時計コレクション （29） Seiko ５ Automatic（Cal.7009A）

セイコーファイブといえば、１９６０－７０年代一世を風靡したモデルだ。クオーツ世代にはまったくわからないと思うが、普及版自動巻き時計の代名詞、国産腕時計のひとつの完成品と言っていいと思う（車で言えばカローラか！）。とはいえ何と現在でも販売されている。セイコーファイブ中心のコレクターさんもいらっしゃる。セイコーファイブについては、いろんな本や資料、サイトに書かれているが、どこに何が書かれてあったか、いざというときに調べるのに手間がかかる。（覚えていればいいのだが、すぐ忘れちゃうので、、、）　備忘録を兼ねて、少し書いてみたい。

 

　歴史的モデルSEIKO５

まず「ファイブ」という名前は、当時セイコーが重視した５大機能からきている。その５大機能とは、

１．耐震装置（ダイヤショック）
２．自動巻き
３．日付表示
４．曜日表示
５．（生活）防水

今見たら何と当たり前の機能だろう。まぁ曜日表示くらいか？ これがトンボ本などに書かれている通常言われている定義だ。ところが９７年復刻時のカタログでは以下のように変わっているらしい。（きまま仙人は実物未確認）

１．切れないゼンマイ（ダイヤフレックス）
２．耐震装置（ダイヤショック）
３．自動巻き
４．（高い）防水性
５．日付曜日表示

日本では既に作られていないが、海外では今でも生産され続けている。特に電池の購入が難しい、あるいは電池が生活レベルから見て高価な地域向けらしい。裏スケになって、、、逆輸入品としてショップで見かけることも多い。価格も店によるが１万円もしない。そういう意味でも非常に歴史があり、モデルも５（ファイブ）のみならず５Sports や５Actus など多くのバリエーションがある。実はクォーツモデルやレディースもある。コレクターがいるのもうなづける。仙人もジャンク品を含め何本か所有している。

　

　ねじ込みの裏ブタ

　

　まぁまぁきれいな状態

機械も諏訪製（６ｘ系）、亀戸製（７ｘ系）の両方ある。ムーブメントの３針の系統に関しては詳しく調べていないが、クロノ（14．Seiko Chronograph Speed-Timer[クロ馬]、23．Seiko Chronograph [角型同軸]）と同じようにそれぞれで作られていた。

あまり取り上げられることが多くないが、国産の時計のひとつの特徴として、日付曜日（デイデイト）表示が標準、しかも２ヶ国語対応であるということがいえると思う。現在でもスイス時計など曜日表示のないものは多い。また、フランス語のみとかスペイン語のみとかも普通に存在する。国産の時計は国内用は英語・日本語だが、輸出用は英語・ローカル語表示が基本であり、仙人もアラビア語表示のものも所有しているが、英語表記ができるので使いやすい。

さて、「ファイブ」の話ばかりになっているが、少しこの時計についても触れておこう。７１年７月製造。ムーブメントはCal.7009A、したがって亀戸製の７０系の機械だ。１７石、21,600振動/時（６振動/秒）、手巻き不可。日付送りは一段引き、曜日送りはリューズ押し込みとなっている。シルバーの文字盤にバーインデックス、シンプルで好感の持てる三針デイデイト（曜日は英語と日本語）の時計だと思う。

ちなみに人にあげてしまったが、仙人が所有していた比較的後年の５（動いてはいたがラグ穴欠損のジャンク品）と比較してみたい。おそらく２０００年前後の海外向け製品、ムーブはCal.7009の後継のCal.7S26A（２１石）。 ３０年経っても基本は変わっていないデザインだ。

　

　2000年頃の５
　デザインもよく似ている

日本の時計産業を引っ張ってきた？歴史的モデル。息が長く、バリエーションが多く、しかも安い。なかなかマニア心をくすぐるモデルである。惜しむらくは、ムーブメントの作りや仕上げがスイスなどの時計と比べると見劣りする点である。