む場所だ。西穂から小一時間ほど進んだ7時21分、赤茶けた感じのピークに到着。標識はないが、岩に間ノ岳とペンキで書かれていた。振り返ると西穂の尖ったピークが格好いい。展望はすごくいいのだが、このピークは少し風が強かったので、ザックも降ろさずにコルまで行くことにした。景色がいいのでバシバシ写真をメモ代わりに撮っているのと、ルートを慎重に見極めながら歩いているので、結構立ち止まることが多く、休憩を取らなくても平気だ。ペースもまずまずいい感じ。お茶も立ったまま小さいペットボトルからこまめに飲み、小休止でザックを降ろしたときにペットボトルには足しておいた。ちなみに2Lのポリタンには麦茶、その他500mlだけ真水を持った。仙人は水を飲む方だが、結果的にはトータルで2Lでよかったと思う。
逆層スラブ
間ノ岳からの下りは何本かの鎖の急な斜面があり、慎重に足場を探しながら降りる。気を使うところだった。正面を見ると天狗岳の岩場の急登が見える。どこを登るんだろう? よく見ると逆層スラブがはっきり確認できた。逆層スラブってこれか!ちょっとわくわく。ネットの情報だと逆層スラブは天気がいいときの登りは難しくないと書かれていたので、不安は無し。慎重にコルまで降ってさっそく取り付く。飛騨側に少し移動してから長い鎖をまっすぐ登る。たしかに長い鎖だ。濡れていれば滑りそうな岩で、かなりいやらしそう。手袋をはずして、気合を入れなおす。初めの下のあたりは鎖は不要だが、傾斜の急な部分は、鎖を使って一気に上がった方が楽だと思う。大きな岩の登りが多く、腕力も使うところだ。滑ることは十分注意した方がいいかもしれないが、落石などの心配は比較的少ない。天気がいいこともあり、思ったよりはスムーズに登れた。逆層スラブの上の高度感のある鋭いピークを越えて少し登ると、8時2分天狗岳山頂(天狗ノ頭)着。たしかにハイペースではあったが、間天のコルから天狗岳山頂まで20分もかかっていない。おかげで汗びっしょり。ここで水分補給。振り返ると越えてきた間ノ岳との稜線のシャープさが印象的だった。ペースもいいし、実に気持ちいい!
間ノ岳の下り
天狗岳からの間ノ岳
その後ろは西穂、左は焼岳
続く。。。
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コメント
西穂から奥穂へかけての稜線は、岩が不安定な場所が多く、神経を使いますね。
投稿: マルタケ | 2009年10月 1日 (木) 12時47分
仙人さんって体力ありそうですね。私ならもうここらでヘバっていると思います。
しかし小出しにしますねぇ(笑)。私もそうですけど(爆)、次ぐらいが今回の核心部なのでしょうか?
投稿: ビモータ | 2009年10月 1日 (木) 21時00分
はっはっは、小出しですいません。1,2回で終わるのはもったいないので、まだまだ引っ張りますよ(笑)。
あと正直、写真の選定・加工が追いついてないんです。。。
投稿: きまま仙人 | 2009年10月 2日 (金) 07時41分