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2009年9月23日 (水)

時計コレクション (38) Angelus Chronograph(Cal.215)

今回はオークションで落札した謎のハンマー?を持つクロノを紹介したい。アンジェラス(Angelus)のクロノグラフだ。アンジェラスは自社で質の高いクロノグラフムーブメントを開発・製造していたマニアには人気のブランドだ。残念ながら今は現存していない。

38_angeluschrono_01_s 38_angeluschrono_02_s

 

 

 

 

 

 

そもそもきまま仙人は、アンジェラスならクロノデイトというモデルが欲しかった。(ここが詳しい) クロノデイトは12時位置に月表示、6時位置に曜日表示、ポインターデイトで日表示というトリプルカレンダークロノグラフで、レイアウト的にも特徴があっていい。

が、あるときヤフオクで今日紹介する時計が出品されていて、スイングラグ(ラグがケースに固定ではなく動く)とほどよいヴィンテージ感がすごく気に入って、入札してみた。するとすると、まさかこんな価格では落ちないだろうって思われた価格で落札してしまった。というわけ。クロノデイトではないのに落札しちゃったので、少し複雑 ^^;)

38_angeluschrono_04  

 スイングラグがいい

 

 

 

スイングラグは珍しいし、インパクトがある。文字盤も実に味のある焼け方というか、良き古さが出ていると思う。タキメータとテレメータがモノトーンでプリントされている。3時位置の分積算計が45分なのもいいし、クロノのプッシュボタンの形状もなかなか面白い。スイングラグのせいか、ベルトも巻き込み式(貼り付けるタイプ、この時計についているものは金具で留めてある。)。

ムーブメントは5振動/秒(18,000振動/時)、17石のCal.215(前期型?)。 チラネジ付テンプ、耐震装置なし、というところから考えると1940年代の製造と思われる。各パーツは面取りされているし、ブリッジなどはコートドジュネーブ風にポリッシュされている。多少劣化しているのは惜しいが、そこそこハイグレード品だ。もちろんピラーホイール、キャリングアーム伝達方式、スライディングギアという高級仕様。Cal.215の特徴はクロノグラフ用のプレート(地板)がなく、角穴車などの上に直接パーツがある。このため各パーツが分厚く、頑丈になっています。

38_angeluschrono_03  

 通常とは違う形状の
 ハンマー

 

 

38_angeluscal215  

 通常のCal.215

 

 

 

で、ここからが謎だ。よく見ると通常のアンジェラスCal.215とはクロノグラフのリセットハンマーの形状が違う?! 写真でわかっていただけるだろうか? よく見比べると、他のパーツの形状も微妙に違うものがある。出品されていたのは個人ではなく、某ショップ。気になって確認してみたところ、たいへん丁寧な回答をいただいた。回答を抜粋すると、「オリジナルだと思われます。このムーブはCal.215の前期型モデルと思われ、Cal.215よりハイグレード仕様と思います。分積算の繰上げを転送する歯車を保持するベースの形など、各部部品が金型によるうち抜きの引っ張りマージンを考慮した量産形状ではなく、ロンジンの13ZNなどに見られる強度理想形を守った削り出しにより作られています。削り出した上で、面取りされているのでコストがかかり、そのためこのキャリバーをベースに215が量産機種として登場したのだと思います。これはバルジューVZ、そして前期型23、さらにコストダウンを図った後期型23へと続く流れに良く似ていると思います。このハンマーには加工精度の高い回転軸が必要で、そこに力もかかりますので、修理屋さんが簡単に部品を手作りできるレベルのものではありません。また、この部品を破損しそれを修理するとすれば、破損した部品と同じ形状で作るはずです。位置精度がきちっと出なければ分積算、センタークロノ針のハートカムを連動しセンター位置に戻すことは出来ません。ましてや、多機種のハンマーを転用するなど出来ないことは常識です。。。。」

たしかにクロノグラフ針や分積算計の帰零には、まったく問題はありません。ショップからいただいた回答を100%信用しているわけではないのですが、明らかな修理品とも断定できず、貴重なサンプルとして手放せなくなりました。真偽はどうであれ、時計仲間との間で酒の肴にはなりました。あと、ぜひ同形状のハンマーをもつムーブを探してオリジナルであるという証明をしたいと願っています。が、未だに見つかってはいません。

もし、アンジェラスのこのハンマーに関して何か情報をお持ちの方がいらっしゃれば、ぜひ教えていただきたいと思います。

38_angeluschrono_05  

 裏は何も刻印なし

 

 

 

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