紅葉と大展望の餓鬼岳・燕岳山行記録(3)
朝、期待通りの快晴だ。5時半頃、東の空が明るくなりはじめたところで、ヘッデンを点けて餓鬼山頂へ。感動の展望があった。まだ日がでていないものの、鹿島槍が特徴的な双耳峰を見せ、左側に蓮華、針の木、剣岳、立山、竜王?。裏銀座の稜線には烏帽子、ニセ烏帽子、三ッ岳、 野口五郎、鷲羽、笠ヶ岳、槍、穂高、大天井、常念、、、北アルプス南部の主峰が一望できる。程なく浅間山の南側から輝く朝日が顔を出し始めた。何度みても感動の瞬間だ。朝焼けに照らされる山々は本当に美しい。時間を延長して、山頂でゆっくり写真を撮った。
予定よりやや遅れて6時23分餓鬼岳小屋出発。東沢乗越までは昨日通った道を戻るの で、ある意味安心。梯子類が凍って滑りやすくなっていないことを祈りながらゆっくり歩き出す。爽やかな朝に展望、紅葉と申し分ない。快調に剣ズリに到着。岩場を越えるのも梯子も慎重に確実に進む。梯子は問題なかったが、登山道は一部霜が降りていた。しかも都会にはない長ーい霜だ。風がなく暑い時もあるが、気持ちいい爽やかな風が吹いている。8時34分順調に東沢岳到着。ここで雨具(上)も脱いで、ラガーシャツ1枚となる。10月なのに、それでもちょうどいい感じだ。このあたりからすれ違う登山者がちらほら出始める。おそらく昨日燕山荘に泊まった人達だろう。
乗越まで下り、いよいよ燕岳への登り返しだ。標高で約500mある。息が上がらない程度 に、意図的にゆっくり一歩ずつ登る。落ち葉を踏みしめるような感じの登山道は、今までと雰囲気が変わった。急登ではあるが、その分ぐんぐん高度をあげていき、木々の間から見える東沢岳らに肩を並べるようになっていく。次第に葉のかなり落ちてしまったダケカンバの林となり、さらに登ると樹林帯を抜け、崩落地の隣をジグザグに登っていく。ここまで来ると稜線が近い。振り返ると鹿島槍や頚城の山々、四阿山などがきれいに見える。荷物もかなり軽くなってきているのでペースは落ちない。最後のところの長い階段は正直つらかったが、乗越からちょうど1時間ほどで燕の稜線にでた。飛び込んできたのは大きな槍穂連峰の姿。やはり唐沢岳でなく、こちらに来て良かった!
ここからはもう大きな登りはない。北燕まで行って休憩しようと、休まずに進む。迂闊だったが、ここから北燕までは少し下って登り返すなど、2,3の小ピークを巻いていくので、意外とかかった。さらに30分ほど歩いて、10時34分北燕岳山頂到着。燕岳の方が人が多そうだったので、ここで長休止と決める。本当に最高の秋晴れだった。主要な山々にまったく雲がない。山頂は男性の単独行者ばかりで、数人で談笑を始める。最近山にはまりだして今日は日帰りという若者、鳥取から車を飛ばしてきたという人、50代半ばくらいの方。皆さん中房からピストンのようだ。彼らは北アルプスにそれほど詳しくないようだった ので、展開上見えている山々の説明をしてあげた。槍穂を基点に右側、西鎌尾根があって奥に笠ヶ岳、樅沢岳、双六岳、三俣蓮華岳、鷲羽岳、ワリモ岳、水晶岳、野口五郎岳、三ッ岳、烏帽子岳、龍王岳、立山、剣岳、針ノ木岳、蓮華岳、鹿島槍ヶ岳、その後ろに後立山の峰々(おそらく白馬岳、旭岳あたり)、遠く頚城の雨飾山、焼山、火打山、妙高山、黒姫山、飯縄山、、、 そのあと、、、四阿山、浅間山はわかるのだが、遠くの山々が良くわからない。帰宅後カシミールで調べたところ、四阿山の左奥に見えていたのは奥白根山だ。右奥は赤城の山々。こんなに見えることはめずらしい。さらに下に有明山、奥に奥秩父の山々、八ヶ岳、富士山、南アルプス。北アルプスに戻り常念岳、東天井岳、大天井岳、槍穂連峰となる。名前がわかるだけでもこんなにある。(※もっとも説明してあげたのは100名山、200名山級のみ、100名山だけでも15+南ア以上ある。)
北燕岳からはまさに人気の山、燕岳だ。まず人が多い。明らかに経験があまりないと思われる人や家族連れなどが増える。ここまで静かな山旅を続けてきただけに、あまりうれしくはない。燕岳山頂もほとんど通過。イルカ岩など花崗岩の庭園を楽しみながらゆっくり燕山荘へ。家族連れなど人が多いことは悪いことではないのだが、、、でも15年前の印象どおりでうれしくなる。もちろん登山道にロープが張りめぐらせているなど、違いもあるのだが。。。少しだけ表銀座のコースに行ってみる。蛙岩(ゲイロイワ)が見える。ここから見る槍ヶ岳が一番小槍のバランスがいい。小槍とはもちろん槍の穂先の横にローソクの様に突き出た岩峰だ。「アルプス一万尺小槍のうーえで、、」のあの小槍だ。15年前のメンバー(5人+仙人の6名)の顔が思い出される。いつまでも眺めていたかったが、12時10分合戦尾根を下ることにした。
合戦尾根を下りに選んだのは大正解だった。今まで歩いてきたルートに比べれば、本当に歩きやすい。人さえいなければトレイルランで走って降りられるくらい。合戦小屋の売店、富士見ベンチ、第三~第一ベンチ、記憶がよみがえってくるようだった。何とそれほど飛ばしたわけでもないが、2時間で中房温泉まで下山した。中房温泉は秘湯としても有名で、登山者は「湯原の湯(700円)」という日帰り温泉を使える。宿泊客用にはもっといろいろあるようだ。なかなか温泉らしいぬめり気のある感じでよかった。ゆっくり浸かり、さっぱりして帰路についた。
今回は土曜日の朝の天気が良くなかったものの、結果的には本当にいい山旅ができた。今シーズンの最後にふさわしい山行になった。このブログに、記録としてまず書きなぐったが、いろいろ書き留めておきたいこともあったので、今後今シーズンを振り返って、感じたこと、意見などを書いていきたい。特に山小屋での中高年(私も含まれるが、、)のマナーについてはいただけないものも多く目にした。いやそれはさておき、ホント満足の秋山だった。 (完)
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