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2009年4月 9日 (木)

時計コレクション (16) Citizen Alarm (Cal.980)

今回は、国産の特殊機能腕時計の元祖といってもいいシチズンアラームを紹介したい。1958年「国産初のベルが鳴る腕時計」というキャッチコピーで販売された目覚まし機能の付いた時計だ。国産クロノグラフの原点がセイコーのクラウンクロノであるように、アラーム時計いや特殊腕時計の原点がこの時計であるといってもいい。シチズンの時計史、いや国産腕時計史を語る上でも、はずせないモデルだと思う。

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写真の1本は製造年は不明だが、初期型モデル。中央にある目安板を2時位置にあるリューズ(引いた状態)で回転し、アラームの時刻をセットする。合わせた時間になると、内部にあるハンマーが振動し、裏ブタに付けられたピンをたたき、「ジー」というセミあるいはコオロギの鳴き声といわれる音を鳴らします。2時位置のリューズ(定位置)はアラーム用のゼンマイの巻き上げにも使われる。4時位置のリューズが通常のゼンマイ巻き上げ、時刻合わせに使われる。本中三針の機械にアラーム用輪列・鳴鐘装置を加えたもので、明確に区別できる。

目覚ましとしての使用にあたって、音量は十分だと思う。だが音(音色)は正直いいとは言い難い。が、これはこれで味のなる音だと思う。嫌いではない。

この時計はハンマーがたたくピンが直接裏ブタについていて、裏ブタが共鳴板を兼ねる一重裏ブタ式だが、初期には共鳴板が内部にあり、放音孔の開いた裏ブタがその外側にある二重裏ブタ式もあった。後継機になっていくと二重裏ブタ式はなくなっていくようである。

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 このモデルは放音孔がない、点のところにピンがある。

 左上のブレスにはCitizenの文字(純正品)

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 右(テンプの上)がハンマー

 

 

  この目安板でアラームをセットする初期型は、ジャガールクルトのメモボックスをモデルとしたデザインとなっている。非常にシンプルで機能的にも使いやすい。ただリューズの形状がつまみにくく、ゼンマイを巻くのが少し巻きずらい。 後に目安板ではなくアラーム用の針が使われるタイプも作られ、こちらは長短秒針と合わせて針が4本あることから「4H(Four Hands)」と呼ばれる。仙人はデザイン的には目安板式の方が好きだ。目安板式は約2年間しか製造されなかったとされているので、数は4Hに比べ少ない。

ムーブメントは18,000振動/時(5振動/秒)、19石、手巻き。文字盤に書かれた「PHYNOX」とは切れないゼンマイ、フィノックス?装備のことだ。金メッキのケースや文字盤は年代を感じさせる使用感があるものの程度はいい方だと思う。ムーブメントも非常にきれいな状態だ。またこの時計はめずらしくベルト、尾錠もオリジナルのものが付いている。

16_citizenalarm_05  

 結構きれいなムーブ

 

 

16_citizenalarm_06  

 尾錠もオリジナル、なぜかセンターからずれてる?

 

 

ルクルトのメモボックスやバルカンのクリケットに代表されるモデルは今でも健在ではある。が、現行モデルで機械式のアラーム時計というと、クロノグラフやワールドタイムに比べるとそれ程多くない。最近は携帯を目覚まし代わりに使う人も多いだろうし、新幹線などで使うには少し恥ずかしい鳴り方かもしれない。そういう点でも60年代、70年代らしい時計のような気がする。

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